シンポジウムのお知らせ


シンポジウム

「過去の現代の未来2 キュレーションとコンサベーション その原理と倫理」


インディペンデント・キュレーターの遠藤水城の呼びかけにより組織された國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会は、2014年に不慮の事故で急逝した國府理による《水中エンジン》(2012)の再制作を試み、これまでに「裏声で歌へ」(栃木・小山市立車屋美術館)、「國府理 水中エンジン redux」(京都・アートスペース虹)での展示を実現しました。この取り組みは、展示を重ねるごとに、現代美術作品の保存・修復や再制作に関連して生じる作品の正当性の根拠、保存対象とすべき物質・現象の理想と現実、再制作過程の記録の重要性とその価値付け、活動記録のアーカイヴの可能性などを問いかける実践ともなり、次第に國府理の《水中エンジン》という具体的で個別の作品の再制作の試みであるのにとどまらない、今日の美術館が取り組むべきより普遍的な課題を明らかにするものともなっています。
本シンポジウムは、國府理の《水中エンジン》ならびにその再制作プロジェクトをモデルケースとして、人類の営みを保存し未来へと伝えていく美術館の役割について問い直すものです。兵庫県立美術館は、阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとして2002年に開館しました。当時の日本ではまだ多くはなかった保存・修復部門がおかれたことは、当館に課されたこうした使命を象徴しています。國府の作品が2011年の東日本大震災の経験を踏まえたものであることを考え合わせた時、本シンポジウムを当館で開催することの意義はいっそう重いものとなるでしょう。また、國府の母校である京都市立芸術大学の芸術資源研究センターとも協力し、現代美術の保存・修復の意義と課題を考えるシンポジウムのシリーズ「過去の現在の未来」の第2弾として開催します。第1部では、國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会より、企画代表者、再制作担当者、記録担当者の3名が登壇します。第2部では、保存・修復の専門家や美術館学芸員、研究者が登壇し、現代美術の保存・修復をめぐる問題について、それぞれの立場や視点からディスカッションを行います。

    • 日時:2017年11月23日(木・祝)13:30−17:00
    • 場所:兵庫県立美術館 ミュージアムホール(1F)
    • 参加無料(事前申込不要)

タイムスケジュール
13:30~13:40 開会あいさつ 石原友明(京都市立芸術大学 芸術資源研究センター 所長)

13:40~14:40 第1部「國府理《水中エンジン》とキュラトリアルな実践としての再制作」
遠藤水城(インディペンデント・キュレーター)
白石晃一(アーティスト、ファブラボ北加賀屋)
高嶋慈(京都市立芸術大学 芸術資源研究センター 研究員)

15:00~16:50 第2部「現代美術の保存修復の責務と倫理」
相澤邦彦(兵庫県立美術館 保存・修復グループ 学芸員)
加治屋健司(東京大学 大学院総合文化研究科 准教授)
田口かおり(東海大学 創造科学技術研究機構 特任講師)
中井康之(国立国際美術館 学芸課長)
司会:小林公(兵庫県立美術館 学芸員)

16:50~17:00 閉会あいさつ 飯尾由貴子(兵庫県立美術館 企画・学芸部門マネージャー)

関連展示

國府理の《水中エンジン》は、剥き出しにした自動車のエンジンを水槽に沈め、水中で稼働させる作品です。國府は、浸水や漏電、部品の劣化などのトラブルに見舞われるたびに、メンテナンスを施して稼働を試み続けました。
國府の死後、エンジンは廃棄され、水槽のみが遺されていた本作は、國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会により、國府と関わりの深いアーティストやエンジン専門のエンジニアらの協力を得て、エンジン部分の再制作が行われました(2016年12月~2017年4月に再制作1台目を、6月~7月に再制作2台目を、京都造形芸術大学ULTRA FACTORYにて制作)。
本シンポジウムの関連展示では、《水中エンジン》および再制作のドキュメント資料をアトリエ1にて展示します。

  • 日時:2017年11月21日(火)~29日(水)10:00~18:00 ※11月27日(月)は休館日
  • 会場:兵庫県立美術館 アトリエ1(1F)
  • チラシ

主催:京都市立芸術大学 芸術資源研究センター、國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト実行委員会、兵庫県立美術館
協力:アートスペース虹、京都造形芸術大学 ULTRA FACTORY、東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
特別協力:田中恒子
助成:アーツサポート関西、テルモ生命科学芸術財団


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