大学概要

  1. 京都市立芸術大学
  2. 大学概要
  3. 卒業生インタビュー
  4. 卒業生インタビュー[art_12]太公良さん 1/4

卒業生インタビュー[art_12]太公良さん 1/4

1. 幼少~京都芸大時代

interviewer子どもの頃から,絵を描くのは好きでしたか。

タコラ 絵を描くのは好きでしたね。中学・高校時代は,学校の文化委員をやっていて,文化祭で旗やTシャツを作ったりしていました。当時は,将来それを生業にしようとは考えた事もなかったですし,デザイナーはファッションデザイナーの事だとばかり思っていたので,グラフィックデザイナーの存在は想像もつきませんでした。

interviewer京都芸大を志望されたきっかけはありますか。

タコラ 高校3年生になった時に,美術の授業が数学や英語に振り替えられるんです。美術の授業が減ることがすごく嫌で,美術の先生に相談に行くと進路の話になって,芸大に行った方が良いということがわかりました。そこから京都芸大を目指して,画塾に通う遅いスタートだったのですが,幸いにも入学することができました。

interviewer京都芸大では,大学生活はいかがでしたか。

タコラ 運で京都芸大に入学できたようなものだったので,色々なことが新鮮でしたね。同級生は早い時期から芸大を目指している人達が多かったので,美術や工芸のことをよく知っていて,最初は話をしても全然,内容についていけませんでした。

 大学に入ってすぐ,1回生全員が受講する総合基礎実技という授業があるのですが,一週間に1回課題を出されて制作をすることで,まずは制作することがメインになる生活に馴染んでいったと思います。

interviewer総合基礎実技は,どのような感じでしたか。

タコラ 図画工作みたいで素直に楽しかったですね。僕は直感だけで課題をこなしていたのですが,総合基礎実技担当の若い先生が僕の作ったものを面白がってくれました。最後にグループ制作があるんですが,僕がいたグループは,ロッカールームの空間に青いビニールシートで目張りをして,紙おむつに使われている粉で作ったゲルを満たしたプールを作りました。乳白色のゲルにブラックライトを当てるとプール自体が青白く光るんです。当時は夜中も大学にいることができたので,夜中にその青白いゲルプールを泳いだりして楽しかったですね。

 まだインターネットも使えない時代に,電話帳で会社を調べて京都市内でゲルの粉を扱ってる会社を探したり,作ってみたはいいものの,作品の撤去が思いのほか大変だったり,制作の行程すべてをアナログで実感できたことも楽しかったですね。 当時は課題が何を意図しているのかよくわからなかったのですが,何か自分の本質を問われているような時間を感じていたので,面白がっていました。

interviewer勉強以外の大学生活はいかがでしたか。

タコラ 僕は芸大が存在することを知ったのも遅かったので,入学当初は,「同級生より知らないことが多すぎるなぁ」という感じでしたね。自発的にどうやってモノ作りに役立つきっかけを掴もうかと考えた時に,好きな事じゃないとすぐには身にならないだろうと思って,一人でミニシアターへインディー系の映画をよく見に行っていました。よくわからないアート映画なんかも自分なりに噛み砕いて感じたりして,青い時間をすごしていたなぁと思います。

 当時は,セクシュアリティをテーマにするような作品が社会で取り上げられることが多く,映画も自分のアイデンティティをストレートに問うようなものが沢山ありました。既に亡くなられていますが,デレク・ジャーマンというイギリスの監督の「エドワードⅡ」という作品は印象的でした。

interviewer学校にいるより,外に出るタイプだったのですか。

タコラ 学校にはいましたが,課題はさらっと一番最初に仕上げて帰るタイプでしたね。その時は,「課題は悩んではいけない。」「直感を試してみるべき。」と考えていました。ものを作り続けるための一歩として,直感とはどういうことかを試したかったので,作品を仕上げるのはすごく早かったです。

 学校といえば,秋の芸大祭は学内で過ごす一番面白い時間でした。大学院の時に池の横にある丸い水溜場をパネルで囲って,パオ型の模擬店を出しました。みんなと一緒にバカ騒ぎを真面目にやったことは本当に良い思い出です。実は2回生までは,周りと何かを楽しんで作るタイプでもなかったんですが,3回生以降は仲間と何かを作る面白みを知りました。毎年,友達と出場していた音楽学部のオーケストラの演奏付きのど自慢大会も,その延長で楽しんでいました。

interviewerオーケストラをバックにカラオケなんて,豪華な企画ですね。

タコラ 豪華ですよね。普段はクラシックの世界で励まれている方々に,毎回,演歌をお願いしたのですが,演奏する方々の真摯な姿に心打たれたのを覚えています。もちろん,その豪華な演奏のおかげで,歌を楽しめたのは言うまでもありません。

interviewer京都芸大ならではの企画ですね。

タコラ そうですね。京都芸大では,学部や専攻を越えた縦横のつながりがあり,人間関係がフラットだと思いますね。人数が少ないことで,すぐにやりたいことができる環境があります。専攻を越えて何かを一緒に作ったり,情報を共有したり,フィールドを越えて色々なことができる雰囲気があるのは有難かったです。今の社会は,フィールドを分けて生きる必要はなくなってきていますが,京都芸大には当時から,そのような雰囲気がありました。

 僕らの時代は,デザインのシーンがアナログからデジタルに変わる時代で,大学院1回生の時に最新デジタル機器を備えた大学会館が建ちました。大学院に入ってからは,デジタルの醍醐味に触れる制作が楽しくて,朝から晩までその建物に入り浸っていました。



Kyoubashi Kodomoen project/JAPAN
Shimizu corporation/2013
Space
© 2013 grAphic tAkorA
photo by Friendship Crew
interior design by FIELD FOUR DESIGN OFFICE
architect by Shimizu Corporation



Kyoubashi Kodomoen project/JAPAN
Shimizu corporation/2013
Space
© 2013 grAphic tAkorA
photo by Friendship Crew
interior design by FIELD FOUR DESIGN OFFICE
architect by Shimizu Corporation

インタビュアー:藤井麻理(美術研究科絵画専攻(油画) 修士課程2回生)

(取材日:2013年11月30日)※istutにて

Contents

  1. 幼少~京都芸大時代
  2. 人のつながりを生かす
  3. 自分のビジュアル作品が求められる場所
  4. 掴む力

Profile:太公良【タコラ・ふとり・きみよし】 ヴィジュアルクリエーター

1972年神戸生まれ。1997年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程デザイン専攻(ビジュアル・デザイン)修了。grAphic tAkorA名義のアートワークをハイフッションブランドのテキスタイルからグローバルブランドのディスプレイまで幅広い分野に提供。近年の「Pattern In Space」シリーズでは,独特なアジア的エレメントが紡ぐパターンビジュアルを制作し, 広告や商品など国内外のクライアントとコラボーレーション企画を展開。プライベートワークの発表の場としては,国内外の展覧会にも多数参加。 今後,サイズ制約がないパターンビジュアルを使って公共スペースとのコラボレーションを探っている。座右の銘は「キャッチィー命♡♥」。