リサーチャー招聘プロジェクト2017/招聘者のレポートvol.1

キャリアデザインセンターでは、2015年から、京都市立芸術大学作品展の会期に合わせ、「リサーチャー招聘プロジェクト」を行っています。

《招聘者のレポートvol.1》

熊倉晴子 / アシスタント・キュレーター(森美術館)

2月11日、12日と、京都市立芸術大学キャリアデザインセンターにお招きいただき、卒業制作展を含めたいくつかの展示とスタジオを訪問しました。時折雪のちらつく中での視察となりましたが、これまであまり知ることのなかった京都在住のアーティストの作品を拝見し、またそれぞれ直接お話を聞くことができ、非常に充実したリサーチとなりました。

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1日目は、京都市立美術館および大学構内にて卒業年次を含めた在校生の展示を拝見しました。美術館内では絵画、彫刻、工芸および、コミュニケーションデザインなどの展示が中心で映像作品などは比較的少ない印象でしたが、一方で大学構内においては、場所の特性を生かしたインスタレーション作品が多く、平面作品も含め、「イメージ」に対する新しいアイデアや切り口を持った作品が散見されました。フレッシュでありながら完成度の高い作品が多く、今後の活躍が楽しみです。その後、オルタナティブスペースである「波さがしてっから」、森林食堂、KYOTO ART HOSTELkumagusukuを訪れましたが、大学の卒業生が様々な活動を行っていて、それがひとつのコミュニティを形成している様子が伺えました。地価が高く、圧倒的な量の情報が絶えず行き交う東京と比して、様々な活動が行いやすい環境があるのではないでしょうか。

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翌日訪問した作家のスタジオでは、非常に個性的な制作空間を見せていただく貴重な機会となりました。まるでコックピットのような小宇宙から、何人かのアーティストでシェアする大規模なスタジオまで実に様々でした。個人の訪問ではここまでディープなスタジオをいくつも訪問することは不可能なので、今回のプロジェクトには大きな意義があると感じています。

今回初めて京都市立芸術大学を訪れましたが、小規模でありながらキャリアデザインセンターを始めとした学生へのサポートが充実しており、また学生と教授である第一線で活躍するアーティストとの距離感が近いことが伺え、学生にとって恵まれた環境であるように思いました。コマーシャルギャラリーなど、アートマーケットが活発でないことや、居心地の良い京都からなかなか外へ出ない、という問題もあるかと思いますが、東京とは異なる個性を有する京都の魅力と可能性を存分に感じました。今回の訪問をきっかけに今後も京都アートシーンの動向に注視したいと思います。ありがとうございました。

熊倉晴子 / アシスタント・キュレーター(森美術館)
2011年より森美術館勤務。
「MAMリサーチ003:ファンタジー・ワールド・スーパーマーケット」(2016年)、
「MAMプロジェクト023:アガサ・ゴス=スネイプ」(2017年)などを企画。
現在「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」を準備中。