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卒業生インタビュー[music_21]中村 淳二さん 1/4

1. ヴァイオリンからフルートへ

interviewer_music幼少期から音楽に親しまれていたのですか。

中村 両親は自身で楽器を演奏するわけではありませんが,クラシック音楽がとても好きでした。そのせいもあって,小さい頃からムソルグスキーの「展覧会の絵」だとかメジャーなものを中心に色々な楽曲に接していました。それから兄がヴァイオリンのレッスンを受けていたので,私も一緒に習っていました。もう気が付いたらヴァイオリンを持っていたという感じだったんですが,ヴァイオリンを手にしている幼少期の写真の撮影時期を調べてみたら1歳10箇月の頃のものだと分かりました。さすがにその年齢では弾けるはずがないので,恐らく写真用に形だけ持たされていたんだと思いますけどね。こんな感じで自分にとって音楽はごく身近な存在だったと言えます。結局,ヴァイオリンは高校2年生まで続けました。

interviewer_musicフルートはいつから始められたんですか。

中村 吹奏楽を始めた中学1年の頃からです。中高一貫の男子校で吹奏楽部の先輩が怖かったんですが,たまたまフルートパートだけは優しそうな先輩ばかりで,それがきっかけだったんじゃないかなと思います(笑)。楽器で決めたというよりも環境で選んだ感じがしないでもないですが,いつの間にかフルートを始めていました。

interviewer_music先生について指導を受け始めたのはいつ頃からですか。

中村 高校1年生の終わりの頃だったと思います。2年生になったら,パートリーダーになって下級生に教える役回りになるから自分も人に教わることで指導方法を身に着けておきたいとか,コンテストにも出場したいからと言って親を説得した記憶があります。そうして親の許しを得た上で,指導してもらう先生を探すことになるんですが,こともあろうにヴァイオリンの先生にフルートの先生を紹介して欲しいという無茶なお願いをしました。

interviewer_musicその頃から将来は音楽の道でやっていこうと考えていたんですか。

中村 フルートを始めた頃は全く考えていませんでしたが,高校2年の終わり頃から考えるようになりました。進路相談の時に,母親が教員をしていたこともあり,教師になるか音楽の道に進むかで悩んだ記憶があります。音楽の道に進むことに対しては周りから反対されましたね。

interviewer_music小さい頃からずっとヴァイオリンをやっていたのであれば,そのままヴァイオリンでいくものと思ってしまいますが,そうではなかったんですね。

中村 ヴァイオリンは音階がとても難しいから,しっかり勉強しないと簡単に曲が弾けません。それに比べるとフルートの音階は比較的簡単ですよね。ですからフルートを手にした時に,色々な曲が簡単に吹けることがすごく楽しかったことを鮮明に憶えています。それに高校1年の終わり頃からレッスンに入り始めて,高校3年の春にびわ湖フルート国際コンクールに出場してみたところ,成績を残せたのがすごく嬉しかったんです。ヴァイオリンは好きだったけれど私にとっては難しかった。そういうこともあって,音楽の道に進むのであればフルートだろうなと思いました。

interviewer_musicフルートとヴァイオリンの他に何か楽器はされていましたか。

中村 ピアノを大学入試のために1年かけてやったぐらいです。ピアノは驚くほど弾けないです。ですから大学に入学してからの副科ピアノなんて最悪でした。

interviewer_music京都芸大を受験する時にケーラーがあったと思いますが,いつ頃から始められましたか。

中村 ケーラーの1巻は個別レッスンに通う前に自力でやり終えました。ヴァイオリンをやっていた時の感覚があったから,フルートもその感覚でやりました。個別レッスンのスタート時にケーラーを持参したところ,全部書き込みがしてあったせいか,先生は既にやり終えていると判断されて,代わりにケーラーのロマンティックエチュードを指導してもらいました。そのあと高校3年になってからケーラー2巻に取り組みました。

interviewer_music本当に短期間で集中的にやった感じですよね。

中村 そうですね。でも,それ程難しいとは思いませんでしたし,個別レッスンの際に高校生の間にここまではやっておきなさいねという感じで指導を受けました。

interviewer_music当初から京都芸大は意識していたんですか。

中村 意識なんて全然していませんでした。高校1年生の頃は音楽科に進学するつもりはなくて,単に上手くなりたいという気持ちだけでしたから曲自体をあまり知らないんです。知っているのはコンクールの課題曲だったものぐらいで,ケーラーも楽器店に行ったら偶然見つけただけですし,アンデルセンは全くやっていません。ですから人に教えるときに大変なんです。

interviewer_music色々な音楽大学がある中で京都芸大を選ばれた理由は何だったのでしょうか。

中村 そもそも実家を出て一人暮らしをしたくなかったんです。実家にいれば自分で家事をしなくて済むし,その時間を全て練習に回せますからね。それから学費のこともありました。国公立と私立ではやはり額が違います。自分から音楽の道に進みたいと言った以上は,親にはあまり迷惑をかけられないと考えたので,私立は結局一校も受けませんでした。

 個別レッスンの先生に京都芸大を受験したいと伝えたところ,最初は猛反対されました。その理由をはっきりと聞いたわけではありませんが,音楽家の道はとても狭いし,仮にそうなれたところで職がある保証はありませんから,将来食べていくことを考えると,男性で進学校に通っているのだし,笛を吹くにしても一般の大学に進学した方がいいんじゃないかということは言われました。男だからとか女だからとかいう理由で判断するのはどうかとは思いますが,どうしても男性の場合,社会に出るということ=自活に直結する面があるんでしょうね。最終的には先生も折れて,受験を認めてくれました。

インタビュアー:大村優希惠,鎌田邦裕(ともに音楽研究科修士課程器楽専攻(管・打楽)1回生*取材当時

(取材日:2016年10月12日・本学音楽研究棟にて)

Contents

  1. ヴァイオリンからフルートへ
  2. 大学は一つのことを究める場所【2017年9月13日公開予定】
  3. 晴れてオーケストラ奏者に【2017年9月20日公開予定】
  4. 欲しいものは技術と音楽性【2017年9月27日公開予定】

Profile:中村 淳二【なかむら・じゅんじ】フルート・ピッコロ奏者

1986年京都府生まれ。2009年京都市立芸術大学音楽学部音楽科管・打楽専攻卒業。卒業時に音楽学部賞,京都音楽協会賞を受賞。卒業後は関西のオーケストラを中心に客演奏者として研鑽を積み,2010年に名古屋フィルハーモニー交響楽団に入団,2014年にNHK交響楽団に移籍し,現在同団フルート・ピッコロ奏者。第15回松方音楽賞受賞。第17回びわ湖国際フルートコンクール第3位。第12回フルートコンヴェンションコンクールピッコロ部門入選。