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交換留学に関する講演会(講師:RCA交換留学1期生 ヤノベケンジさん)-2

2 RCAへの留学

 学部を卒業して、大学院に進んだ頃に、RCAに交換留学が始まるということで応募しました。その時も競争率は結構高かったと思うんですけど、僕と油絵科の学生の2名が選ばれました。

 まだ、その時は今と違って、外国に行くことは、かなり遠いところに一大決心で行くような気持ちがありました。
 RCAに行く前くらいにちょっと作品が変わってきてたんですね。

自分が中に乗り込むような作品を作っていたことがあって、ちょっと見えてきたかなと思いつつ、89年の秋にロンドンに行きました。

 留学して、最初は、やっぱり作品を作れなかったんですよ。やっぱり生活が変わって、すごく刺激的な情報がまわりにたくさんありました。
 美術館は、ほとんど無料だったので毎日美術館に通って作品を見たり、京都芸大よりも都市部にある学校だったので、街中にもすごく刺激が多かったです。

 その情報を取り入れるのに手一杯だった記憶がありますね。

 かたや一緒に行ったペインティングの同級生は得た刺激をそのまま絵にしていった。僕は、いきなり作品を作るというよりも、情報や劇的な変化が起こった環境に慣れるまでに時間がかかり、情報を取り入れるのに手一杯だった。

 これは、日本に帰国する直前くらいに何かつくりたいなと思って制作した作品なんですけど、これ、顔に付けてるマスクはガスマスクで、イギリス軍が第二次世界大戦の時に使っていたマスクを手に入れて、自分がマスクをかぶれるように象ったり、あるいはその中に入ってしまうような作品でした。

自分が外部とコミュニケーションをあまりちゃんと取れていなかったというのがあって、自分の内面に入り込んでいこうというのが作品に現れていたような気がします。

 内面に入り込んでいったことは、今となっては、悪かったのではなく良い経験だったと思います。
 自分の内面に入り込むことによって、自分自身のオリジナリティであるとか、あるいは外側から日本を見ることができたり、世界の動きとかをゆっくりと考えることができる時間となったのではないかなと。

 この作品は、最終的に表面に石膏を塗って、入り込めるような造形的な作品になりました。