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交換留学に関する講演会(講師:RCA交換留学1期生 ヤノベケンジさん)-6

6 質疑応答

 在学生:大学院を修了されてから、ずいぶんたくさん、大型の作品を作っておられるのですが、制作するときの人手をどのように確保されていましたか。

 ヤノベさん:具体的に言えば、卒業してから京都芸大で非常勤講師として働いていて、その時は、学生さんに手伝ってもらったりしていましたね。

 ここを出てからは、しばらく海外に滞在したりしてたんですけど、亀岡の山奥にスタジオを構えました。

 そこで作品を作る時には、制作費用の中からバイト代を出して、学生を山の中に連れ去って、帰れないようにして、そこに名和晃平君や金氏撤平君も幽閉されて働かされたという。まぁそういう形でなんとかやってましたね。

 結構、僕が卒業したての頃は、まだ若干景気が下降する前くらいで、たくさんのコンペもあったり、そういうメセナ活動が盛んな頃で、そういう幸運に恵まれましたけど、別に今でも同じような調子でやってるんで、どんな状況でも作れると思います。

 別に大規模なものばかり作る必要もないと思います。自分の作品の必然性で、大規模なものが作りたいなら作ればいいけど、そうじゃない方法もたくさんあると思う。

 「お金がないから作れない」「時間がないから作れない」という2つは、僕は遙か昔に言うのをやめています。それは言っても誰に対する言い訳にもならない。そんなことを言える立場にもない。

サイモン教授:正直、留学行ってどう?

ヤノベさん:すごく大きかったですね。なんか世の中の秘密を発見したような気持ちになりました。もちろん、留学していく時ってわからないこともいっぱいあるんですよ。その、もう一人の留学に行った友達はたくさん絵を描いて発表したりして、僕はできてなかった。

 けど、僕はもういいんだと。考えたり、情報を得たりする時間なんだと。それでもやっぱり考えてて、最後の方に作品を作れて、それが次のタンキングマシーンにもつながった。

 留学の経験が絶対何かにつながると思う。でもきちっと逃げないで向き合っていかないといけないなとは思います。

 留学している時の自分は、別の世界だとか別の次元だとかは思わない方がいいですね。それもリアルな自分の世界。それをなしにしてはいけない。どういう状況であれ、自分の現実と向き合っていくことが次につながると思います。

(終わり)

講師プロフィール

ヤノベ ケンジ / Kenji Yanobe (現代美術作家)

1965年大阪府生まれ。89年京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業。90年瞑想のための体験型作品『タンキング・マシーン』を発表。97年より原発事故後のチェルノブイリを訪問する「アトムスーツ・プロジェクト」を開始。2003年国立国際美術館にてそれまでの集大成となる「メガロマニア」を開催するなど、社会的メッセージをこめる作品を制作し続けている。近年では、2004年秋より金沢21世紀美術館にて半年間に渡って行なわれた滞在制作「子供都市計画」や、2006年「取手アートプロジェクト2006 一人前のいたずら-仕掛けられた取手」での学生や地域と共に作品を作り上げていく参加型プロジェクトに始まり、KPOキリンプラザ大阪(2007年閉館)コミッショナーとして若手の育成に力を注ぐなど、自身の作家活動とともに、次世代の才能を育てる活動を精力的に展開している。