吉田亮人チェキ日記展と第35回アーカイブ研究会
第35回アーカイブ研究会では、有限会社松本工房と共催で、写真家の吉田亮人氏による対話と展示の実験「チェキ日記展」を開催します。
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写真の日常的な氾濫と、写真が呼び起こしているように思われるさまざまな形の関心のため、《それは=かつて=あった》という[写真の]ノエマは、抑圧されることはないとしても、わかりきった特徴として無関心に生きられるおそれがある。「温室の写真」は、まさにそうした無関心から私の目を覚まさせたところであった。
(ロラン・バルト『明るい部屋』)
このたび芸術資源研究センターでは、有限会社松本工房と共催で、写真家の吉田亮人氏による対話と展示の実験「チェキ日記展」を開催します。
吉田亮人氏は1980年生まれ。京都市在住の写真家で、その作品は国内外で展示・出版されており、高い評価を受けています。
本展では、吉田氏が写真家としてデビューする以前から、現在に至るまで撮り続けている膨大な量の家族写真に着目します。2009年からほぼ毎日、1日1枚「チェキ」フィルムで撮影された写真は、ひとつひとつに日付と短いことばが添えられ、同じ月光荘製のスケッチブックに収められています。ひと月で1冊分になるアルバムは今や百冊以上までに増え、現在もこの活動が続いています。
このアルバムはもともと家族写真なので、発表することも、他人に見せるつもりもなかったと吉田氏は言います。それはいずれ大きくなる子供たちへのプレゼントであり、あくまでプライベートなものでした。けれども、12年間におよぶごく日常的な家族の風景を記録した写真を見ていると、それは徐々に、ある種の普遍性をおびたものとして見えてきます。きわめてプライベートで、私的なコンテキストに埋め込まれた記録である他者の家族写真が、なぜか一枚一枚、この上なく貴重な、いとおしいものとして見えてくるのです。
今回考えてみたいことは、大きく分けてふたつあります。ひとつは、この記録/作品がもつ独特の魅力についてです。写真は《それは=かつて=あった》ことを伝えるものだと言われます。「誰かを写真に撮り、それを後で見る」という行為の連続体である「チェキ日記」には、いま目の前にある光景を忘れないための記憶装置としての写真の本質が、シンプルな形式で凝縮されているように思えてなりません。「チェキ日記」について考えることによって、わたしたちは、デジタルカメラによる写真について、他者の記憶と個々人の関係について、さらには、「記憶を呼び起こす」という行為と記録をアーカイブするメディアとの関係について、多くの示唆を得ることになると思います。
第二に、この記録/作品を広く世に出すための方法についてです。「チェキ日記」は、百冊以上のアルバムに貼られた、それぞれが「此性」をもつ写真によって構成されています。したがって、多数のプリント写真をアルバムをめくりながら見ることによってこそ、鑑賞行為が成立します。しかしこのことは、多くの人が直接手にとって感じるような展示形態がきわめて難しいことを意味します。では「チェキ日記」には、どのような展示-鑑賞形態がふさわしいのでしょうか。今後「チェキ日記」を出版するとしたときにも、数千ページの写真集にすればこの作品の良さは伝わるかもしれませんが、現実的にそれはきわめて困難です。では、どのようなかたちであれば、「チェキ日記」はその魅力を維持した「本」になりうるのでしょうか。この問いは、そもそも「オリジナル・プリント」とは何か、そして「写真集」とは何かという問いに、そして再び「アーカイブするメディア」についての問いに接続されていくでしょう。
本展は、展示と研究会の二部構成になります。まず8月24日から6日間、芸術資源研究センターの横にあるギャラリースペースで、オリジナルのアルバム全冊の展示はもとより、複製・拡大プリント・映像投影・展開掲示などの実験を試みながら、作品を公開します。つぎに、展示の終盤に行われる研究会では、吉田氏の写真集『THE ABSENCE OF TWO』(2019)のブックデザインを担当し、かねてより「チェキ日記」に着目してきた、グラフィックデザイナーで有限会社松本工房を運営している松本久木氏を迎えて、この作品の意味と、この作品を展示/出版するための方法について、対話の場を設けます。
|展示|2021年8月24日(火)~8月29日(日)10:00~17:00
会場:京都市立芸術大学 小ギャラリー
本展は、研究のための展示として、来場者を限定して開催いたします。来場は1日10名までに限定させていただきますので、ご了承ください。
来場希望の方は、下記のGoogle Formよりお申込みください。
▶︎申し込みフォーム
|研究会|8月28日(土)14:00~
オンライン開催
予約不要
芸資研YouTubeチャンネルよりライブ配信いたします。
展示と研究会の様子は、どちらも映像に記録し、芸資研YouTubeチャンネルより、後日配信予定です。
▶︎芸資研YouTubeチャンネル
主催:京都市立芸術大学 芸術資源研究センター、有限会社松本工房
協力:富士フイルム、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
吉田亮人(よしだ・あきひと)
1980年宮崎県生まれ。京都市在住。滋賀大学教育学部卒業後、タイで日本語教師として1年間勤務。帰国後、小学校教員として6年間勤務した後、退職。2010年より写真家として活動開始。広告や雑誌を中心に活動しながら、「働く人」や「生と死」をテーマに作品制作を行い、国内外で高く評価されている。写真集に『Brick Yard』『Tannery』(以上、私家版)、『THE ABSENCE OF TWO』(青幻舎・Editions Xavier Barral)などがある。2021年、写真家としての10年間の活動を綴った書籍『しゃにむに写真家』(亜紀書房)を刊行。コニカミノルタフォトプレミオ2014年度大賞、日経ナショナルジオグラフィック写真賞2015・ピープル部門最優秀賞など受賞多数。KYOTOGRAPHIE 2017のメインプログラムとして公開された自身の祖母と従兄弟の日常を記録した「Falling Leaves」は、国内外の様々なメディアで取り上げられ大きな反響を呼んだ。
松本久木(まつもと・ひさき)
2007年よりグラフィックデザイン・組版・出版を主軸として活動を開始。クライアントには文化的・芸術的領域の団体や機関が多く、芸術関連施設での展覧会やイベントのデザインワーク、演劇・古典芸能・ダンスなどの舞台芸術の広報デザイン、大学・研究所・文化施設の広報物及び出版物の制作、人文・芸術・アート分野の出版及び装丁などを手がけている。緻密かつ繊細でありながら大胆で強い印象を与えるヴィジュアルイメージの構築と、深いコンテクストを持ちながらも抽象性の高いデザインワークに定評がある。2021年、第54回造本装幀コンクールでは、経済産業大臣賞と審査員奨励賞(京都市立芸術大学 芸術資源研究センター紀要「COMPOST vol.01」にて)を受賞。
2021/08/14
「失われた絵画とアーカイブ 宇佐美圭司絵画の廃棄処分への対応について」
第34回アーカイブ研究会は、加治屋健司先生にお話いただきました。
2018年4月、東京大学本郷キャンパスの中央食堂にかけられていた宇佐美圭司の絵画が廃棄処分されたことが判明し、全国的な話題となりました。東京大学は、失われた絵画の調査や学内の文化資産の管理に取り組むと同時に、学内の研究者を中心に、廃棄処分に関する議論を重ね、2021年4月から東京大学駒場博物館で「宇佐美圭司 よみがえる画家」展を開催するに至りました。本研究会では、絵画の廃棄処分の報道から展覧会の開催までの取り組みを概観しつつ、その過程でアーカイブが果たした重要な役割を考察します。それと同時に、展覧会で展示している《きずな》(1977年)の再現画像作成と《Laser: Beam: Joint》(1968年)の再制作についてもお話しします。
発表:加治屋健司
コメント:石原友明(京都市立芸術大学美術学部教授)
司会:佐藤知久(京都市立芸術大学美術学部
主催:芸術資源研究センター
収録:2021年6月21日17:30~ @芸資研
芸資研YouTubeチャンネル
加治屋健司|Kenji Kajiya|
(東京大学大学院総合文化研究科教授、東京大学芸術創造連携研究機構副機構長、京都市立芸術大学芸術資源研究センター特別招聘研究員)
アメリカと日本を中心とした現代美術史、美術批評史を研究。日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ代表も務める。著書に『アンフォルム化するモダニズム カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』(東京大学出版会、近刊)。
2021/08/03
この度,紀要『COMPOST』vol.01,vol.02の販売を開始しました。
購入を希望される方は下記の注文フォームよりご注文ください。
『COMPOST』注文フォーム
ウェブ版は引き続きこちらからご覧ください。
PDF版
2021/08/03
芸術資源研究センター紀要
COMPOSTvol.02
この度,紀要『COMPOST』vol.02を発行いたしました。
ウェブ版はこちらからご覧ください。
PDF版
2021/06/01
2020年度より、THEATRE E9 KYOTOと京都市立芸術大学・芸術資源研究センターでは、
THEATRE E9 KYOTOで上演される作品を、基本的に全て記録(アーカイブ)するプロジェクト「THEATRE E9 KYOTO上演作品アーカイブ」を実施しています。
このたび、次年度のプロジェクトに参加していただける、メンバーを募集します。
説明会・研究会
2021年3月11日(木) 19:00〜20:00 募集説明会
2021年3月17日(水) 13:00〜15:00 THEATRE E9 KYOTOアーカイブ 研究会 [ゲスト:Yelena Gluzman氏(実験演劇演出家、映像作家)] 15:15〜16:15 募集説明会
※説明会・研究会はオンラインにて行います。参加される方は以下のフォームよりお申し込みください。申し込み後、当日のURLをご案内します。(説明会は二回とも同じ内容になります)
参加無料
【プロジェクト「THEATRE E9 KYOTO上演作品アーカイブ」とは?】
日本では、小さな劇場で上演された舞台芸術作品を、体系的に記録し、その記録を蓄積していくシステムがほとんど存在しません。記録作業は基本的に各カンパニーに委ねられており、公共的・恒久的に記録を保管し、舞台芸術の豊かさを継承していくためのしくみが不足しています。THEATRE E9 KYOTOでは、京都市立芸術大学・芸術資源研究センターと協働して、本劇場で上演された作品の記録を継続的に保管し、記録を閲覧できる環境を整えることによって、同時代・未来の舞台芸術関係者や研究者たちがより良い作品を制作し、さらなる研究活動と創作活動に活かすことができるような、「舞台芸術の共有資源」をつくることをめざしています。目標は高いのですが、今ある装備は、カメラ1台、パソコン1台です。限られた資源の中ではありますが、メンバーと実践を重ねて行く中で議論を重ねながら、少しづつアーカイブの方法から活用までの仕組みと内容をつくって参りたいと思います。
【参加条件】
年齢・職業は不問です。
「舞台芸術(パフォーミング・アーツ)を記録するのに最適な方法」や、「アーカイブされた舞台芸術資料の活用」「記録をもとにした作品制作や再演」などに、実践者・研究者・マネジメント・鑑賞者など、様々な視点から興味があること。
月に1〜2回程度、上演作品の撮影記録に参加できること(撮影日は公演ごとにスケジュール調整します)
※アーカイブミーティングはアーカイブの手法や芸術を記録することなどについて広く話し合う場となります。オープンな場として、アーカイブメンバーでなくても参加可能です。
【活動内容】
上演作品の撮影…映像撮影の経験は不問です。機材はこちらで準備します。撮影は 二人一組で行い、データはE9がマスターを、芸資研がバックアップを保管します。
ミーティングへの参加…プロジェクトの実務だけでなく、記録や活用の方法などについて、多彩なゲストを交えて話し合う場を設けます。開かれた会として開催し、パフォーミングアーツをめぐる豊かな文化をつくっていくことが目的です。毎月第1火曜日19:00からの実施を予定しています。
【特典!】
記録部メンバーには、E9サポーターズクラブエリア限定会員証を差し上げます(2021年度のほぼ全てのプログラムが鑑賞可能です)。
[研究会ゲストYelena Gluzman氏プロフィール]
実験演劇の演出家で映像作家でもあるイェレナ・グラズマン(Yelena Gluzman)は、認知科学、インタラクション研究、批判的障害学やフェミニストSTS(科学技術社会論)などの諸分野にまたがって活動しています。最近のプロジェクトでは、「他者の心」がどのように上演されるのかを室内実験において調べたり、聴覚障害者や難聴者の学生のためにリアルタイムの書き取りを行なうキャプション担当者たちの分散型コミュニケーションの生態学を分析しています。これまでに出版された仕事は、研究としてのパフォーマンス(PaR)の議論に貢献し、実験的反省性と「演劇としての研究」(RaT)の可能性を考察しています。グラズマンはニューヨークの出版社Ugly Duckling Presseの創設メンバーであり、『Emergency Index: An Annual Compendium of Performance Practice(エマージェンシー・インデックス;パフォーマンス実践の年間記録)』の創設編集者と、「Emergency Playscripts」シリーズの共同創刊者としても知られています。
【応募先】
応募の際には、以下のフォームから[氏名、所属、年齢、連絡先(メールアドレスと電話番号)、応募理由]を明記の上、ご応募ください。応募者多数の場合には審査の上、採用不採用のご連絡をします。
[説明会/研究会 参加申し込みフォーム]
https://forms.gle/bMXqpSDHLiYAtWki7
[新規メンバー 応募フォーム]
https://forms.gle/gaXzUMPZX6JubLvq9
【募集についてのお問い合わせ】
芸術資源研究センター:geishiken@gmail.com(担当:村上)
京都市立芸術大学芸術資源研究センター
〒610-1197 京都市西京区大枝沓掛町13-6 TEL/FAX : 075-334-2217 Email : geishiken@gmail.com
一般社団法人アーツシード京都
〒601-8013 京都府京都市南区東九条南河原町9-1 TEL:075-661-2515(10:00〜18:00) Email:info@askyoto.or.jp
THEATRE E9 KYOTO 上演作品アーカイブ
2021/03/09
井上隆雄「インド・ラダック仏教壁画」資料展
—井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究—
蘇る天空の密教図像
京都市立芸術大学芸術資源研究センターのプロジェクトの一つ「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究」では、3月23日(火)より資料展を開催します。
「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究」は、2017年4月より本学出身であり写真家として数々の功績を残された井上隆雄氏の膨大な写真関連資料をお預かりし、調査研究を進めています。その中にインド・ラダック地方の写真資料があり、外国人の入域制限が解かれた1974年頃の仏教壁画群に関する1,000点を超えるポジ類、多数の資料類があります。井上隆雄氏の写真資料は、当時の状態を鮮明に記録しており、また壁画の寸法やメモなどの取材記録もあります。
2018年11月よりアーカイヴ・学術(仏教美術)・実技(日本画)の研究者による共同研究「井上隆雄写真資料のアーカイヴ構築に基づいたラダック仏教壁画のグラフィック的観点からの表現技法研究」を開始しました。これまでにインド・ラダック仏教壁画に関するポジフィルムを15の寺院別に分類し、デジタル化を進めてきました。また高解像度のデジタルデータより、アルチ寺三層堂一階の「般若波羅蜜仏母」壁画に注目し、模写制作を行いました。
本資料展ではこれらアーカイヴ活動と図像研究の成果を井上隆雄氏の活動の軌跡とともに公開します。是非、この機会にご高覧頂ければ幸いです。
【アクセス】
〒610-1197 京都市西京区大枝沓掛町13-6
京都市立芸術大学小ギャラリー(大学会館内)
・桂駅東口:京阪京都交通バス、芸大前(約20分)で下車。バス停から徒歩ですぐ。
詳しくは、京都市立芸術大学ホームページをご確認ください。 http://www.kcua.ac.jp/access/
ご来場は、公共交通機関をご利用下さい。
*ご来館の際はマスクを着用ください。手洗い・手指消毒の感染予防対策にご協力ください。
【主催】
共同研究「井上隆雄写真資料のアーカイヴ構築に基づいたラダック仏教壁画のグラフィック的観点からの表現技法研究」
山下晃平(京都市立芸術大学美術学部非常勤講師、「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究」プロジェクトリーダー)
加須屋誠(京都市立芸術大学芸術資源研究センター・客員研究員)
正垣雅子(京都市立芸術大学・日本画専攻准教授)
岡田真輝(京都市立芸術大学大学院・芸術学専攻修了生)
林宏枝(京都市立芸術大学・ビジュアルデザイン専攻卒業生)
【協力】京都市立芸術大学芸術資源研究センター
【助成】DNP文化振興財団グラフィック文化に関する学術研究助成
2021/03/08
第33回アーカイブ研究会
360°展覧会アーカイブ事業「ART360°」の実践を通した考察
360°展覧会アーカイブ事業「ART360°」を構想するきっかけとなった経緯と本事業が描く未来、実践を通した体験のデジタルアーカイビングにおける手法的考察や、PCやスマートフォンといった平面的インタフェースを通して、現在のメディアが人々に無意識下で与えている影響、また記録 / 体験それぞれのフェーズにおける既存のデジタルメディア体験の不完全性について自身の見解を展開します。また、アーカイビングという活動を記録保存のみの活動に限定せず「過去および未来との対話」と捉えることで意識化する社会的役割を俯瞰してみたいと考えています。
■講師プロフィール
辻勇樹|Yuki Tsuji
Actual Inc. 代表取締役 /ART360° ディレクター
京都精華大学卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科に進学後は競技用義足のデザイン研究を通して、デザインエンジニアリングを学ぶ。株式会社グランマにて発展途上国でのデザインリサーチに従事。渡米の後、2015年より京都を拠点に活動する。2017-18年 KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 プロジェクトマネージャーとして展示マネジメントを担当。2018年に Actual Inc. を設立し、360°展覧会アーカイブ事業「ART360°」の企画運営、360°配信システム「PLACE」の開発など、バーチャルとアクチュアルの間にグラデーションを作り出す事業を展開する。Actual Inc.: https://actu-al.co
画像上から
・滋賀県の中学校で行った「展覧観測」風景、360°の展覧会アーカイブを美術の授業に応用している。
・香港での撮影風景
・VR鑑賞会の様子
2020/12/14
京都市立芸術大学・芸術資源研究センターでは、この秋から冬にかけ、「芸術」「大学」「記憶機関 memory institutions」を主題とする連続研究会とシンポジウムを開催します。
京都市立芸術大学芸術資源研究センターYou Tubeチャンネル で配信いたします。
▼シンポジウム▼
2020年11月28日(土)14:00-17:00オンライン配信
「デジタル時代の〈記憶機関〉 芸術/大学における図書館・美術館・アーカイブ 」
登壇者:桂英史、佐々木美緒、松山ひとみ、森野彰人(芸術資源研究センター所長・京都市立芸術大学美術学部教授)
司会:佐藤知久
■概要
京都市立芸術大学・芸術資源研究センターでは、この秋から冬にかけ、「芸術」「大学」「記憶機関 memory institutions」を主題とする連続研究会とシンポジウムを開催します。
「記憶機関 memory institutions」とは、過去の出来事に関する記憶や記録を、未来へ向けて継承するための、社会的・文化的な機関や制度を指すことばです。具体的には、〈図書館〉〈ミュージアム(博物館・美術館)〉〈アーカイブ〉、さらには〈ギャラリー〉なども、現在そして過去の活動や経験を現在と未来に伝えるための〈記憶機関〉と見なすことができます。
本企画は、これからの芸術にとって、あるいはこれからの芸術をつくる人材を育てる芸術大学にとって、 記憶機関はどのようなものであるべきか?について、具体的に考えてみようという試みです。
近年あらゆることがらのデジタル化が展開し、記憶機関のあり方だけでなく、私たちの記憶やコミュニケーションのあり方も、大きく変化してきました。新しい技術の実装により、知識を蓄積する基盤としてのインターネットが、ひとつの巨大な記憶機関となりつつあります。図書館や学術資源の電子化がすすみ、オンラインのギャラリーやミュージアムが続々と現れています。
しかし他方では、長期間の保存に耐える物質的記録の価値や、人間が交流し、協働し、共に創造的な活動に従事する物理的空間を再評価する動きもあります。COVID-19の影響下で、ますますデジタル-分散-協働的な生活様式が編み出されていくなか、「手応えのある物質を共有する、開かれた物理的な公共空間」としての図書館、ミュージアム、ギャラリー、アーカイブなどの意義が、あらためて問われています。
記憶を継承し、次世代の創造活動を支えるインフラストラクチャーとしての記憶機関は、今後どのようなものとなっていくのでしょうか。そして人びとは、そこでどのように他者の記憶や経験をたどり、何を経験していくのでしょうか。さまざまな方々とともに考えます。
チラシ(PDF)
過去のオンライン配信の様子は芸術資源研究センターYou Tubeチャンネル でご覧いただけます。
No.29アーカイブ研究会 10月16日(金)18:15-
「デジタル時代の〈記憶機関 memory institutions〉–イントロダクション」
佐藤知久(京都市立芸術大学芸術資源研究センター/文化人類学)
VIDEO
No.30アーカイブ研究会 10月28日(水)18:00-20:00
「プラットフォームとしての図書館の役割
コロナ禍で露呈した物理的な公共空間としての弱さ」
佐々木美緒(京都精華大学人文学部/図書館情報学・図書館員養成)
■概要
「これからの芸術をつくる人材を育てる芸術大学にとって、記憶機関はどのようなものであるべきか?」、芸術大学の図書館の役割をそれぞれの機関における「プラットフォーム」として位置づけ、どのような取組みを展開できるのか考えます。ただ、「手ごたえのある物質を共有する、開かれた公共空間」であった図書館は、コロナ禍においてその弱さも露呈しています。課題を示しながら今後の可能性を探ります。
■プロフィール
佐々木美緒|Mio sasaki
フロリダ州立大学大学院図書館情報学科修了、修士(情報学)
政策研究大学院大学文化政策プログラム修了、修士(文化政策)
政策研究大学院大学公共政策プログラム博士課程(単位取得退学)
これまでアメリカのシアトル公共図書館、民間企業にて日本の公共図書館、大学図書館の管理・運営業務に携わる。
主な研究テーマは大学機関における専門(芸術)図書館員の養成について。
VIDEO
No.31アーカイブ研究会
11月10日(火)18:00-20:00 オンライン配信(参加無料・予約不要)
「美術館の資料コレクションは誰のもの?」
松山ひとみ(大阪中之島美術館/学芸員・アーキビスト)
VIDEO
No.32アーカイブ研究会
11月16日(月)18:0-20:00
「世界劇場モデルを超えて」
桂英史(東京藝術大学大学院映像研究科/メディア研究、図書館情報学)
VIDEO
2020/10/12
歴史的音源で検証するピアノ黄金期の音色
「ショパンが弾いたピアノはどんな音色だった?」
~直系の弟子達の歴史的録音で検証するショパンの実像~
ショパン在世時代に生まれたピアニスト,そしてショパンの演奏スタイルを色濃く引き継ぐ,直系のポーランド側,フランス側の孫弟子達による歴史的音源と,その録音に使用された20世紀前半のピアノ黄金期の個性溢れる音色の魅力を,今から約90年前の最高級の大型蓄音器(1930年英国製 EMG markⅨ)を使用し,その生々しいオリジナルのサウンドによる検証と解説で紹介します。
会 場 :京都市立芸術大学 大学会館ホール
(京都市西京区大枝沓掛町13-26)ご来場は公共の交通機関をご利用ください。
日 時 :2020年11月13日(金) 16:30開始(約90分を予定)
定 員 :20名(一般)
参加料 :なし。ただし事前予約が必要です。(先着順) 一般申込▶︎URL 満席につき予約受付終了いたしました。(10/20)
主 催 :京都市立芸術大学
企 画 :京都市立芸術大学芸術資源研究センター
「歴史的音源で検証する20世紀ピアノ黄金期の音色」プロジェクト
新型コロナウイルス感染防止対策のため,当日受付で検温等に御協力をお願いします。
チラシPDF
2020/10/08
《バシェ音響彫刻 特別企画展》
1970年大阪万博から50年 〜 よみがえる響き ゆらめく身体 〜
バシェ音響彫刻は耳に響くだけでなく、身体に共振し、心の底の何かをゆり起こす。
これは古い修復楽器ではなく、新たな発見をもたらす音の未来装置かもしれない。
「バシェの音響彫刻」とは、ベルナール・バシェ(1917-2015)、フランソワ・バシェ(1920-2014)兄弟によって考案された、音の鳴るオブジェです。1970年大阪万博において鉄鋼館に展示する音響彫刻の製作を依頼されたフランソワ・バシェは、来日して17基の音響彫刻を作りました。しかし万博閉幕後、音響彫刻はすべて解体され、倉庫に保管されたまま世の中から忘れられていきました。2010年、鉄鋼館が「EXPO’70パビリオン」として再開されることとなり、それを機にバシェの音響彫刻を修復・復元する計画が進み始めました。現在までに修復され、音の出せる状態で保管されている音響彫刻6基のうち、2013年に修復された「高木フォーン」「川上フォーン」、2015年京都市立芸大で修復された「桂フォーン」「渡辺フォーン」、2017年東京藝術大学で修復された「勝原フォーン」の5基が、今年11月ギャラリー@KCUAに集います。そして修復に至るまでのアーカイブを展示すると共に、コンサートやパフォーマンス公演、ワークショップなどを行ないます。また、コンサート終了後は、バシェの音響彫刻と教育音具パレット・ソノールに実際に触れて、音を体感することができます。
会 場 :京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
展示室 :@KCUA 1, 2
会 期 :2020年11月7日(土)–2020年12月20日(日)
開館時間:11:00–19:00
休館日 :月曜休館(11月23日(月・祝)は開館)
入場料 :無料
主 催 :京都市立芸術大学
共 催 :東京藝術大学ファクトリーラボ
企 画 :京都市立芸術大学芸術資源研究センター バシェの音響彫刻プロジェクト
助 成 :2020年度 日本万国博覧会記念基金事業助成
協 力 :大阪府/万博記念公園マネジメント・パートナーズ(BMP)/バルセロナ大学/「L’association STRUCTURES SONORES BASCHET」(フランスのバシェ協会)/バシェ協会(日本)
お問い合わせ
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
チラシPDF
2020/09/17