美術教科書コレクションアーカイブ作成

プロジェクト・リーダー:横田 学(美術学部教授)

 京都市立芸術大学附属図書館は,明治時代以来の図画工作・美術教科書を約1500冊所蔵している。これらの教科書は,京都市立芸術大学美術教育研究会が長年にわたり収集し,2001年度に図書館に寄贈された13000冊を超える美術教育関係図書の一部である。
 明治時代以降の教科書のコレクションについては,国立国会図書館をはじめ各地の図書館でも所蔵されており,そのコレクションを公開しているところもある。また,旧師範学校を母体とする各地の国立の教育大学附属図書館にも所蔵されているが,その取り扱いは様々で積極的に公開や活用を進めている大学は少ない。さらに,これらのコレクションは,「国語・社会科・数学・理科」と言った教科が主体であり,美術教育(図画,工作,手工,美術,工芸など)の収集・整理・公開を行なっているケースは少ない。
 近年,図書館などにおける書籍のアーカイブ化が急速に進みつつあることからも,教科書(美術に限定しない教科書)のアーカイブ化も進むと考える。しかしながら,美術教育に焦点を当てた教科書アーカイブの今後については以下のようなことが予測される。
・教育研究者の中で美術教育に関わる研究者はそれほど多くない。また,現在教科書コレクションを有する教育大学や教育学部など教育系大学においても,美術教育の位置づけは他教科に比べ大きいものとは言えず,教育系大学における教科書コレクションの充実やアーカイブにおいて,美術教育を特に焦点化して実施される可能性は低い。
・芸術大学など美術系大学の附属図書館で,充実した明治期以来の教科書コレクションを持つのは本学のみであり,今後もその状況に変化はないと思われる。さらに,本学においては,既に美術教育研究会によって「美術教育関係収蔵図書目録」が整理・作成されており,体系的資料整理が可能である。
・出版されてから長い時間が経過した明治・大正・昭和(戦前)の教科書は,経年劣化が進行しており,図版を主とする美術教科書は記載された文字データの保存だけではなく,各ページの画像をアーカイブすることが急務である。
 これらのことから,本プロジェクトによる本学図書館の図画工作・美術教科書コレクションのアーカイブ事業は,今後の美術教育研究に取り組む人々に貴重な研究資料を提供し,美術教育の振興に貢献できるものだと考える。
 なお,教科書各ページのスキャニングによって作成されたデータを活用するためには,当然のことながら,情報の検索などが出来るデータベースの構築が必要不可欠である。基礎データとしては前述の「美術教育関係収蔵図書目録」及び本学図書館の蔵書検索データベースの情報が活用できるが,単なる蔵書検索ではなく,図画工作・美術教育の視点から個々の教材の内容,ねらい,さらに表現題材については素材や技法による検索が可能となる追加情報を含めたデータベースの構築を目指している。
なお,作成したアーカイブ及びデータベースの公開に当たっては著作権の確認作業が必要となるが,Webやオフラインで利用できるようにするソフトウェアの開発等が検討課題となっている。

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