デバイスアート

メカトロ技術や素材技術を駆使し,テクノロジーの本質を見せる芸術様式と定義される。この言葉は,テクノロジーを使った新しいデバイスを,メディアアート作品の一形態として発表してきた日本人アーティストの一傾向を特徴づけるために,筑波大学教授の岩田洋夫がリーダーを務める研究プロジェクト「デバイスアートにおける表現系科学技術の創生」(2005年−2010年)で提案された呼称である。2009年にリンツのアルス・エレクトロニカでデバイスアートに関する展覧会が行われた。
デバイスアートは,科学技術研究や新しいテクノロジー開発の試みとも結びつき,産学共同で開発されることも多いことから,従来のアートとは異なるテクノロジーとアートとデザインの新たな融合につながると提唱されている。その特徴として,デバイスやツールそれ自体が作品であること,遊び心に溢れ積極的に商品化され日常生活に取り入られていること,道具への美意識に根ざすことなどが挙げられている。多くのデバイスアートでは道具に組み込まれたテクノロジーの要素と鑑賞者とのインタラクティブ性を用いた作品が多い。それらの技術は,センサーや無線や電子回路やシンセサイザーやアプリケーション・ソフトウェアなどさまざまなテクノロジーが応用されている。土佐信道,クワクボリョウタ,八谷和彦,メディアアートのキュレーター草原真知子らなどがデバイスアートの研究グループに加わり積極的な活動が展開されている。修復・保存には,技術要件,仕様書に加えて,設計図や操作説明書などの各種指示書が必要であろう。またテクノロジー企業のエンジニアとの共同で作品が制作されたり,製品として発表された場合の修理やメンテナンスに関する取り決めを確認しておく必要がある。

http://intron.kz.tsukuba.ac.jp/vrlab_web/index_j.php

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