第20回アーカイブ研究会のお知らせ


第20回アーカイブ研究会

「Week End / End Game:展覧会の制作過程とその背景の思考について」


  • 日時:2018年1月11日(木)17:30−19:30
  • 場所:京都市立芸術大学芸術資源研究センター
  • 参加無料(事前申込不要)

チラシ


〈概要〉
アーティスト田村友一郎による個展《試論:栄光と終末、もしくはその週末 / Week End》が栃木県の小山市立車屋美術館で開催されました。
本アーカイブ研究会では、田村友一郎とこの展覧会をゲストキュレーターとして企画した服部浩之が、展覧会の制作過程や実施意図などを紹介します。アーティストやキュレーターが如何に思考し、現在という時代を生きているか、それぞれの観点を交えながら話を展開します。

“バブル期から約 30 年、 そして東日本大震災から 5 年以上が経過した現在の都市や、 その生活の現状を改めて考えるというところから、 展覧会はスタートしました。 はじめて美術館を訪問した際に、 美術館の公用車となっていた日産グロリアに着目した田村は、 これまで自身が度々言及してきた 「栄光」 へとつながる手がかりを見出しました。 そこから、 ある個人の栄光に着目し、都市の状況や人々の生活の背後にある社会の現状を捉えようと試みました。 作品は、 美術館だけでなく市内の複数の場所にも挿入され、 それらをリンクさせる独自の仕組みの構築、 さらにウェブサイトへの展開など、 展覧会は複数のレイヤーが重なる立体的な構造を成しています。 それは都市そのものの複雑な現状を再体験するようなものでもあり、 一地方都市において実際に生活する人物や具体的な出来事から、 より大きな普遍的な諸問題を描出することを試みています。
また、 このグロリアをきっかけにして、 同時期に開催される日産アートアワードでは 《栄光と終焉、もしくはその終演 / End Game》 というタイトルを冠した作品への展開も行われました。 ふたつの作品に直接的なつながりはありませんが、 ほぼ同時期に性格の異なる関東のふたつの都市で作品が同時に公開されることで、 何かしら特異な事象が生まれていることは確かです。
展覧会という規定された枠組みを超えて、 作品/プロジェクトを展開する田村の作品がどのような思考と過程を経てつくられたのか、 車屋美術館での展覧会を企画した服部の企画意図なども含めて、 その制作の裏側を紹介したいと思います。” 


■講師プロフィール
田村友一郎(アーティスト)
1977 年富山県生まれ。熱海市在住。日本大学芸術学部写真学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程修了。2012 年度文化庁新進芸術家海外派遣制度によりベルリン芸術大学・空間実験研究所に在籍。既にあるイメージや自らが撮影した素材をサンプリングの手法を用いて使用し、独自の関係性を導き出し再構築することで時空を超えた新たな風景や物語を立ち上げる。Google Street View のイメージのみで構成されたロードムービー『NIGHTLESS』で第 14回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞(2011 年)。近年の主な展覧会に「2 or 3 Tigers」(Haus der Kulturen der Welt、ベルリン|2017 年)、「Mode of Liaison」(バンコク芸術文化センター[BACC]|2017 年)、「BODY/PLAY/POLYTICS」(横浜美術館|2016 年)、KYOTO EXPERIMENT 2016(京都芸術センター)、「物語りのかたち」(せんだいメディアテーク|2015 年)、メディアシティ・ソウル 2014(ソウル市美術館)、「これからの写真」(愛知県美術館|2014 年)、MOT アニュアル 2012「風が吹けば桶屋が儲かる」(東京都現代美術館)など。今後は、日産アートアワード2017、ヨコハマトリエンナーレ 2017 特別企画、ハンブルガー・バーンホフ現代美術館(ベルリン)での展示が予定されている。

服部浩之(キュレーター)
1978 年愛知県生まれ。秋田市、名古屋市在住。早稲田大学大学院修了(建築学)。2009 年-2016年青森公立大学国際芸術センター青森[ACAC]学芸員。2017 年より秋田公立美術大学大学院にて教鞭をとる傍ら、アートラボあいちディレクターとしてアートセンターの運営にも携わる。これからの生活のあり方を模索すべく、異なる二つの地域を往来しながら暮している。都市空間の諸問題と公共圏の成り立ちに興味をもち、アジアを中心に、展覧会やプロジェクト、リサーチ活動を展開している。近年の企画に「十和田奥入瀬芸術祭」(十和田市現代美術館、奥入瀬地域 |2013 年)や、「Media/Art Kitchen」(ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、バンコク、青森|2013 年~2014 年)、「あいちトリエンナーレ 2016」(愛知県美術館ほか、名古屋市、岡崎市、豊橋市|2016 年)、「アッセンブリッジナゴヤ」(港まちポットラックビルディングほか|2016年~)、「ESCAPE from the SEA」(マレーシア国立美術館、Art Printing Works Sdn. Bhd|2017年)等がある。

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