テープの保存と種類

ビデオテープは保存状態によっては30年程度持つとも言われているが,保存状態や使用状況に大きく左右される。テープには再生や巻き戻しの度に負荷がかかるため,使用による経年劣化を受けやすい。また,温湿度変化にも弱く,カビなどにも弱い。適切な温湿度環境は15 ゜C ~25 ゜ C ,40 %~60 %RH といわれ,部分的な変形を避けるために巻き戻し,ケースに入れた状態での保管が望ましい。ただ,仮に保存状態がよかったとしても再生機がなくなりつつあるため,デジタル化が急がれる媒体である。

ビデオテープの取り扱いについて ソニービジネスソリューションホームページより

ビデオテープには最も初期に放送用に開発されたオープンリールやU-maticやベーカム,最も安価で一般に普及したVHSなどがある。以下に,代表的な特徴を記載したが,詳しくは,Preservation Self-Assessment Program(PSAP)を参照いただきたい。

オープンリール:リールがむき出しになったアナログテープ。1950年代頃から2インチのVTRテープが使用され始め,60年代より1インチテープと1/2インチが使用され始めた。主に放送用に使用された。家庭用には後のカセット方式のVTRが普及した。

U規格(U-matic):1969年にソニー,松下電器,ビクターなどが規格化し,1971年にソニーからU-maticという商標で販売された。その後のVHSなどに比べても画質がよく,堅牢性が高い。

VHS:1972年から発売され,最も普及したカセット型のVTR。2000年代には販売が終了。広く普及したため,この形式で記録された作品や資料が多いが,耐久性が低いことが難点。古いVHSは,映像の情報が残っていたとしても支持体が弱っていて,再生時にテープが絡まるなどの危険性があるため,再生時には十分注意する必要がある。VHSには,その上位にあたるS-VHSが存在し,走査線が多い。

ベータカム:高い堅牢性を持ち,小型化したVTR用カセットテープ。U規格では実現できなかった,カメラとレコーダーの一体化に成功し,放送業界に浸透した。SD規格の登場後も,デジタルベータカムとして同じ形のカートリッジが継承された。

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