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リサーチャー招聘プロジェクト2016/招聘者のレポートvol.2

キャリアデザインセンターでは、2015年から、京都市立芸術大学作品展の会期に合わせ、「リサーチャー招聘プロジェクト」を行っています。

《招聘者のレポートvol.2》

堀内奈穂子/キュレーター(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト])

2月13日、14日の両日、京都市立芸術大学に招かれ、学生による作品展や卒業生による企画展、また、スタジオの訪問を行った。

1日目に訪れた京都市美術館での作品展は、学部2回生以上から修士課程に至るまで多様で、作品数も非常に多かった。展示の中では、特に陶磁器、漆工、染色など、京都の伝統工芸の長い歴史と結びついた高度な技や表現が見られたように思う。また、デザイン科における展示は、障害を持った人とともに考案するデザインなども見られ、現代におけるニーズや新しいテクノロジーやコミュニケーションが映し出されていた。

京都市立芸術大学の展示では、修士、博士課程の作品を主に鑑賞した。駆け足となったが、学生から説明を受けながら、インスタレーション、プロジェクト型、絵画、映像などの多様な作品を鑑賞した。その中では、特にいくつかの映像作品が印象として残っている。今後、大学が移転する地域にある崇仁小学校での企画展は、かつての教室の空間を活かしたサウンド・インスタレーションや、場の歴史やコンテクストを捉えた映像作品などが見られた。展示空間には、2015年に開催された「PARASOPHIA」京都国際現代芸術祭の際に制作された作品の一部も残り、ユニークな建築、空間となっているため、今後もオルタナティヴ・スペースとして継続的に展覧会の場として活用される場となると興味深いのではないか。

2日目は、市内のスタジオを集中的に訪問した。元々染色工場だった広大な建物や倉庫を利用したスタジオは、随時5〜6人のアーティストが制作している。中には、木工を主に行う表現者のみが使用するスタジオもあり、それぞれの特長が見られた。古民家を利用すると助成金によるサポートもあると聞き、東京の同世代のアーティストの制作環境と比較すると、安価で広い場が多くある京都は制作や展覧会の場や環境が整い、エネルギーに溢れている。コマーシャルギャラリーは京都には決して多くないという意味では不利な部分もあるが 、観光地として人気の高い京都は、海外のキュレーターやアーティストも多く訪れる。そのため、こうしたスタジオへの訪問を希望する声も多い。アーティストがプレゼンテーションの経験値をより磨き、作品と時代を結びつけたより深い説明が可能になると、京都を拠点としながらも、そこから国内外の展覧会やギャラリーなどに繋がる契機も期待できるのではないか。

両日ともに、東京のギャラリーからのスタッフや韓国のキュレーターなどと一緒に訪問したため、この繋がりの中で生まれた展覧会や作品に関する意見交換も活発だった。

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