大学概要

学長メッセージ

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  京都市立芸術大学は,明治13年(1880)に京都府画学校として創設されて以来,京都市画学校,京都市美術学校,京都市立美術専門学校,京都市立美術大学などと設置形態を変えながらも,一貫して芸術の制作・教育・研究活動を担ってきた,芸術系大学としては全国でももっとも長い歴史をもつ大学です。

  また,音楽学部の前身,京都市立音楽短期大学も全国初の公立音楽大学として,さらにその母体となった京都市立堀川高等学校音楽課程も全国初の音楽高校として発足したことからうかがえるように,京都市立芸術大学は,芸術的創造を市民生活のきわめて重要な部分ととらえる京都市民の心映えを象徴する文化・教育機関として,これまで長く京都市民のみなさまに支えられてきました。

 135年におよぶその歴史のなかで,京都市立芸術大学は設立当初より,日本の伝統芸術を継承・刷新するとともに,日本の近現代芸術の屋台骨を支え,世界的にも高く評価されるアーティストたちを数多く世に送りだしてきました。その意味では,京都市立芸術大学は,京都のみならず,日本の芸術文化のきわめて重要な火床の一つ,世界への発信基地の一つでありつづけてきました。

  芸術的な創造活動は,国家の歴史よりもはるかに古い《人類史的》ともいえるいとなみです。創生期の人類がすでに死者を弔い,花を手向けるという習俗をもっていたことからもあきらかなように,ひとの生老病死の傍らには,さらにさまざまの社会的な活動の傍らには,つねに芸術・芸能がありました。芸術は,その根を,理知のみならず感覚や感情の奥底にもつ,人類文化の根幹となる活動の一つです。それはひとが大切にしなければならない感受性やふるまいの一つひとつを再発見し,かつ洗練させてゆくとともに,淀みかけた文化に新しい刺戟をあたえ,それを刷新してゆく,文化の駆動力の源泉の一つでもあります。

  芸術が《人類史的》ないとなみであるというのは,どんな時代にあっても人びとの暮らしの根底で疼きつづけるということもあります。芸術をつうじて,おなじ時代を生きる人びとの歓びや悲しみ,苦しみに深くかかわるということ,そしてどんな苦境のなかでも希望の光を絶やさないこと,そのような使命も芸術大学は担っています。

 それと同時に,本学は,公立大学として,地域住民との支え,支えられる関係に深く身を投じていきたいと願っています。美術・音楽はものづくりや芸能の伝統と共通の根をもっています。いいかえると,美術も音楽も,ものづくりや芸能の《わざ》から多くを学んできました。その豊かな土壌が京都にはあります。京の市井で古くより伝承されてきたこれらの《わざ》に深く学びつつ,そこに新しい息遣いを,新しい発想を吹き込むという使命も京都市立芸術大学にはあります。

 そういう使命の大きさ,重さにあらためて震撼しながら,本学教職員と学生はこれからも,制作に,演奏に,研究にあたってゆこうと思っています。

 みなさまの厚いご支援をどうかよろしくお願い申し上げます。

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鷲田 清一(わしだ・きよかず)

[略歴]

昭和24年京都生まれ。昭和47年に京都大学文学部哲学科卒業後,関西大学教授,大阪大学教授,大阪大学総長などを歴任。大阪大学名誉教授,大谷大学客員教授,せんだいメディアテーク館長。専門分野である哲学・倫理学の視点からアート,ファッション,教育,労働,ケアなど様々な分野において,数多くの評論・執筆活動を行っている。

[受賞歴]

  • 平成元年 第10回サントリー学芸賞:『分散する理性』,『モードの迷宮』
  • 平成12年 第3回桑原武夫学芸賞:『「聴く」ことの力』
  • 平成16年 紫綬褒章
  • 平成24年 第63回読売文学賞:『「ぐずぐず」の理由』