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交換留学に関する講演会(講師:RCA交換留学1期生 ヤノベケンジさん)-4

4 デビュー作

 89年、大学院1回生の時に滞在して、帰国後の1990年、大学院2回生のときにこの作品を作ったんですよ。

 タンキングマシーンという、形的にはRCAで作っていたものに近いんですけど、鉄で巨大なタンクを作って、そこに生理的食塩水を入れて、中に自分が入れると。そこに自分が入り、浮遊することによって、より自分の内面を引きずり出すことができる、瞑想装置(アイソレーションタンク)ですよね。

 この作品のアイデアが思いついた時、これ、はっきり覚えているんですけど、1990年の夏の夜ですね。自分の布団の中で、あれやこれやとパズルのようにいろんなアイデアを考えていた時に、この作品のアイデアが生まれた瞬間、ドキドキして寝られなかったですね。

 なぜかというとこの作品は、今まで自分がコスプレとか、作品に入ることによって、自分が変容しようとしていたっていう延長上でもあるし、形態的にもサブカルチャーっていうアニメや漫画のキャラクターに出てきそうなもので、自分のオリジナリティの何か美しいものを引きずり出そうとした美意識から生まれた作品であり、機能的にも自分の内面にある本質を見定めるために機能する装置であったりと、今まで自分の中ではまとまりきれなかったアイデアを1点に集約することができた作品だったからです。

 これは、僕が今でもデビュー作と言っている作品で、この作品を作れた瞬間に、自分自身は、アーティストとしてずっとやっていけると、アーティストとして生きていける自信みたいなものをもらったんですね。

 その後、運良く、この1990年の作品を発表した後、コンペで大賞を貰ったり、次から次へ美術館のオファーが来たりとかっていう形になっていったのは、たまたまというのもあるんですけど、90年に自分のアイデンティティみたいなものをきっちりと見つけることができて、作品化することができたからと、今でも思っているんですね。