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卒業生インタビュー[music_11]木下敦子さん 1/4

1.幼少から京芸時代

「ブラームス国際コンクール 入賞者コンサート」

interviewer_musicブラームス国際コンクール(※1)ピアノ部門優勝,おめでとうございます。私はブラームスが好きだから,今日お話を伺えるのを楽しみにしていました。在学中に,シューベルトとか,よくドイツロマン派を弾いていたのを覚えているんです。最初にピアノを始めたきっかけを教えてください。

木下 姉がヤマハ音楽教室に通っていて,そこの3歳児ランドという教室に姉と一緒に行ったのが最初です。練習好きな姉と違って,私は練習嫌いだったんですが,途中でやめてしまうと姉に負けてしまうのが嫌だという気持ちと,本番で人前できちんと弾けないのも嫌だという思いもあって,何とか続けていました。

 中学ではピアノだけじゃなくて運動もやりたくて,ソフトテニス部に入っていました。テニスの試合も出たいし,ピアノのコンクールも出たいし,全部やりたいと思っていました。

(※1) ブラームス国際コンクール。2013年で20回目の開催を迎えた,ヨーロッパでも権威のあるコンクールの1つ。

interviewer_music音楽の道を考え出したのはいつごろですか。

木下 中学3年生のときに,日本教育連盟のコンクールの全国大会に行けることになったんです。全国大会で初めて,日本各地の上手な人の演奏を目の当たりにして,まったく及ばないと感じました。そのときに,「このままで終わりたくない!」と思って,ピアノを本格的に勉強したいと思いました。

interviewer_music京都芸大への進学は,自分で決めたんですか。

木下 そうなんですけど,実は私,最初は落ちているんです。合格発表を見に行ったら,自分の番号がなくて,本当にがっかりしました。でも,その1週間後に大学から電話があって,「辞退者が出たので,もし入学の意思があれば手続きをしてください。」と連絡があって,補欠で合格することができたんです。

 嬉しい半面,ピアノ専攻では1番入試の点数が低いことが分かっていたので,入学時は精神的にきつかったです。でも,京芸生になれたからには,絶対這い上がってやると思っていました。

interviewer_music負けず嫌いなんですね。

木下 ずっと負けん気の強さで頑張っていたところがありますね。でも,ポンっと芽が出るようなことはなくて悔しい思いをたくさんしました。3回生のコンチェルトの試験で,初めて最高点を取って喜んでいたときも,最高点にもかかわらず,ソリストオーディションを受験するための基準点に達していないから受けられないことが後からわかって,落ち込んだこともありました。4回生の時に,成績優秀者が出られる学内リサイタルに出演できたのですが,その時にやっと一歩這い上がれたと思えました。

interviewer_music学生生活はどうでしたか。

木下 すごく楽しかったです。ピアノ中心の生活でしたけど,芸大祭で,ピアノ専攻生とパンケーキ屋さんをやったときは,私が仕切り役になって準備したり,GMG(※2)の本番のオーケストラ演奏をしたり,練習のときだけに参加する「練習ピアニスト」もやりましたね。他にもオペラの全曲ピアノ伴奏や,作曲専攻の友達の新曲初演など,とにかく色んな経験をしました。アルバイトでも,時々伴奏の仕事をしたり,少しだけですが小学生の進学塾の試験監督の仕事もしました。そういう,大学生のときにしかできないことが経験できてとても良かったです。

(※2) GMGは,芸大ミュージカルグループの略称。京都芸大の文化系クラブの一つで,芸大祭などでのミュージカルの公演では,キャスト,舞台美術,照明,音響,オーケストラ,編曲等をすべて学生が行っている。

interviewer_music室内楽の演奏活動もたくさんされていたイメージがあります。

木下 当時は,人と一緒に演奏するのが何より楽しくて,いつも何かしら室内楽をやっていました。コンチェルトの伴奏でも,ソリストの演奏とぴったり合ったときはすごく気持ちがいいんですよね。おかげで,室内楽のレパートリーはソロより多いです。演奏自体もソロよりも室内楽の方が好きだったぐらいです。でも,あんまり力を入れて練習するもんだから,ピアノを指導してくださった椋木裕子(むくのき・ひろこ)先生は,もっと自分の演奏と向き合ってほしいと思っていたかもしれません。でも,どれもこれもやろうとするのが私の性分(笑)。今でもそうなんですが,時間があるかぎり,全てやりたいんです。

interviewer_music演奏上の悩みはありましたか。

木下 私は,負けず嫌いな性格だけど,型から外れることに臆病なところもあって,昔から,面白味のないという意味で「あなたは真面目すぎる」と言われてきました。椋木先生にも,いつも,「自由に」とか「そんな堅い演奏じゃなくって」と言われてきました。先生のおっしゃることが,自分の内面を表現するということ,自分の奥底に持っている何かを演奏に出すことだと分かっているものの,その出し方が分からないのが大きな悩みでした。

 「出し方が分かっていないだけだから,そのうちできるようになるだろう。」と楽観する気持ちもあったんですが,演奏で真面目だと評価されると,「それは私の性格だから,しょうがないのに。」と悔しかったです。

「ブラームス国際コンクール 入賞者コンサート」

 「参加者と審査員」

インタビュアー:泉麻衣子(博士課程器楽領域ピアノ専攻3回生)
(取材日:2013年12月6日)※スカイプでのインタビュー

Contents

  1. 真面目な演奏
  2. ピアノで表現する
  3. 1位と2位の差
  4. 京都芸大で学んだこと

Profile:木下 敦子【きのした・あつこ】ピアニスト

1987年 神戸市生まれ。京都市立芸術大学音楽学部卒業。

卒業後,ドイツのマンハイム国立音楽舞台芸術大学に留学し,マスター課程を最優秀の成績で卒業,現在ソリスト課程に在籍。

「第41回 東京国際芸術協会新人演奏会オーディション」 最優秀新人賞受賞。「第8回 宝塚ベガ学生ピアノコンクール」 第3位。「第10回 大阪国際音楽コンクール」 エスポワール賞受賞。「2011年ドイツ バーデン・ビュルテンベルク州ベヒシュタイン学生ピアノコンクール」 第2位。「2012年フランス ニース国際ピアノコンクール」 第1位。「2013年オーストリア ブラームス国際コンクール」 第1位。

ヒルデスハイム管弦楽団,カンヌ管弦楽団,バーデン・バーデン管弦楽団との共演にてソリストを務める他,ドイツ各地にてリサイタルを開催。ソリストとしてのみならず,リート伴奏や室内楽,ピアノデュオなど多岐に渡り活動する。また,Y.Menuhin財団奨学生として高齢者施設や病院など,さまざまな環境での演奏にも力を入れている。現在同大学で声楽科の伴奏助手を務める。マンハイム・ライオンズクラブ,ソロプティミスト奨学生。これまでにピアノを真鍋公子,菊地葉子,椋木裕子,Rudolf Meister,Ok-Hi Leeの各氏,リート伴奏をHeike-Dorothee Allardt,Ulrich Eisenlohrの各氏に,副科チェンバロを中野振一郎氏に師事。

その他にAndrzej Jasinski,Klaus Schilde,Jean-Pierre Armengaud 各氏のマスタークラスを受講。