講演会のお知らせ

「詩的な記譜:フルクサスの音楽概念」
講演:ルチャーナ・ガリアーノ Luciana Galliano(音楽学)


    記譜法(ノーテーション)という視座から音と身体の結びつきを考察することを目的とする「音と身体の記譜」プロジェクトでは,研究会を開催しています。当プロジェクトではこの度,イタリアの音楽学者ルチャーナ・ガリアーノ氏をお招きして,1960年代のグローバルな前衛芸術運動であるフルクサスとその記譜法についてお話をしていただくことになりました。ガリアーノ氏は2018年11月に,フルクサスとその中での日本のアーティストの果たした役割に焦点を当てた著書JAPAN FLUXUS (Lexington Books)を出版されています。フルクサスの活動を音楽面から考察した貴重な研究の成果を知る絶好の機会となりますので,ぜひご参加ください。

  • 日時:2019年12月5日(木)15:00−
  • 場所:京都市立芸術大学 芸術資源研究センター
  • 参加無料(事前申込不要)

【要旨】
 フルクサスはそれまでに前例のないグローバルな広がりをもち,1960年代において最も急進的で,実験的な芸術運動であり,そしてコンセプチュアル・アート,インスタレーション,パフォーマンス,インターメディアといった現代アートの主要な手法の誕生にも深く関わっています。
 フルクサスにとって音楽は活動の根幹といえますが,そこでは日本のアーティストたちが重要な役割を担っていました。フルクサスにおいて「音楽」は,「コンサート」や「ピース」とも呼ばれるイヴェントとして行われます。そこでは音楽が、音で構成されているかどうかには関わりなく,アーティストと観衆が同時的に立ち現れ,両者が等しく共有し,経験する時間の中で構成されており,ユニークな表現のあり方をみせています。フルクサスの「音楽」の記譜法は,図面,図表,画像,処方箋,詩的な言葉という形式をとっており,そのようなフルクサスの記譜の意味=用法は,体験される時間を生成することにあるといえるでしょう。

■講師プロフィール
ルチャーナ・ガリアーノ |Luciana Galliano
音楽学者・音楽美学者。トリノ大学卒業。東京藝術大学修士課程修了。
2004年より2009年まで,CESMEO(国際東アジア高等研究所)取締役会役員。ミラノ音楽院,トリノ大学等にて講師を務めた後,1996年−2011年ヴェネツィア大学 Ca’ Foscari 教授。 2014年,国際日本文化研究センターに外国人研究員として滞在。現代音楽に関する深い知識と才能を兼ね備え,現代音楽,現代芸術関係の著作を数多く発表している。最新の業績は2012年のThe Music of Joji Yuasa(原書はCambridge Scholars Publishingより刊行。2019年9月にアルテスパブリッシングによって日本語訳出版)と2018年のJAPAN FLUXUS (Lexington Books) である。今回はフルクサスと記譜法に関する講演を行う。


プロジェクト:音と身体の記譜研究

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