研究会のお知らせ

「音と身体の記譜研究」企画
「タブラチュアを考える〜動作が導く音の世界」


日 時:2024年3月23日(土)14:00-17:00
(1)話題提供:岡田正樹、重森三果、橋爪皓佐、三島郁
(2)座談会

会 場:京都市立芸術大学B棟1階専門講義室2 ▶︎ご来場は公共の交通機関をご利用ください。
定 員:50名
参加料:無料・要予約 ▶︎予約フォーム
主 催:京都市立芸術大学芸術資源研究センター「音と身体の記譜研究」プロジェクト
チラシ


【概要】
楽譜とは音楽を表し、記録するためのメディアである。この楽譜を書く方法のことを記譜法(ノーテーション)という。ノーテーションの方法は千差万別で、音楽文化が違えばやり方も異なる。また同じようなシステムによっているように見えても、しばしば時代や地域によって特有の方法がとられており、常に慣習的な読み方が通用するとは限らない。それは、楽譜の書き方(ノーテーション)が、その時代の、あるいはその文化における音楽に対する考え方を反映しているからだと言えるかもしれない。
ノーテーションの手法の一つにタブラチュア(奏法譜・タブ譜)がある。タブラチュアは、演奏にあたっての動作を表現することによって音楽を記す(「ノーテーションする」)方法である。五線譜のように音の高さを示すのではなく、楽器のどの部分をどのように扱うかを指示するような楽譜の書き方がタブラチュアの基本的なあり様である。言い換えれば、タブラチュアとは、身体がどのように動作するかを記すことに重きを置いたノーテーションである。
タブラチュアが現在もギターや三味線などで使われていることは、比較的知られているかもしれない。だが歴史的に見れば、ヨーロッパの鍵盤楽器では、五線譜ではなくタブラチュアが使われていた時代があった。また20世紀以降の、いわゆる現代音楽においても、タブラチュアは様々なやり方で装いも新たに用いられている。
本企画は、専門やジャンルの違う4名の講師を招き、そうしたタブラチュアを用いる音楽について色々と考えてみようというものである。前半は4名の講師が各自の専門領域からポピュラー音楽におけるギタータブ譜(岡田正樹)、伝統邦楽の世界を背景とする新作創作と三味線譜の作成(重森三果)、映像的な記譜に内在する身体性とタブラチュア的な特質(橋爪皓佐)、バロック時代の鍵盤タブラチュアの記譜上の特性(三島郁)といった話題を提供し、後半は互いに意見を交換し合う場として座談会を行う。
タブラチュアの世界について考えることを通して、音楽と身体の結びつきやそのあり方の様々を捉えることができるのではないか、それが本企画の主旨である。
(文責:竹内直)


【講師プロフィール】
三島郁(音楽学、本学非常勤講師)
東京学芸大学大学院修士課程修了後、ケルン大学に留学、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門分野は西洋バロック期から19世紀の鍵盤楽器音楽の演奏・作曲論、数字付きバス文化研究。チェンバロ、通奏低音を亀谷喜久子、岩渕恵美子、C. チェラジの各氏に師事。国内外でバロック期の音楽や音楽修辞学などのレクチャーやコンサートを企画・開催。共著に『音楽文化学のすすめ:いまここにある音楽を理解するために』(2007年、ナカニシヤ出版)、『音楽を考える人のための基本文献34』(2017年、アルテス・パブリッシング)他がある。京都市立芸術大学、同志社女子大学、大阪音楽大学、甲南女子大学、大阪教育大学、各非常勤講師、京都市立芸術大学芸術資源研究センター共同研究員。

重森三果/新内志賀(邦楽家、本学非常勤講師)
京都市生まれ。幼少期より江戸浄瑠璃新内節を研進派初代家元・新内志賀大掾及び新派家元・富士松菊三郎に師事。小唄を里園派宗家・里園志寿栄及び里園志寿華に師事。2012年研進派家元、並びに新内志賀の襲名を果たし、現在は一門の指導・育成に献身している。本名の重森三果名義では、さまざまな文学をもとに脚色した作品や自ら書き下ろした楽曲を、新しい試みをもって精力的に発表している。また数多くの映画・テレビ・舞台などに於いて邦楽指導、演奏出演するなど多岐にわたって活動をしている。2014年文化庁芸術祭音楽部門優秀賞受賞。NHK邦楽オーデイション合格。京都市立芸術大学にて非常勤講師や京都産業大学、佛教大学、同志社女子大学、大阪大学、大学コンソーシアム京都などでゲストスピーカーを勤める。

橋爪皓佐(作曲家、芸術資源研究センター非常勤研究員)
ブリュッセル王立音楽院学士課程修了、京都市立芸術大学大学院音楽研究科修士課程(作曲)修了。英国王立音楽大学へ派遣交換留学。作曲家・ギター奏者として活動するほか、ロゼッタ(音楽コレクティブ)を主宰。「のせでんアートライン2021」に公募作家として参加、国際芸術祭「あいち2022」への出演、子供向け創作ワークショップ企画など、領域横断的に活動している。作曲作品は現代ギター社などから出版されている。京都市立芸術大学芸術資源研究センター非常勤研究員。京都女子大学非常勤講師。2023年度ロームシアター京都リサーチプログラムリサーチャー。

岡田正樹(音楽学、芸術資源研究センター共同研究員)
大阪市立大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専攻はポピュラー音楽研究、音楽学。近年は主に、アマチュアミュージシャンの音楽実践におけるタブ譜の意味・機能についての研究、楽器小売店の機能をメディア文化理論的観点から検討する研究、1990年代ヴィジュアル系ミュージシャンの活動に注目した日本ポピュラー音楽史の再考などのテーマに取り組んでいる。訳書に『ソニック・ユース』(デイヴィッド・ブラウン著、2019年、水声社)、主な論文に「メディア・ハブとしての楽器店」(『音楽表現学』vol.20、2022年)など。DJ(PCDJ)をDJ YASUに師事。

座談会司会
▶︎岡田正樹(芸術資源研究センター共同研究員)

企画コーディネーター・進行
▶︎竹内直(芸術資源研究センター非常勤研究員、プロジェクト・リーダー)

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