フィルム

最も古くからある映像の保存形式。フィルムを送る穴(パーフォレーション)を送る機構と投影する機構が出来て,映画の発明に至った。フィルムの種類には8mm,16mm,35mm,70mmがあるが,個人映画や実験映画では16mmフィルムが多く使われてきた。現在,フィルムの生産は多くのメーカーで停止されているが,映像を扱う現代美術作家の中にはこだわって使用する作家も少なくない。

日本では,商業映画フィルムの保存は国立近代美術館フィルムセンターが行っているが,実験映画や美術作品のフィルムまでを積極的にカバーしている訳ではない。日本にも多くの優れた実験映画,個人映画作家が輩出されているため,彼らの作品を保護する必要があると考えられる。しかし,低温低湿度の保管環境を確保する必要があるなど適切な保存には遠い状況がある。また,フィルムを扱える美術館の学芸員も稀少である。そのため,基本的なフィルムに関する情報をまとめたが,適した保存環境に美術館が所有するフィルムを一元的に管理することに向けた議論も必要に思われる。

ページトップへ戻る