コンテンツ3. 井上隆雄写真資料全体について

■井上隆雄写真資料について

 

井上隆雄のアトリエには膨大な数のポジ・ネガ・プリント・機材・作品、そして多数の出版物や蔵書が残されました。 これらの写真資料は、出版物ごと、クライアントごと、季節や地域ごと等、井上隆雄とアシスタントによって丁寧に箱やファイルに選り分けられていました。 撮影対象は、仏教美術、国内外の自然の風景、京都の文化、他の美術作家の作品や展覧会の記録、アジア諸民族の生活など、様々な分野にわたっています。

井上隆雄写真資料の紹介

・井上隆雄写真作品 367点
・井上隆雄所蔵作品 61点
・写真資料収納箱 490点(写真用収納BOX、一部ダンボール含む)
・資料類 15点(収納BOX、ダンボール含む)
・蔵書 501点

◎本プロジェクトでは井上隆雄の分類を基準として全体資料目録を作成しています。
井上隆雄写真資料インデックス
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井上隆雄所蔵作品
井上隆雄作品リスト
井上隆雄フィルム類
井上隆雄資料類


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●主なカテゴリー紹介

・仏教美術
国内の寺社の建築、仏像または祭事に関する記録。海外ではインド壁画、ラダック、モンゴル、ビルマなどの寺院、壁画、遺跡の様子、またそこでの人々の生活の様子などの記録があります。

・国内の風景
出版物『みちのく風土記』(1984年)、『美しき無常 すすきの気色』(2012年)があるように、井上氏は自然の草木を中心に様々な地域を訪れて撮影しています。月ごとに分類した箱の中に膨大な数の風景写真のポジが保管されています。

・海外の風景・文化
ギリシャやトルコなどにも取材に行き、アテネやポセイドン、トロイやディディマなど、古代遺跡や彫像、街並みなどを撮影しています。

・京都の文化
梅原猛『京都発見』シリーズや茶道を伝える雑誌『淡交』の撮影を担っていたということもありますが、茶道や祭礼、下鴨神社や葵祭、深泥池や寺社など、京都の様々な景色や文化に関わる写真があります。

・美術関連—京都市立芸術大学の今熊野校舎の記録、他の美術作家の作品、展覧会の記録など
井上隆雄さんは今熊野時代の京都市立芸術大学の様子を記録しています。(写真集『描き歌い伝えて』(1980年))その他にも、知人の個展や記録冊子、図版製作のために様々な作家を撮影した写真資料が残っています。
1970年に開催された「第10回日本国際美術展(通称、東京ビエンナーレ)-人間と物質」の京都市美術館会場を撮影したネガフィルムも確認できました。地下の彫塑室を梱包したクリストの展示風景やクラウス・リンケが京都市美術館のエントランスでのパフォーマンスを行っている様子を確認することができます。

・アジア諸民族の生活
仏教美術だけでなく、ミクロネシア、インドネシア、そして中国やモンドルなど、その地域の人々の暮らしや営みも数多く撮影しています。
淳風小学校での箱が並んでいる画像