更新日 : 2017/2/22
アナログ・ヴィデオ
1960年代にナム・ジュン・パイクがテレビモニタを使ったアート作品を発表し,その後,ソニーからポータブルビデオカメラが発売されたことを契機に,ビデオアートが世界的に広まっていった。海外では,ヴィトア・コンチやブルース・ナウマン,ビル・ヴィオラ,国内では山口勝弘や飯村隆彦,中谷芙二子,山本圭吾,中島興などが活躍した。90年代までビデオも使用されていたが,デジタル化によって,コンピュータ上での作業へと移行していった。そのため,映像制作の現場からアナログ機器は姿を消していった。そのため,アナログ機器は稀少になってきている。
しかし,多くの貴重な資料がVHSなどのアナログテープのまま残されている現状もある。ただ,ビデオテープは保存年限に限りがある磁気テープを利用しており,テープ自体の劣化も起こり,再生が難しくなりつつある。また,ブラウン管テレビやビデオデッキのメンテナンスを行うことが出来る技術者も減少していることも大きな問題である。アナログのビデオテープは既に生産が終了しており,保存年限が限られていることからも,映像のデジタル化は必要不可欠であろう。しかし,ビデオアートには,ナム・ジュン・パイクの《マグネットTV》(1965)など,メディアの背後にあるシステムを示す作品など,デジタル化できないものも多くある。しかし,アナログテレビに必要な技術が失われていき,機器の管理が行えなくなってきているため,こうした作品の保存環境は厳しくなってきている。
・アナログビデオに関する資料
国立科学博物館技術の系統化調査報告 Vol.4 2004.March 「テレビ技術史概要と関連資料調査」吉野 章夫(国立科学博物館産業技術史資料調査主任調査員) [1]