京焼海外文献アーカイブ

プロジェクト・リーダー:前﨑 信也(非常勤研究員)

 国内経済が低調を続ける中,陶芸家を目指す学生にとって将来の海外進出は避けて通ることの出来ない道のひとつであることに違いはない。しかし,歴史上,京焼が海外進出に成功したのは明治期に限るとされている。欧米各国で開催された万国博覧会において京焼は日本陶磁器を代表するものとして紹介され,好評を博し,何百万・何千万という作品が舶載され海を渡った。この時,欧米において京焼が歴史的に如何に紹介されていたのかを知る事は,将来海外を目指す陶芸家にとって価値ある情報となることだろう。
本研究では,海外文献等に記述された京焼に関する言説のアーカイブ化を目的とする。そのために,近世から現代までに欧米で出版された日本陶磁器関連の文献資料を収集しリストを作成。その中から京焼に関する記述をデジタル化し,蓄積した画像をイメージデータベースという形でアーカイブ化する。構築する「海外京焼関連文献データベース」は,知的財産権に留意しながら,学内・学外に向けて可能な限り公開し,教育・創作・研究に利活用する。
今年度は19世紀後半に欧米で出版された京焼関連書籍の翻刻を行なった。研究対象とした書籍は以下の3件である。英国リヴァプールの羊毛業者であり19世紀後半を代表する日本陶磁器コレクターとして知られるジェームス・ロード・ボウズ(James Lord Bowes: 1834–1899)によるKeramic Art of Japan (London: Sotheran & Co., 1881)。明治期に日本に海軍のお雇い外国人となり,後にジャーナリストとして活躍したフランシス・ブリンクリー(Francis Brinkley: 1841–1912)によるJapan: Its History Arts and Literature, Keramic Art, vol. 8 (Boston: J. B. Millet Co, 1901)。明治期における日本陶磁器収集家としてボストン美術館にそのコレクションが今も所蔵されているエドワード・シルベスター・モース(Edward Sylvester Morse: 1838–1925)によるCatalogue of the Morse collection of Japanese pottery (Cambridge: Riverside Press, 1901)。これらの書籍中の京焼に関する記載を翻刻しデータ化を行った。特にボウズのKeramic Art of Japanについては現物を購入し京都市立芸術大学図書館の所蔵品とすることができた。
翻刻作業と並行して,研究公開用の画像データベースの構築を行った。翻刻した資料を書籍のページ画像と同時に見ることができるよう,画像とテキストを同時に表示することのできるものとした。また,芸術資源研究センターが立命館大学アート・リサーチセンターと進めている富本憲吉関連資料データベースとの連携も図り,同じデータベース上で同時に検索できる機能を付けた(http:// www.dh-jac.net/db1/mjci/about/ kyotoceramics.php ) 。今後も京焼に関する外国語文献の翻刻を進めるとともに,書籍のデジタル化を進め,平成28年度内のデータベース公開を目指す。今年度はデータベース構築が研究の中心となったが,今後は海外調査も視野に入れ,できるだけ多くの文献の調査・収集を行なう予定である。
京焼海外文献アーカイブ1 京焼海外文献アーカイブ2

Keramic Art of Japan 京焼のページ

Keramic Art of Japan 九谷焼のページ

 

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