石原友明芸術資源展のお知らせ

令和6年3月をもって退任する美術学部油画専攻の石原友明教授の退任記念企画として「石原友明芸術資源展」を開催いたします。
石原友明展「SELFIES」と併せてご覧ください。

 


概要:美術作家石原友明についての芸術資源を、二種類の言説をまとめた「二冊の本」と、その他の関連資料を用いて展示します。これらの本は〈作家自身による〉言説をまとめたものと、美術批評家ら〈作家以外の書き手による〉言説をまとめたものです。そこから浮かびあがる「さまざまな相貌をもつ(あるいはもたされた)複数の作者像」は、ポストモダニズム期の美術作家にふさわしいとも言えますが、同時にそこには、書き手ーメディアによって意図的に切り出され複数化されていく「作家」の像を認めることも可能です。彼と彼以外の作者による二冊の本を軸に、芸術資源としての「言説」の意味について考察しながら、作家石原友明の思考とその創造活動への接近を試みます。
(佐藤知久/芸術資源研究センター教授)

石原友明芸術資源展
会  期:2024年3月20日(水・祝)〜3月31日(日)
開場時問:11:00 -17:00|入場無料
会  場:京都市立芸術大学C棟5F芸術資源研究センターアーカイビング・ラボ
主  催:京都市立芸術大学
企  画:芸術資源研究センター
協  力:MEM
フライヤーデザイン:水木塁

関連シンポジウム「もうこれで終わりにしよう。」
(第43回アーカイブ研究会として開催)
日 時:2024年3月30日(土)14:30-16:30
会 場:京都市立芸術大学 C棟1F 講義室1
(お越しの際は公共交通機関をご利用ください)
▶︎アクセス
申込不要・参加無料
登壇者:
石原友明(京都市立芸術大学美術学部油画専攻教授)
光田由里(多摩美術大学アートアーカイヴセンター 所 長・大学院教授)
佐藤知久(京都市立芸術大学芸術資源研究センター教授)
岸本光大(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA学芸員)


石原友明展「SELFIES」
会  期:2024年3月20日(水・祝)〜3月31日(日)
開場時問:11:00 -17:00|入場無料
会  場:京都市立芸術大学C棟7F大学院制作室701-708
主  催:京都市立芸術大学
企  画:石原友明展実行委員会
展示構成:岸本光大
協  力:MEM
フライヤーデザイン:水木塁

概要:1980年代に写真や絵画、彫刻、インスタレーションを織り交ぜた複合的手法による作品で注目を浴びて以降、石原友明は「セルフポートレート」をはじめとした多様な表現形式を用いて、芸術や知覚に関わる根源的な問題を明らかにしてきました。その作品群は、芸術が芸術として成り立つ原理を検証する手段として評価を受けてきた一方で、現代や未来につながる身体観や「個」の在り方をも鋭く予見・示唆しています。
本展では関西初展示の近作や、重要な過去作を含む7つの作品シリーズを紹介。デジクル革新や社会情勢の混迷が進む現代における「わたし」をテーマに、石原の作品世界に内在する新たな意味を探求します。
(岸本光大/京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA学芸員)


チラシ

第35回アーカイブ研究会のお知らせ

吉田亮人チェキ日記展と第35回アーカイブ研究会
第35回アーカイブ研究会では、有限会社松本工房と共催で、写真家の吉田亮人氏による対話と展示の実験「チェキ日記展」を開催します。



チラシPDF


写真の日常的な氾濫と、写真が呼び起こしているように思われるさまざまな形の関心のため、《それは=かつて=あった》という[写真の]ノエマは、抑圧されることはないとしても、わかりきった特徴として無関心に生きられるおそれがある。「温室の写真」は、まさにそうした無関心から私の目を覚まさせたところであった。
(ロラン・バルト『明るい部屋』)

このたび芸術資源研究センターでは、有限会社松本工房と共催で、写真家の吉田亮人氏による対話と展示の実験「チェキ日記展」を開催します。
吉田亮人氏は1980年生まれ。京都市在住の写真家で、その作品は国内外で展示・出版されており、高い評価を受けています。
本展では、吉田氏が写真家としてデビューする以前から、現在に至るまで撮り続けている膨大な量の家族写真に着目します。2009年からほぼ毎日、1日1枚「チェキ」フィルムで撮影された写真は、ひとつひとつに日付と短いことばが添えられ、同じ月光荘製のスケッチブックに収められています。ひと月で1冊分になるアルバムは今や百冊以上までに増え、現在もこの活動が続いています。
このアルバムはもともと家族写真なので、発表することも、他人に見せるつもりもなかったと吉田氏は言います。それはいずれ大きくなる子供たちへのプレゼントであり、あくまでプライベートなものでした。けれども、12年間におよぶごく日常的な家族の風景を記録した写真を見ていると、それは徐々に、ある種の普遍性をおびたものとして見えてきます。きわめてプライベートで、私的なコンテキストに埋め込まれた記録である他者の家族写真が、なぜか一枚一枚、この上なく貴重な、いとおしいものとして見えてくるのです。
今回考えてみたいことは、大きく分けてふたつあります。ひとつは、この記録/作品がもつ独特の魅力についてです。写真は《それは=かつて=あった》ことを伝えるものだと言われます。「誰かを写真に撮り、それを後で見る」という行為の連続体である「チェキ日記」には、いま目の前にある光景を忘れないための記憶装置としての写真の本質が、シンプルな形式で凝縮されているように思えてなりません。「チェキ日記」について考えることによって、わたしたちは、デジタルカメラによる写真について、他者の記憶と個々人の関係について、さらには、「記憶を呼び起こす」という行為と記録をアーカイブするメディアとの関係について、多くの示唆を得ることになると思います。
第二に、この記録/作品を広く世に出すための方法についてです。「チェキ日記」は、百冊以上のアルバムに貼られた、それぞれが「此性」をもつ写真によって構成されています。したがって、多数のプリント写真をアルバムをめくりながら見ることによってこそ、鑑賞行為が成立します。しかしこのことは、多くの人が直接手にとって感じるような展示形態がきわめて難しいことを意味します。では「チェキ日記」には、どのような展示-鑑賞形態がふさわしいのでしょうか。今後「チェキ日記」を出版するとしたときにも、数千ページの写真集にすればこの作品の良さは伝わるかもしれませんが、現実的にそれはきわめて困難です。では、どのようなかたちであれば、「チェキ日記」はその魅力を維持した「本」になりうるのでしょうか。この問いは、そもそも「オリジナル・プリント」とは何か、そして「写真集」とは何かという問いに、そして再び「アーカイブするメディア」についての問いに接続されていくでしょう。
本展は、展示と研究会の二部構成になります。まず8月24日から6日間、芸術資源研究センターの横にあるギャラリースペースで、オリジナルのアルバム全冊の展示はもとより、複製・拡大プリント・映像投影・展開掲示などの実験を試みながら、作品を公開します。つぎに、展示の終盤に行われる研究会では、吉田氏の写真集『THE ABSENCE OF TWO』(2019)のブックデザインを担当し、かねてより「チェキ日記」に着目してきた、グラフィックデザイナーで有限会社松本工房を運営している松本久木氏を迎えて、この作品の意味と、この作品を展示/出版するための方法について、対話の場を設けます。


|展示|2021年8月24日(火)~8月29日(日)10:00~17:00
会場:京都市立芸術大学 小ギャラリー
本展は、研究のための展示として、来場者を限定して開催いたします。来場は1日10名までに限定させていただきますので、ご了承ください。
来場希望の方は、下記のGoogle Formよりお申込みください。
▶︎申し込みフォーム

|研究会|8月28日(土)14:00~
オンライン開催
予約不要
芸資研YouTubeチャンネルよりライブ配信いたします。
展示と研究会の様子は、どちらも映像に記録し、芸資研YouTubeチャンネルより、後日配信予定です。

▶︎芸資研YouTubeチャンネル

主催:京都市立芸術大学 芸術資源研究センター、有限会社松本工房
協力:富士フイルム、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA


吉田亮人(よしだ・あきひと)
1980年宮崎県生まれ。京都市在住。滋賀大学教育学部卒業後、タイで日本語教師として1年間勤務。帰国後、小学校教員として6年間勤務した後、退職。2010年より写真家として活動開始。広告や雑誌を中心に活動しながら、「働く人」や「生と死」をテーマに作品制作を行い、国内外で高く評価されている。写真集に『Brick Yard』『Tannery』(以上、私家版)、『THE ABSENCE OF TWO』(青幻舎・Editions Xavier Barral)などがある。2021年、写真家としての10年間の活動を綴った書籍『しゃにむに写真家』(亜紀書房)を刊行。コニカミノルタフォトプレミオ2014年度大賞、日経ナショナルジオグラフィック写真賞2015・ピープル部門最優秀賞など受賞多数。KYOTOGRAPHIE 2017のメインプログラムとして公開された自身の祖母と従兄弟の日常を記録した「Falling Leaves」は、国内外の様々なメディアで取り上げられ大きな反響を呼んだ。

松本久木(まつもと・ひさき)
2007年よりグラフィックデザイン・組版・出版を主軸として活動を開始。クライアントには文化的・芸術的領域の団体や機関が多く、芸術関連施設での展覧会やイベントのデザインワーク、演劇・古典芸能・ダンスなどの舞台芸術の広報デザイン、大学・研究所・文化施設の広報物及び出版物の制作、人文・芸術・アート分野の出版及び装丁などを手がけている。緻密かつ繊細でありながら大胆で強い印象を与えるヴィジュアルイメージの構築と、深いコンテクストを持ちながらも抽象性の高いデザインワークに定評がある。2021年、第54回造本装幀コンクールでは、経済産業大臣賞と審査員奨励賞(京都市立芸術大学 芸術資源研究センター紀要「COMPOST vol.01」にて)を受賞。


資料展開催のご案内

井上隆雄「インド・ラダック仏教壁画」資料展
—井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究—
蘇る天空の密教図像



京都市立芸術大学芸術資源研究センターのプロジェクトの一つ「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究」では、3月23日(火)より資料展を開催します。
「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究」は、2017年4月より本学出身であり写真家として数々の功績を残された井上隆雄氏の膨大な写真関連資料をお預かりし、調査研究を進めています。その中にインド・ラダック地方の写真資料があり、外国人の入域制限が解かれた1974年頃の仏教壁画群に関する1,000点を超えるポジ類、多数の資料類があります。井上隆雄氏の写真資料は、当時の状態を鮮明に記録しており、また壁画の寸法やメモなどの取材記録もあります。
2018年11月よりアーカイヴ・学術(仏教美術)・実技(日本画)の研究者による共同研究「井上隆雄写真資料のアーカイヴ構築に基づいたラダック仏教壁画のグラフィック的観点からの表現技法研究」を開始しました。これまでにインド・ラダック仏教壁画に関するポジフィルムを15の寺院別に分類し、デジタル化を進めてきました。また高解像度のデジタルデータより、アルチ寺三層堂一階の「般若波羅蜜仏母」壁画に注目し、模写制作を行いました。
本資料展ではこれらアーカイヴ活動と図像研究の成果を井上隆雄氏の活動の軌跡とともに公開します。是非、この機会にご高覧頂ければ幸いです。


【アクセス】
〒610-1197 京都市西京区大枝沓掛町13-6
京都市立芸術大学小ギャラリー(大学会館内)
・桂駅東口:京阪京都交通バス、芸大前(約20分)で下車。バス停から徒歩ですぐ。
詳しくは、京都市立芸術大学ホームページをご確認ください。 http://www.kcua.ac.jp/access/
ご来場は、公共交通機関をご利用下さい。

*ご来館の際はマスクを着用ください。手洗い・手指消毒の感染予防対策にご協力ください。


【主催】
共同研究「井上隆雄写真資料のアーカイヴ構築に基づいたラダック仏教壁画のグラフィック的観点からの表現技法研究」
山下晃平(京都市立芸術大学美術学部非常勤講師、「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究」プロジェクトリーダー)
加須屋誠(京都市立芸術大学芸術資源研究センター・客員研究員)
正垣雅子(京都市立芸術大学・日本画専攻准教授)
岡田真輝(京都市立芸術大学大学院・芸術学専攻修了生)
林宏枝(京都市立芸術大学・ビジュアルデザイン専攻卒業生)
【協力】京都市立芸術大学芸術資源研究センター
【助成】DNP文化振興財団グラフィック文化に関する学術研究助成

展覧会のお知らせ

《バシェ音響彫刻 特別企画展》

1970年大阪万博から50年 〜 よみがえる響き ゆらめく身体  〜

バシェ音響彫刻は耳に響くだけでなく、身体に共振し、心の底の何かをゆり起こす。
これは古い修復楽器ではなく、新たな発見をもたらす音の未来装置かもしれない。

「バシェの音響彫刻」とは、ベルナール・バシェ(1917-2015)、フランソワ・バシェ(1920-2014)兄弟によって考案された、音の鳴るオブジェです。1970年大阪万博において鉄鋼館に展示する音響彫刻の製作を依頼されたフランソワ・バシェは、来日して17基の音響彫刻を作りました。しかし万博閉幕後、音響彫刻はすべて解体され、倉庫に保管されたまま世の中から忘れられていきました。2010年、鉄鋼館が「EXPO’70パビリオン」として再開されることとなり、それを機にバシェの音響彫刻を修復・復元する計画が進み始めました。現在までに修復され、音の出せる状態で保管されている音響彫刻6基のうち、2013年に修復された「高木フォーン」「川上フォーン」、2015年京都市立芸大で修復された「桂フォーン」「渡辺フォーン」、2017年東京藝術大学で修復された「勝原フォーン」の5基が、今年11月ギャラリー@KCUAに集います。そして修復に至るまでのアーカイブを展示すると共に、コンサートやパフォーマンス公演、ワークショップなどを行ないます。また、コンサート終了後は、バシェの音響彫刻と教育音具パレット・ソノールに実際に触れて、音を体感することができます。


会 場 :京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
展示室 :@KCUA 1, 2
会 期 :2020年11月7日(土)–2020年12月20日(日)
開館時間:11:00–19:00
休館日 :月曜休館(11月23日(月・祝)は開館)
入場料 :無料
主 催 :京都市立芸術大学
共 催 :東京藝術大学ファクトリーラボ
企 画 :京都市立芸術大学芸術資源研究センター バシェの音響彫刻プロジェクト
助 成 :2020年度 日本万国博覧会記念基金事業助成
協 力 :大阪府/万博記念公園マネジメント・パートナーズ(BMP)/バルセロナ大学/「L’association STRUCTURES SONORES BASCHET」(フランスのバシェ協会)/バシェ協会(日本)

お問い合わせ
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

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崇仁小学校展|記憶のひきだし/見返りすうじん 開催のお知らせ

京都市立芸術大学・崇仁小学校の記録と記憶を継承するプロジェクト

崇仁小学校展|記憶のひきだし/見返りすうじん

2023年度,京都市立芸術大学が崇仁地区に移転します。
この移転に向けて2020年度に,崇仁小学校の建物は解体されます。
けれども,この建物であったことや思い出がなくなるわけではありません。
「崇仁小学校展|記憶のひきだし/見返りすうじん」は,たくさんの人たちが利用した崇仁小を,記憶がいっぱいつまった大きなひきだしに見立て,そのひきだしを引いたり出したりすることで,さまざまな人たちが記憶をひきし,見返しながら,未来に向けて継承していく催しです。

  • 2020年3月20日(金・祝)〜3月31日(火)
  • 3月23日,26日,30日はお休み
  • 会場:元・崇仁小学校(京都市下京区川端町16)
  • 参加無料(事前申込不要)

屋外展示
ミカエルさん
(制作・伊達伸明)
ミカエルさんのTwitter公開中!
日々変化を続けるミカエルさんの動向をチェックできます。
制作過程、校内散歩、バージョン変更企画などを随時発信!


展示
崇仁小学校資料展
「崇仁小学校をわすれないためにセンター」
会場:南校舎1階ギャラリースペース
参加方法:直接会場へお越しください。
入場無料 


参加型展示・展示
校舎のかけら〈ーここでなにがあった?ー〉
会場:元崇仁小学校全体(参加型展示),南校舎1階ギャラリースペース(展示)
参加方法:南校舎西側入り口の受付でシールを受け取ってください。(無料)


写真展
懐かしい崇仁小学校の卒業生・教員の写真展
崇仁自治連合会と共催。歴代の卒業生・教職員集合写真を展示します。
会場:南校舎1階
入場無料


展示
100年後の未来に伝える崇仁地域の今
崇仁発信実行委員会と共催。崇仁地域の現在の姿を住民・学生と共に制作した写真や映像で紹介します。
会場:南校舎1階ギャラリースペース 
入場無料


崇仁小学校アトリエ利用者による展示
劇団三毛猫座
舞台美術・衣装展
京都市立芸術大学出身者を中心に活動している劇団三毛猫座の舞台美術・意匠の展示です。
開催日:3月20日(金・祝日)~22日(月)


ギャラリー崇仁完成見学会
ギャラリー崇仁は、寺岡波瑠により設計され,約2年間京都市立芸術大学に関係のある様々なアーティストにより展覧会を開催してきました
本見学会は、ギャラリー崇仁の最後のイベントです。
開催日:3月14日(土)~29日(日)12:00-17:00 
会場:本館1階 ギャラリー崇仁
コーディネーター¦SCRAPANTISE(黒川岳/寺岡波瑠/平田万葉)


新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、開催期間中は、アルコール消毒液を会場に配備するとともに、状況に応じて開催内容を変更する場合があります。ご了承ください。

チラシ


主催|京都市立芸術大学・崇仁小学校の記録と記憶を継承するプロジェクト共催|崇仁自治連合会 崇仁発信実行委員会
お問合せ|京都市立芸術大学芸術資源研究センター tel /fax 075-334-2217


展覧会のお知らせ

プロジェクト「うつしから読み取る技術的アーカイブ」

「模写を読む-画家は何をうつしてきたのか」


京都市立芸術大学芸術資料館の収蔵品は,来年140年を迎える本学の歴史の中で,様々な機会を得て集められてきました。それは本学にとって歴史の語り部ともいえます。
模写は古くから絵画の学習における一 段や,貴重で実見が難しい本物の代用品などの役割を担ってきました。近代以降はその目的・役割が多様化し,それとともに様式も変化しています。例えば次のような用途が挙げられます。
・美術学校という研究,教育機関の資料
・文化財の現状を正確に記録する資料
・運筆手本に代わる初学者用の手本
・時代による 「さび」を含めて味わう鑑賞絵画
・科学的な分析を活用した復元

これらの用途の違いによって,線一本の描き方も違ってきます。一見,変わらないものの代表のように見える古画の模写ですが,実は極めて歴史的な産物なのです。
本学の資料館には,江戸時代から平成まで,数多くの模写が所蔵されています。これらを読み解くことで,人の手でうつし伝えられてゆくものの可視化を試みます。

【主な展示予定作品】 
 村上華岳《釈迦成道図》(模本)1912年
 林司馬《法隆寺金堂六号壁観音菩薩像》(模本)1948年ほか

本展企画担当
美術学部日本画博士課程/非常勤講師 小林玉雨
美術学部教授 田島達也

  • 会期:2019年10月26日(土)-12月1日(日)9:00−17:00 月曜休館(月曜日が祝日の場合は翌火曜日休館)
  • ギャラリートーク:11月26日(12:15~12:45)
  • 会場:京都市立芸術大学 資料館
  • 入場無料

うつしから読み取る技術的アーカイブ

展覧会のお知らせ

「クロニクル京都1990s―ダイアモンズ・アー・フォーエバー、アートスケープ、そして私は誰かと踊る」


会期|2018年10月6日(土)~1月20(日)10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし2019年1月1日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30)
会場|森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
主催|森美術館
企画|椿 玲子(森美術館キュレーター)、石谷治寛(京都市立芸術大学芸術資源研究センター研究員)
協力|京都市立芸術大学芸術資源研究センター、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ(アーティスト)、山中 透(ミュージシャン)、シモーヌ深雪(シャンソン歌手、ドラァグクィーン)、佐藤知久(京都市立芸術大学芸術資源研究センター准教授)
料金|一般 1,800円/学生(高校・大学生)1,200円/子供(4歳~中学生)600円/シニア(65歳以上)1,500円※「カタストロフと美術のちから展」チケットで鑑賞可
ウェブサイト|https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamresearch006/index.html


〈展覧会経緯〉

「クロニクル京都1990s―ダイアモンズ・アー・フォーエバー、アートスケープ、そして私は誰かと踊る」は森美術館の「MAMリサーチ006」で、芸術資源研究センターの研究員石谷治寛と森美術館のキュレーターの椿玲子の共同企画です。本企画のもととなる調査は、2016年末からアーティスト、ブブ・ド・ラ・マドレーヌさんの協力で旧アートスケープに残された資料調査に端を発します。芸術資源研究センターでは、第17回アーカイブ研究会「エイズ・ポスター・プロジェクトを振り返る」http://www.kcua.ac.jp/arc/2017/05/17/で、当時の主催者たちとのディスカッションを行いました。
その後、関係者の協力を得て、資料の整理、映像テープやスライドのデジタル化、ビデオ・インタビューを行ってきました。
今回の展示では、それらの資料に加えて、マルチメディア・アーティスト集団ダムタイプ制作のポスターやチラシ、コンピレーション映像、本学卒業生も立ち上げに尽力したクラブイベント「ダイアモンズ・アー・フォーエバー」のフライヤーなども収集し、壁面に複製展示しております。
芸術資源研究センターでは2015年度に古橋悌二『LOVERSー永遠の恋人たち』(1994年)の修復を行い(http://www.kcua.ac.jp/arc/lovers/)、2016年度には、京都芸術センターでの展示に協力しましたが、本作の歴史的文脈を1990年代に焦点をあてて検討する資料展示にもなっています。
12月11日、12月12日には以下の関連プログラムも行われています。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamresearch006/03/index.html


〈関連イベント〉

ドラァグクィーン・パーティー&フィルム・スクリーニング
「DIAMONDS ARE FOREVER TOKYO」
本イベントの第1部では、ドラァグクィーン・パーティーと『ダイヤモンド・アワー』(1994)の上映が一体となったゴージャスかつ実験的なパフォーマンスが行われます。『ダイヤモンド・アワー』とは、「ダイアモンズ・アー・フォーエバー」にレギュラー出演していたD・K・ウラヂが、ミス・グロリアス(*1)をヒロインに、当時のレギュラーメンバーであったドラァグクイーンたちを、総出演させて自主制作した映像作品です。1992年にHIV感染を告白したミス・グロリアスの身体がクリスタル・シティに見立てられ、その中で繰り広げられるHIVウイルスとの闘いとその果ての死を、時にスタイリッシュに、時にブラックユーモアたっぷりに描いた、日本初のドラァグクイーン・ムービーです。その映像作品の中で繰り広げられるショーの数々を、当時の出演者と現在「ダイアモンズ・アー・フォーエバー」に出演中のドラァグクィーンたちが、映像に合わせてパフォーマンスを繰り広げていきます。
第2部では、ドラァグ・スタイルのレヴューショーを、パフォーマー総出演でめくるめく華やかさでお届けします。ダンスタイムは「ダイアモンズ・アー・フォーエバー」のレギュラーDJであり、山中透名義でダムタイプやオン・ケンセンの音楽を担当したDJ LaLaと、ピチカート・ファイヴの小西康陽をレギュラーゲストに迎え、渋谷系ラウンジパーティーを主催しているDJ korが務めます。オープンからラストまで、エキセントリックな空間の顕現に、誰もが未体験の衝撃を受けることでしょう。
*1 ミス・グロリアス=古橋悌二(故人)

出演:DJ LaLa、DJ kor、シモーヌ深雪、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、マミー・ムー・シャングリラ、フランソワ・アルデンテ、アフリーダ・オー・ブラート、そよ風さん、ショコラ・ド・ショコラ、サナ・サイーダ、オナン・スペルマーメイド、ダイアナ・エクストラバガンザ、エンジェル・ジャスコ、おりいぶぅ、ウラジミール・パウダリーナ ほか

日時|2018年12月11日(火)19:30~0:30(受付開始 19:00)パーティー・スタート 19:30パーティー・クローズ 0:30
1部 飛び出すダイヤモンド・アワー(3D)
2部 Show The Revue on Revue
会場|AiSOTOPE LOUNGE(アイソトープ・ラウンジ)
〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目12-16 セントフォービル1階
問い合わせ|AiSOTOPE LOUNGE Tel: 03-6380-1504
料金|当日3,500円(1ドリンク付き)、フライヤー割引3,000円(1ドリンク付き)※本イベントのフライヤーを当日ご持参ください。
主催|DIAMONDS ARE FOREVER
協力|森美術館

Akira Otsubo 「Shadow in the House」展開催のお知らせ

Akira Otsubo 「Shadow in the House」


2018年3月22日(木)~31日(土)10:00 – 17:00

会場|京都市立芸術大学 小ギャラリー

主催|京都市立芸術大学 芸術資源研究センター

企画|高嶋慈

助成|平成29年度 京都市立芸術大学 特別研究助成

チラシ


〈展覧会概要〉

大坪晶の写真作品《Shadow in the House》シリーズは、時代の変遷とともに所有者が入れ替わり、多層的な記憶を持つ家の室内空間を被写体としています。室内に残る歴史の記録であると同時に、ダンサーが動いた身体の軌跡を長時間露光撮影によって「おぼろげな影」として写し込むことで、何かの気配や人がそこにいた痕跡を想像させます。それは、複数の住人の記憶が多重露光的に重なり合い、もはや明確な像を結ぶことのできない記憶の忘却を指し示すとともに、それでもなお困難な想起へと開かれた通路でもあります。

大坪は近年、日本各地に現存する「接収住宅」(第二次世界大戦後のGHQによる占領期に、高級将校とその家族の住居として使用するため、強制的に接収された個人邸宅)を対象とし、精力的なリサーチと撮影を続けています。撮影場所の選定にあたっては、建築史や都市史研究者から提供を受けた論文や資料を参照するとともに、「接収住宅」の所有者の遺族や管理者への聞き取りを行っています。展覧会は、《Shadow in the House》を写真作品、関連資料、資料に基づいた作品、批評テクストからなる複合的なインスタレーションとして構成します。これらを通して、「住宅」という私的空間から大文字の「歴史」や異文化の接触を捉え直す視座を開くとともに、接収の実態や生活様式の変遷が今日の私たちの文化や精神性に与えた影響についても考える機会とします。

また、会期中には、都市史研究者の村上しほり氏と、写真史・視覚文化研究者の林田新氏をお招きしたシンポジウムを開催いたします。


〈関連シンポジウム〉

「記憶⇄記録をつなぐ」Vol.2

2018年3月25日(日)14:00-16:00(参加無料、予約不要)

会場:京都市立芸術大学 芸術資源研究センター

●第一部

アーティストトーク(大坪晶)

レクチャー

「占領下の都市と接収:その記録と記憶」村上しほり(神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 研究員)

「Sujin Memory Bank Project:柳原銀行記念資料館と地域の記憶」林田新(京都造形芸術大学 アートプロデュース学科専任講師)

●第二部

ディスカッション「記憶⇄記録をつなぐ 」

参加者 : 村上しほり、林田新、大坪晶、高嶋慈(京都市立芸術大学 芸術資源研究センター 研究員)

 

 

 

 

「Memory Bank Project #02  BANK――映画『東九条』でつなぐこと――」開催のお知らせ

 

「Memory Bank Project #02  BANK――映画『東九条』でつなぐこと――」

明治32年に柳原町(崇仁地域)の町長であった明石民蔵らによって設立された柳原銀行。柳原銀行記念資料館は,その建物を移築・復元したもので,1997年の開館以来,地域の歴史,文化,生活資料を収集・展示してきました。かつて銀行であった建物には,現在,この地域にまつわる多様な記録資料が蓄えられています。「Sujin Memory Bank Project」とは,銀行に貯蓄されている地域の「記憶」をひとときの間お借りし,アーカイブ/ドキュメントについて,地域の歴史について実践的に考察していこうというプロジェクトです。2016年に開催した「Sujin Memory Bank Project #01 デラシネ――根無しの記憶たち」では,資料館所蔵の私的な写真を取り上げて展示を行いました。第二回目となる今回は資料館所蔵の映画「東九条」を取り上げ,上映展示を行います。

1969年に公開された映画「東九条」は,差別や貧困といった当時の東九条の厳しい現実を告発すべく制作された自主制作映画です。映画が映し出すのは1968年の東九条。2004年公開の映画「パッチギ!」と同じ時代と場所を描いています。手持ちの8mmカメラが東九条で営まれる人々の暮らしに深く分け入っていきます。監督を務めたのは山内政夫。現在の柳原銀行記念資料館事務局長です。

東九条が大きく様変わりした現在,この映画がかつて持っていた告発のリアリティは後景に退いています。さらに,資料館が保存するこの映画には当時あったはずの音声トラックがありません。1968年に撮影されてから時を経て,声を失ったこの映画は私たちに何を語りかけてくるのでしょうか。映画の冒頭では,1960年代の鴨川沿いの土手=bankに密集して立ち並ぶ家々が映し出されます。その少し上流,崇仁に建つかつての銀行=bankでこの映画は,過去と現在を,東九条と崇仁をゆるやかに結び合わせていくことでしょう。

会期:2018年3月1日〜4月22日
会場:柳原銀行記念資料館
企画:林田新、髙橋耕平、見増勇介
主催:京都市立芸術大学芸術資源研究センター、柳原銀行記念資料館
助成:平成29年度京都市立芸術大学特別研究助成
チラシ

京都芸大「今熊野・岡崎学舎」井上隆雄写真展のお知らせ


京都芸大「今熊野・岡崎学舎」井上隆雄写真展

—もう一つの『描き歌い伝えて』—
井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブ実践研究


  • 日時:2018年2月7日(水)ー2月11日(日)13:00-17:00、会期中無休
  • 場所:元・崇仁小学校 南校舎2F
  • 企画:山下晃平(「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究」プロジェクトリーダー)、  入澤聖明(京都市立芸術大学大学院博士後期課程、近現代工芸史)、岡崎藍(日本画専攻4回生)、   西尾友希(ビジュアルデザイン専攻4回生)、林宏枝(ビジュアルデザイン専攻4回生)
  • 主催:京都市立芸術大学芸術資源研究センター
  • 協力:小牧徳満(美術家)
  • 助成:平成29年度京都市立芸術大学特別研究助成
  • チラシ

    〈展覧会概要〉

    2017年4月より京都市立芸術大学芸術資源研究センターでは、本学出身であり写真家として数々の功績を残された井上隆雄さんの膨大な写真関連資料をお預かりし、調査研究を進めています。今年の資料調査で、京都市立芸術大学が現在の沓掛に移転する前の「今熊野・岡崎学舎」(1926年から1980年まで)の写真プリントが多数保管されていることを確認しました。調査の結果、その中には1980年に刊行された今熊野・岡崎学舎の記録集『描き歌い伝えて』には掲載されていない写真も含まれています。

    そこで本展では、井上隆雄さんが残したこの京都芸大今熊野・岡崎学舎の写真プリントやポジ・ネガ、記録集作成のための資料を展示するとともに、本プロジェクト「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブ実践研究」の活動紹介を行います。

    そのため本展は単なる写真展ではありません。書籍・プリント・ネガ・ポジ・メモ類等、関連資料を併置することで、表現の多様化やデジタルメディアの発展とともにその動向が注視されているアーカイブ、すなわち資料の分類・調査・管理・利活用の意義を検証します。また現在、京都市立芸術大学は沓掛からこの崇仁地区への移転を計画しています。この元・崇仁小学校を舞台に、「今熊野・岡崎学舎」の写真を展示し、今熊野・岡崎→沓掛→崇仁地区という長い年月を一つに重ね合せることで、移転や歴史について考えるささやかな場となるでしょう。

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