Akira Otsubo 「Shadow in the House」の報告

京都市立芸術大学芸術資源研究センター企画展

Akira Otsubo 「Shadow in the House」

芸術資源研究センターは,学内の小ギャラリーを会場に,写真家・大坪晶の個展「Shadow in the House」を2018年3月22日から31日にかけて開催した。大坪の写真作品《Shadow in the House》シリーズは,時代の変遷とともに所有者が入れ替わり,多層的な記憶を持つ家の室内空間を被写体としている。大坪は近年,日本各地に現存する「接収住宅」(第二次世界大戦後のGHQによる占領期に,高級将校とその家族の住居として使用するため,強制的に接収された個人邸宅)を対象とし,精力的なリサーチと撮影を続けている。接収された住宅数は,時期により変動はあるが,全国主要都市で2600~3000戸にのぼる。その多くは,GHQの指示に従い,内装の補修や壁の塗装,配管や暖房設備,ジープを駐車する車庫の新設など,様々な改修がなされた。撮影にあたっては,建築史や都市史研究者から提供を受けた論文や資料を参照するとともに,「接収住宅」の所有者の遺族や管理者へインタビューを行い,聞き取った印象的なエピソードが撮影場所の選定に活かされている。また,本展企画者の高嶋慈は,批評テクストの執筆や資料のリサーチに協力している。 (さらに…)

第20回アーカイブ研究会「Week End/End Game:展覧会の制作過程とその背景の思考について」

第20回アーカイブ研究会は,インディペンデント・キュレーターの服部浩之氏と,アーティストの田村友一郎氏をお招きした。田村氏は,服部氏のキュレーションのもと,栃木県の小山市立車屋美術館で個展「試論:栄光と終末,もしくはその週末 / Week End」を開催した(2017年9月23日~11月26日)。研究会では,この個展の制作プロセスを軸に,地方都市においていま美術展を開催することの意味について議論が交わされた。 (さらに…)

第19回アーカイブ研究会「1960〜70年代に見られる芸術表現の研究拠点形成と資料アーカイブの構築」の報告

第19回アーカイブ研究会は,芸術資源研究センターのプロジェクトの一つ「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究」のメンバーが担当した。本プロジェクトは,本学出身で写真家の井上隆雄氏が残した膨大な写真資料を対象として,アーカイブ(資料調査・分類・利活用)の実践を行いつつ,美術・文化史への新たな方法論の構築を目指している。 (さらに…)

現代美術の保存修復/再制作の事例研究 ―國府理《水中エンジン》再制作プロジェクトのアーカイブ化 シンポジウム「過去の現在の未来2」関連展示 の報告

   

 

國府理(1970~2014,京都市立芸術大学 美術研究科 彫刻専攻修了)は,自作した空想の乗り物やクルマを素材に用いた立体作品などを通して,自然とテクノロジー,生態系とエネルギーの循環といった問題を提起してきた美術作家である。國府は2014年,国際芸術センター青森での個展「相対温室」の作品調整中に急逝した。2012年に京都のアートスペース虹で発表された《水中エンジン》は,國府自身が愛用していた軽トラックのエンジンを水槽に沈め,水中で稼働させる作品である。エンジンから放出された排熱は揺らめく水の対流と泡を発生させ,幾本ものホースや電気コードを接続されて振動音とともに蠢くエンジンは,培養液の中で管理される人造の臓器のようにも見える。本来,自動車のエンジンは水中での使用を想定した設計ではないため,部品の劣化や漏電,浸水などのトラブルに見舞われた國府は,展示期間中,メンテナンスを施しながら稼働を試み続けた。発表の前年に起きた福島第一原発事故への批評的応答でもあるこの作品は,機能不全に陥ったテクノロジー批判を可視化したものだと言える。 (さらに…)

シンポジウム 「過去の現在の未来2 キュレーションとコンサベーション その原理と倫理」の報告

現代美術の保存・修復の意義や課題についてのシンポジウム「過去の現在の未来2」が,2017年11月23日に兵庫県立美術館にて開催された。当研究センター所長の石原友明は,開会あいさつで,第1弾にあたる2015年のシンポジウム「過去の現在の未来」と古橋悌二の《LOVERS―永遠の恋人たち》の修復事例に触れ,開催趣旨を述べた。また,本シンポジウムのモデルケースとなった國府理《水中エンジン》の再制作と,《LOVERS》の修復における共通点として,作者が他界した状況での試みであることを指摘した。その上で,制作者としての立場から,「作品は,作者の手を離れて初めて,開かれたかたちで勝手に観客と関係を結び始めるという幻想を個人的に抱いている。作者の不在が作品を完成させると言ってもいい。作品を安定した状態に保つことが保存の基本だが,本来の生き生きとした状態から遠ざけてしまう場合がある。作品を生きた状態で保存する,動的な保存の可能性があるのではないか。物質的な安定性とともに,作品が生きた記憶をどのように引き継ぐのかを考えることが,現代美術の保存修復において必要なのでは」と問題提起を行った。 (さらに…)

塩見允枝子氏の特別授業「水を演奏する」

2017年11月17日(金),大学会館ホールにて,芸術資源研究センター特別招聘研究員・塩見允枝子氏の特別授業「水を演奏する」が行われた。美術学部の共通授業・造形計画2B「水のポイエティク」(担当教員:井上明彦)を拡張し,美術・音楽両方の学生に参加可能として,音楽学部では柿沼敏江教授に呼びかけを行っていただいた。大学会館でのパフォーマンスによる美術・音楽合同の特別授業としては,2015年6月の「FLUXUSパフォーマンス・ワークショップ」に次ぐものとなる。授業2コマ目(10:40~12:10)という時間帯は,造形計画2Bの授業テーマとの関連性による。というのも,4月に塩見氏の『パフォーマンス作品集 フルクサスをめぐる50余年』のデザインのためにご自宅で相談していた際,今年度の授業は水とそれに関わる芸術表現をテーマにすることをふとお話したところ,強い関心を示され,水をテーマにしたパフォーマンス演奏会を授業として行うアイデアが生まれたのである。 (さらに…)

第18回アーカイブ研究会「5叉路」の報告

第18回アーカイブ研究会は,ベルリン在住のアーティスト,前田岳究氏を招いて行った。前田氏は2001年以後,アーティストデュオ”Jay Chung and Q Takeki Maeda”として,「美術のなかにある物語」についての作品を制作している。本研究会では,彼らが作成した,あるスクラップブックに関わる作品の制作プロセスについてお話しいただいた。  (さらに…)

京焼海外文献アーカイブ活動報告

2017年6月16日(金)

米国を代表する陶芸コースをお持ちのアルフレッド大学陶磁器美術館館長のウェイン・ヒグビー先生と, 同大准教授のメガン・ジョーンズ先生が京都市立芸術大学と芸術資料館を見学に来られました。
美術学部工芸科陶磁器専攻3回生の芸術資料館所蔵の歴史的な京焼に触れる授業にも参加。アメリカの陶芸家という我々とは異なる視線から,学生に対して京焼の名品の見方の指導など,貴重な体験を提供いただきました。

(芸術資源研究センター研究員 前﨑 信也)

京焼海外文献アーカイブ

第17回アーカイブ研究会「エイズ・ポスター・プロジェクトを振り返る」

「エイズ・ポスター・プロジェクト[APP]」は,京都市立芸術大学の卒業生や在学生,京都市内の大学生や有志が集まって,1993年春に京都で開始された。日本では1990年代になってもHIV陽性者やエイズ患者,また様々なマイノリティを排除しようとする状況があり,APPはそうした状況に対してポスター,フライヤー,スライドショーなどのビジュアル表現やクラブイベントなどによって,自分達の無知・偏見・無関心を見直し,メッセージを発信する活動を行った。APPの活動には世界各地のNGOなどによって制作されたHIV/エイズに関するポスターの収集もあり,今回は1980年代から2000年代にかけて世界で制作されたポスターの一部(佐藤知久所蔵)をカフェスペースに展示した。研究会では,かつてエイズ・ポスター・プロジェクトの活動に関わったブブ・ド・ラ・マドレーヌ氏,小山田徹氏,佐藤知久氏,伊藤存氏らが,それぞれ異なる立場からの関わり方や印象深いエピソードについて語った。 (さらに…)

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