國府理《相対温室》循環プロジェクト 資料展のお知らせ

《相対温室》資料展

作家が遺した作品の一部は、「芸術資源」として、未来の創造活動や記憶の共有にどうつながるでしょうか。
國府理(1970-2014、京都市立芸術大学彫刻専攻修了)は、自動車などの乗り物をモチーフに、可動性や強度をそなえた 大型立体作品を制作した美術作家です。遺作の《相対温室》(2014)は、循環する水によって木製プランターから植物の種が芽吹き、生態系への思考をうながす作品です。
國府が制作した木製プランター18個をご遺族より提供いただきました。学生の皆さんに、作品の素材や学内での活動として再活用してもらうことを目的とし、《相対温室》の資料展示と再活用プラン案を募集します。再活用の事例は、成果発表の機会を設ける予定です。

2024年は、國府が事故で急逝してから10年の節目の年にあたります。國府は、自動車やパラボラアンテナなど工業製品を素材に用いつつ、植物や水という自然現象を取り込み、人工と自然の共生関係を考えてきました。都市部に移転した崇仁キャンパスで、隣接する高瀬川など植物や自然との共生を考える上でも、國府作品が示唆を与えてくれるでしょう。
國府自身、自動車のエンジンを水槽の中で稼動させるなど、「自動車」の本来の機能を逸脱・拡張する作品を制作しました。今回の「プランター」の使いみちも、植物生育用に限定されません。絵の支持体にする、版木にする、楽器の素材にする、ボートにして高瀬川に浮かべてみる・・・再活用のアイデアは無限大に開かれています。学生の皆さんからのたくさんの応募をお待ちしています。


日時:2024年12月15日(日)〜23日(月)/12:00~18:00 無休
会場:京都市立芸術大学B棟1階 交流室
主催:京都市立芸術大学芸術資源研究センター2024年度「現代美術の保存修復/再制作の事例研究―國府理《水中エンジン》再制作プロジェクトのアーカイブ化」
協力:國府克治、青木兼治、ARTCOURT Gallery
フライヤーデザイン:駒井志帆
チラシ(PDF)



説明会
会期中に学生を対象とした説明会を開催します。記録映像の特別上映と《相対温室》についてのミニレクチャー後、再活用のアイデアをブレーンストーミング的に話し合います。
日時:2024年12月19日(木)/15:30~17:00 
申込不要・途中参加OK
会場:京都市立芸術大学C棟6階 多目的ギャラリー(601)

木製プランターの再活用プラン案の募集
締め切り:2025年3月15日(土)
結果通知:2025年3月末
制作期間:2025年4月以降~
成果発表:2025年秋頃予定


國府理(1970-2014)
1994年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。自動車などの乗り物をモチーフに「夢の乗り物」を思わせる大型の立体作品を制作。造形表現に加え、実際の機能性も持ち合わせる。野村仁が主宰するソーラーカー・プロジェクトに参加し、技術面で支えた。また、テクノロジーとエコロジーの関係への関心から、植物や水を取り込み、文明社会と自然環境を対比させる作品を発表した。《相対温室》が展示された国際芸術センター青森での個展において、展示作品の点検中の事故で急逝した。


再活用を予定している「木製プランター」
高さ25cm✕横幅35cm✕長さ(奥行き)194cm ×計18個

《相対温室》(2014) 
鉄塔に載せられた水槽から、高低差により樋を伝って水が流れ、水は木製プランターの土を潤し、パラボラアンテナの皿に溜まっていく。溜まった水は少しずつ下の水路に落ち、ポンプの作動により再び水槽(=水源)に戻る。プランターでは植物の種が芽吹き、パラボラの皿には苔生した石が盆景をつくる。
「水棲生物を飼育する水槽」「プランター」「盆景」という「自然を人工的に切り取った箱庭的世界(=温室)」を一つのサイクルのもとに提示することで、水の循環や生態系への思考をうながす。


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