大学概要

  1. 京都市立芸術大学
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  3. 卒業生インタビュー
  4. 卒業生インタビュー[music_21]中村 淳二さん 3/4

卒業生インタビュー[music_21]中村 淳二さん 3/4

3. 晴れてオーケストラ奏者に

interviewer_music大学を卒業された直後はどうされていたんですか。

中村 卒業後すぐに3つばかり新人演奏会がありました。そして7月にあった名古屋フィルハーモニー交響楽団(以下「名フィル」)のオーディションを受けたところ,2次選考まで残りました。オーディションを受けて2次選考まで残ると,オーケストラの世界ではある程度名前が知れ渡るようになるんですが,それがきっかけで私は関西のプロオーケストラからお仕事をいただくようになりました。関西のプロオケでエキストラを務めた半年ほどは,もうそれこそあんなに働いたことないというぐらいに働きました。そうしている内に名フィルから再オーディションの声が掛かり,翌年の2月にオーディションに臨み,その結果採用されることになりました。関西で色々と仕事をさせてもらったり,名フィルのオーディションを半年で2回受けることが出来たことなどは,とても運が良かったんだと思います。やっぱり,実際の現場で揉まれるというのは大事なことです。

interviewer_music不安はありませんでしたか。

中村 不安でしたよ。でも,7月のオーディション前の4月から6月まで新人演奏会がありましたし,それが終わってからは自分の気持ちがオーディションモードに入っていたので,家にこもってオーケストラ・スタディやモーツアルトばかり練習していました。1日に10時間は吹いていたんじゃないかと思います。今にして思うと,どうかしていたのかもしれませんけど(笑)。

interviewer_music留学は考えませんでしたか。

中村 留学はしたい気持ちもありましたが,言葉が得意ではないし,あまり外国が好きではないんです。それに性格的に社交的ではないので,いざ行こうとまではなりませんでした。それに仕事もありましたからね。今も留学したいという思いはありますが,妻と二人の子ども,それから家のローンを抱えていて,そうした現実的な問題を考えると二の足を踏んでしまうというのはありますね。

interviewer_music留学されるとしたら,希望先はありますか。

中村 ウィーンかドイツですね。オペラがとても好きなので歌劇場があるところに行って数多く聴きたいです。あとはヨーロッパで現地の四季を一通り体験してみたいですね。歌劇場のオーケストラなんていくらでも来日するから,日本にいても聴くことはできるし,習いたいと思った海外の指導者が実は日本に年の半分くらい滞在しているような場合もあったりするから日本でレッスンを受けることだって可能だったりします。そうなると海外に何を求めに行くかというと,現地の文化を肌で感じることだと思うんです。例えばハイドンのオラトリオ「四季」では,冬から春に変わる時に音楽のトーンが劇的に変化します。それはドイツの気候に根差したところからきているのだろうと推測できるのですが,知識として知っていても,自分の肌でしか感じられないものもあると思うんです。近々,所属するNHK交響楽団(以下「N響」)でヨーロッパツアーがあるんですが,初めてのヨーロッパ訪問なので,とても楽しみにしています。

interviewer_music曲をどのように勉強されますか。

中村 音源を聴きながらスコアを見ます。自分と誰が同じことをしているか,自分が誰かの伴奏をしているのか,自分の伴奏を誰かがしてくれているのか,自分が裏メロなのか,表に出ていいのかとか,ヴァイオリンがメゾフォルテで弾いていて,自分がピアノと書いてあるのか,自分がピアノでヴァイオリンがピアニッシモなのかで大きく変わってきます。スコアからはそういうところを見ています。それでもマーラーあたりになってくると,声部が多様化してくるので,3つも4つも同時進行で変なメロディが繋がっている場合,どれかを捨てるようにしています。スコア上で自分の聴くべきところを取捨選択して当たりをつけていくわけですが,そのあたりは演奏家としてのスコアの読み方かもしれませんね。

interviewer_music本番時の失敗などはありますか。

中村 いっぱいありますよ。コンクールで間違えたり,止まったりしたこともあります。

interviewer_music京都で学び,名古屋,東京と活動拠点が移動されていますが,地域によって音の捉え方の違いを感じることはありますか。

中村 そもそもプロとして楽団によってレベルの差を感じることはありましたが,音の捉え方に関する違いは特に感じたことはありません。食べ物とか言葉とか文化の違いはありますけどね。あとは,話をしていてもつっこんでくれないなとか。関西にいると何かを言って笑わせてやろうというのが染みついているから,名フィルに行った当初もその調子だったんですが,接した名古屋の学生たちは笑ってもくれなくて(笑)。もう慣れましたけどね。

インタビュアー:大村優希惠,鎌田邦裕(ともに音楽研究科修士課程器楽専攻(管・打楽)1回生*取材当時

(取材日:2016年10月12日・本学音楽研究棟にて)

Contents

  1. ヴァイオリンからフルートへ
  2. 大学は一つのことを究める場所
  3. 晴れてオーケストラ奏者に
  4. 欲しいものは技術と音楽性【2017年9月27日公開予定】

Profile:中村 淳二【なかむら・じゅんじ】フルート・ピッコロ奏者

1986年京都府生まれ。2009年京都市立芸術大学音楽学部音楽科管・打楽専攻卒業。卒業時に音楽学部賞,京都音楽協会賞を受賞。卒業後は関西のオーケストラを中心に客演奏者として研鑽を積み,2010年に名古屋フィルハーモニー交響楽団に入団,2014年にNHK交響楽団に移籍し,現在同団フルート・ピッコロ奏者。第15回松方音楽賞受賞。第17回びわ湖国際フルートコンクール第3位。第12回フルートコンヴェンションコンクールピッコロ部門入選。