「状況のアーキテクチャー」について
育成目標
京都市立芸術大学は1880年の開学より日本の芸術文化の火床として世界への発信基地であり続けてきました。そしていま、2023年に予定された郊外から都市部への移転を控え、あらためて「芸術であること」「地域にあること」「大学であること」の意味を問い直しています。それは隕石のように法外なアートの視点から大学や地域を捉える作業であると同時に、大学や地域の視点から、独りよがりなアートを捉え返す作業でもあります。本学が主催するプログラム「状況のアーキテクチャー」では、ひとつの方向からではなく、多方向からモノゴトを捉え、その視差から世界を多元化する状況の発振に携わる人材の育成を目指します。
テーマ
「状況のアーキテクチャー」では芸術・大学・地域とアートマネジメントの可能性を探るために《物質》《生命》《社会》というテーマを補助線とした7つのプロジェクトを展開します。
獲得する技術
受講者はそれぞれのプロジェクトを通じて2つの技術を獲得します。
これら水平と垂直の二軸が交差するクリティカルな場所から創造的なビジョンを発振する実験場が「状況のアーキテクチャー」なのです。
《物質》《生命》《社会》の3つのテーマについて
「状況のアーキテクチャー」における《物質》とは、製品として作られた物質でもなければ、素粒子や原子などの科学に基づいた物質でもなく、生の感触で捉えられる「もの」を指します。
また、《生命》は、生命科学の観点から捉えた私たちの身体が、持ち主である自分には全てを理解しきれない次元のものとなっている中で、生きている身体、命の論理、作法、仕組みを、ナマモノとして捉え直すことを提言したものです。
最後に《社会》ですが、これも同じです。社会を組織として論じる前の段階、つまり自分の存在は自分一人のものではない、あるいは一人で担いきれるものではなく、社会の中にある生身の存在である、という感覚の社会に戻るということです。
「アート」に携わろうとする人は、まずそういった生の感触のレベルまで、感覚を見つめ直して欲しいと思っています。
京都市立芸術大学 学長 鷲田清一
(「状況のアーキテクチャー」2016年度事業報告書より抜粋して再編集)
物質
Transferring
Matter:
創造的アーカイブ
生命
Tracing Life:
生存の技法——
ケア×アート
社会
Trading
Communities:
制度を使った
多文化共生
受講対象者
芸術に関わる仕事をはじめ、多様な専門職に従事されている方や、それらの仕事への就業を目標とされている方、共に考え活動することに意欲的な方を対象とします。→ 詳しくはこちら
チラシ
*チラシは2017年6月時点の情報です。最新の情報は本サイトをご確認ください。