デジタルビデオ

近年,現代美術の展覧会で映像を見る機会が非常に増えた。その影響は,映像のデジタル化にあると言える。90年代,パーソナルコンピュータの普及に伴い,コンピュータ上での映像編集環境(ノンリニア編集)やデジタルビデオの一規格であるDV規格が登場したことによって映像がこれまでより一段と扱いやすい状況になった。当初,SD規格と呼ばれるこれまでのアナログ放送と同程度の画像解像度の規格が主流であったが,次第に高解像度化が進み,Full HDと呼ばれる規格が主流となった。現在では4Kが市場に出始め,東京オリンピックを目指して8K放送の準備が進められている。

現在,現代美術の現場で使用される映像はFull HDが主流だが,2010年頃から4K対応のカメラやモニタ,プロジェクターが出始めたため,4Kを使用した作品も次第に増えつつある。またデジタル化に伴い,複数の映像を同時に展示するマルチチャンネルビデオインスタレーション,サラウンド音響など,複雑なオーディオ・ヴィジュアル・インスタレーションの実装がこれまでもやりやすくなった。こうした作品においては,映像と空間の関係がシビアに設定され,作品設置の際には,アーティストと受け入れ側の間で細かな調整が必要となる。

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