アーティストトーク:フィトリアニ・ドゥイ・クルニアシ
彫りながら、歌いながら、共に働く
インドネシアの⼥性版画アーティスト Fitri DK の作品世界
本アーカイブ研究会は、インドネシアのジョグジャカルタを拠点に活動するアーティストのフィトリアニ・ドゥイ・クルニアシ氏(Fitri DK)をお招きしアーティストトークを行います。
フィトリ氏は、インドネシアにおける農民、女性コミュニティ、労働者、その他の周縁化されたグループの権利擁護や環境保護など社会運動に積極的に関わり、アートワーカーとして当事者たちと共に闘ってきました。特に、女性の問題を提起することに力を注ぎ、家父長制的な文化のなかで、女性たちの声を表現する作品群を制作しています。同時に、コミュニティ・アートスペース<SURVIVE! Garage>(サバイブ!ガレージ)とアートコレクティブ<Taring Padi>(タリン・パディ)のメンバーであり、バンド <Dendang Kampungan>(デンダン・カンプンガン)のボーカリストとしても活動し、コレクティブの活動と個人作品を通して、周縁化された人々の闘う声を記録し、伝えています。
本企画では、フィトリ氏のこれまでの活動を紹介するとともに、いかに自身のアート実践と社会運動を結びつけ、どのような表現を生み出してきたのか、また木版画を中心にした視覚芸術の手法や音楽を、いかにコミュニティや社会環境や社会運動を記録する手段としてきたのかについて、お話をうかがっていきます。
聞き手には、20年近く<Taring Padi>とフィトリ氏の活動を追ってきた徳永理彩氏を迎えて、インドネシアの社会状況について解説を交えながら、さらにフィトリ氏の活動について理解を深めていきます。
日時:2024年12月2日(月)/17:30〜20:00
会場:京都市立芸術大学C棟3F 講義室5
予約不要・参加無料
主催:芸術資源研究センター
協力:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会事務局
チラシ(PDF)
※フィトリ氏は11月から約2ヶ月間、アッセンブリッジ・ナゴヤ「港まちAIRエクスチェンジ2024 」のために来日中であり、本研究会はアッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会の協力を得ています。12/21(土)には、オープンスタジオや成果発表、アーティストトークの開催が予定されています。
撮影:徳永理彩
Fitri DK (フィトリアニ・ドゥイ・クルニアシ)
インドネシア・ジョグジャカルタ出身のアートワーカー、同地在住。木版画を中心にエッチング、水彩画、色鉛筆など視覚芸術の手法や音楽表現を用いて、社会や環境の問題についての批評や対話を表現している。これまでインドネシアをはじめ、マレーシア、台湾、オーストラリア、オランダ、ドイツ、アメリカなど、さまざまな場所での展覧会やプロジェクトに積極的に参加している。
徳永理彩
国際移民・難民論とジェンダー論を一橋大学大学院で研究した後、近年はインドネシアとマレーシアにおける木版画アートコレクティブなどDIY文化運動の研究を続ける。教育の仕事では東京外国語大学、都留文科大学でジェンダー研究やアジア文化社会論などの授業を担当。文化労働者として展覧会・上映会・トーク企画、執筆、翻訳、通訳、写真撮影などを手がける。
2024/11/22
あなたにとっての「沓掛時代の、忘れられないあの出来事」を100文字でお寄せください。
京都市立芸術大学の芸術資源研究センターは、おかげさまで2014年の設立から10周年を迎えました。
本センターでは、研究成果をまとめた出版物として、2020年度から紀要『COMPOST』を刊行してきました。
次号では、特集テーマを「沓掛図鑑(不完全版)」とし、本学が沓掛の地にあった1980年から2023年を「沓掛時代」と捉え、この時代についての個々人の「記憶」や「証言」を集め、記録し、10周年記念号として刊行する予定です。
そこで、1980年から2023年に本学沓掛キャンパスで過ごされた皆さんから、「沓掛時代の、忘れられないあの出来事」を募集します。
100文字以内のテキストであれば、川柳やポエムなど、文体は問いません。
制作室やレッスン室、食堂やグラウンドでの出来事、楽しかったことも切なかったことも、何でもお寄せください。
何か歴史をひとつに編もうとするときには、どうしても見落とされてしまう、たくさんの個々人の記憶があると思います。
ここでは、学生や教職員として沓掛時代を過ごした皆さんの、個々のさまざまな記憶をなるべくたくさん集めて、京都芸大の記録をつくりたいと思います。
ご応募いただいたテキストは、『COMPOST vol.05』(10周年記念号)の《ひとこと集「はみだしCOMPOST」》のコーナーに、紙幅の限り掲載します。
ぜひたくさんのエピソードをお寄せください。
募集概要
⚪️募集内容
・テーマ:「沓掛時代の、忘れられないあの出来事」
・文字数:最大100字
・川柳やポエムなど文体は自由です。
・本名あるいはペンネームでご投稿ください。
・おひとり何回でも応募可能です。
⚪️応募資格
本学の在学生、卒業生、教職員、研究員、元教職員・研究員
⚪️掲載先
京都市立芸術大学芸術資源研究センター紀要 『COMPOST vol.05 特集:沓掛図鑑(不完全版)』印刷版およびPDF版
⚪️応募方法
・参加規約 にご同意の上、こちらのWebフォーム に記入してご応募ください。
・投稿締切:2024年11月30日(土)23:59
⚪️応募物の選考
・応募物の掲載・不掲載については、COMPOST編集委員会が判断いたします。
・応募多数により、誌面に掲載できない場合は、PDF版で増補することも検討します。
フライヤー音楽学部ver.(PDF)
フライヤー美術学部ver.(PDF)
協力:京都市立芸術大学美術学部同窓会 象の会
#138|京芸ねこ…|CREDIT 名無しさん|LOCATION 音楽棟|YEAR 2021
#1505|総合基礎実技の流しそうめん|CREDIT neco|LOCATION アトリエ棟|YEAR 2018
#72|2回生1年遅れ…|CREDIT 石原|LOCATION 講堂|YEAR 2021
画像:「沓掛1980-2023」WEBサイト 投稿画像より引用
2024/10/31
「音と身体の記譜研究」プロジェクト企画
ワークショップ企画「ヴィオラ・ダ・ガンバ講習会」
「記憶装置としての楽器」
本ワークショップ(講習会)は、「記憶装置としての楽器」(高橋悠治, 2010)というコンセプトにもとづいて行うものです。
楽器は、それが使われていた時代の文化や社会、そしてその中での音楽の習慣を反映しています。たとえば楽器の音色や音質は、その楽器が演奏された空間と切り離すことはできません。弦の数や弓の持ち方は、それを操る身体(からだ)やそこからうまれる音楽と強く、深く結びついています。そして、そうした空間や身体からうみだされた音楽を記録し、新たに創造する術(すべ)としての記譜法、その時代の音をいまの時代に再創造・再想像するためのツールです。
今回のワークショップでは、スペインの作曲家、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のディエゴ・オルティス(ca. 1510-ca. 1570)の残した数々の「レセルカーダ」のオリジナル譜を教材として用いながら、ヴィオラ・ダ・ガンバが鳴り響いた時代の音と身体の結びつきを想像してみようということで企画したものです。
「音と身体の記譜研究」プロジェクト・リーダー 竹内直
「ヴィオラ・ダ・ガンバ講習会」
講 師:頼田麗(ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者)
日 時:2024年8月20日(火)/21日(水)10:00-17:00
会 場:京都市立芸術大学 笠原記念アンサンブルホール
受講生:弦楽器を専門的に習っている高校生・大学生:最大12名まで/要予約
▶︎受講生申込用フォーム
一般参加者(聴講):定員50名/要予約
▶︎一般参加申込用フォーム
参加料:受講者・一般参加者ともに無料
企画・主催:京都市立芸術大学芸術資源研究センター「音と身体の記譜研究」プロジェクト
講師プロフィール
頼田麗(ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者)
相愛大学音楽学部卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバを平尾雅子氏に師事。ルガーノ・コンセルバトーリオにてV. ギエルミ氏に師事。バーゼル・スコラ・カントールムにてP. パンドルフォ氏のもとで研鑚を積みディプロムを取得。2007年ドイツの第4回テレマンコンクールにて「ベーレンライター賞」受賞。2008年兵庫県知事グランプリ賞を受賞。「プリンチピ・ヴェネツィアーニ」「アンサンブル・ポエジア・アモローザ」メンバー。相愛大学音楽学部非常勤講師。
【企画アドヴァイザー・協力】
三島郁(音楽学/相愛大学教授、本学非常勤講師、芸術資源研究センター共同研究員)
【企画コーディネーター】
竹内直(芸術資源研究センター「音と身体の記譜研究」プロジェクト・リーダー)
▶︎チラシ
2024/08/19
Ladakh in the 1970’s
-Exhibtion of Japanese Photographer TAKAO INOUE-
日本の写真家、井上隆夫(1940-2016)の展覧会がラダックの2会場で同時に開催されます。
日 時:2024年8月23日(金)〜
会 場:
Choskor House in old town of Leh 11:00-1800(日曜閉館/入場無料)
Palay house in Phey village 11:00-18:00(月曜閉館/入場無料)
オープニングイベント
会 場:Palay house 8月23日(金)16:30〜
会 場:Choskor House 8月24日(土)14:00〜
トークイベント
‘Inheriting Ladakh Heritage’
Buddhist wall paintings,pjotography,archives,and conservation
日 時8月24日(土)15:00-18:30
会 場:Chokhang Vihara (Leh Market)
プロジェクトページ
井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究
2024/08/19
平野 愛 写真展「moving days in KCUA」関連イベント
「沓掛 1980–2023」プロジェクトアーカイブ展
本学に関わる方々が撮影した沓掛キャンパスの写真を集めて「個々人の記憶の集合体」をつくるデジタルアーカイブのプロジェクト等を紹介します。
会期:2024年6月29日(土)–2024年8月4日(日)
会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA 2F
開館時間:10:00 am–6:00 pm
休館日 月曜日
※7月15日(月・祝)は開館、翌平日の7月16日(火)を休館
入場料 無料
共催:京都市立芸術大学「沓掛 1980―2023」プロジェクト+芸術資源研究センター
平野 愛 写真展「moving days in KCUA」
会場 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
会期 2024年6月29日(土)–2024年8月4日(日)
開館時間 10:00 am–6:00 pm
休館日 月曜日
※7月15日(月・祝)は開館、翌平日の7月16日(火)を休館
入場料 無料
主催 京都市立芸術大学(2024年度京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA申請展)
企画 谷本天志(本学美術学部油画専攻特任教授)
企画調整 𡌶 美智子(本学芸術資源研究センター非常勤研究員)
制作補助 天羽生悠矢(京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程)
協力 株式会社フォトアンドカラーズ
誠光社
京都大学写真部
京都市立芸術大学「沓掛1980–2023」プロジェクト+芸術資源研究センター
お問い合わせ
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
Tel: 075-585-2010
メールでのお問い合わせは、
お問い合わせフォームからお送りください。
▶︎問い合わせフォーム
2024/06/24
「劇場のアーカイブ資料ってどう使うんだろう? ~THEATRE E9 KYOTO最初の5年を振り返る~
京都市立芸術大学芸術資源研究センターとTHEATRE E9 KYOTOは、およそ5年間、共同研究プロジェクトとして、E9で上演された諸作品について、アーティストより許可を頂いたものを、動画、戯曲や図面、広告物など様々な資料をデジタル形式でアーカイブしてまいりました。
この度は、その研究成果の一端を公表すべく、作品やアーカイブに関わる様々なゲストとともにアーカイブ資料の活用法についてどんな可能性があるのかを語り合います。
日 時:
2024年6月21日(金)18:00〜20:00 記録撮影をしている人の回 / 研究者の回
2024年6月22日(土)13:00〜15:00 スタッフの回 / 劇場の人の回
※トークは各回40分程度を予定、全てのトーク終了後、来場者が会場に展示しているアーカイブ資料を手に取って閲覧できる時間とします。
会 場:THEATRE E9 KYOTO ▶︎アクセス
入場無料(予約不要・出入り自由)
▶︎チラシ
○記録撮影をしている人の回 登壇者
井上嘉和(カメラマン)
竹崎博人(ビデオグラファー)
中谷利明(ビデオグラファー/フォトグラファー)
駒 優梨香(作家/演出家/カメラマン)★
○研究者の回 登壇者
柴田惇朗(立命館大学大学院 先端総合学術研究科博士後期課程)
高嶋 慈(美術・舞台芸術批評家/京都市立芸術大学芸術資源研究センター研究員)
新里直之(京都芸術大学舞台芸術研究センター研究職員)
𡌶 美智子(アートメディエーター/京都市立芸術大学芸術資源研究センター研究員)
佐藤知久(京都市立芸術大学芸術資源研究センター専任研究員・教授)★
○スタッフの回 登壇者
大川貴啓 (THEATRE E9 KYOTOスタッフルーム/照明)
北方こだち(THEATRE E9 KYOTOスタッフルーム/舞台)
林実菜(THEATRE E9 KYOTOスタッフルーム/音響)
neco(演出家/劇団三毛猫座主宰)★
○劇場の人の回 登壇者
重田龍佑(扇町ミュージアムキューブ チーフプロデューサー)
谷 竜一(京都芸術センター プログラムディレクター)
福森美紗子(プロジェクトマネージャー/元THEATRE E9 KYOTO事務局)
奥山愛菜(THEATRE E9 KYOTO事務局)★
★…THEATRE E9 KYOTO上演作品アーカイブ プロジェクトメンバー
主催:京都市立芸術大学芸術資源研究センター、THEATRE E9 KYOTO
2024/06/19
井上隆雄「ラダック・ビルマ仏教壁画」写真コレクション
本学出身(工芸家塗装専攻)の写真家・井上隆雄雄氏(1940-2016)が遺した写真のフィルムや関連資料について、2017年度から重点プロジェクト「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究」として、アーカイブに取り組んできました。この度、井上隆雄氏が1970年代後半に取材したインド・ラダック地方と、ビルマ(現ミャンマー)の仏教壁画について、国立民族学博物館DiPLAS、X-DiPLASの研究支援を受け、データベースを構築し、デジタルライブラリとして一般公開の運びとなりました。フィルム写真をデジタル化することによって、フィルムの経年劣化によって褪色が進行してしまう画像を、現時点の状況で保存することに加え、褪色した画像の色補正についても試行してきました。1970年代後半のラダックとビルマの仏教壁画と関連写真から、当時の状況を再認識すること、また芸術資源として再発見や今後の活用が期待されます。
下記のサイトから、ぜひご覧ください。(一部英語対応)
『井上隆雄「ラダック・ビルマ仏教壁画」写真コレクション』
2024.03.31 公開開始(全2,060件)
X-DiPLAS| 公開されたデータベース
これまでのプロジェクトの活動につきましては「井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究 」をご覧ください。
また、これまでのアーカイブの活動のこと、2023年3月国立民族学博物館で開催されたシンピジウムの記録集(130ページ、A4短辺スクエア、カラー)が刊行されました。ご興味のある方は、芸資研までメールにてarc@kcua.ac.jp お問い合わせください。(残部わずか)
2024/04/25
>変異するノーテーション Notation:Mutation
京都市立芸術大学移転記念事業
西洋音楽においては、長らく五線譜が主なノーテーションとして用いられてきましたが、並行して、動作を記録したタブラチュアのような楽譜や、定量的もしくは概念的な図形楽譜、そのほか紙以外のメディアに記録されるビデオ・ノーテーションなど、多様な手法が存在しています。
ノーテーションによって記される「楽譜」は、創作された音楽を記録し、伝達する技法としてのみではなく、創作を展開するためのメディアとしても機能しています。
1960年代から展開されたFluxusの活動では、音楽家を含む様々なジャンルの芸術家によってテキストを中心としたノーテーションによる指示書的なスコアが積極的に用いられました。主に美術の文脈で高い評価を得ているこの活動は、西洋音楽にとっては、突然変異(Mutation)のようなものだったのかもしれません。
そんな突然変異から連鎖的に広まっていったFluxusのようなインパクトを、「ノーテーション」という視点から再度巻き起こすことを期待し、このテーマのもと事前に作品公募を行い、世界中から57の作品応募を受けました。
本演奏会では、ゲスト作曲家の塩見允枝子氏(Fluxusメンバー)と寺内大輔氏による新作と、ロゼッタ、野営地、ゲスト作曲家によって選出された7作品、合わせて9作品を初演します。
会場:京都市立芸術大学 多目的ギャラリー (C棟6階)
日時:2024年5月12日(日) 14時開演 (13時開場)
出演:ロゼッタ + 野営地
定員:100名(予定・先着順)
入場無料 (要事前予約・未就学児入場不可)
現在申し込み者数が定員を超えておりますが、増席が可能か検討中です。 ご来場ご希望の方は下記のウェイティングリストに登録してください。 5/10までにお席がご用意できるかをご連絡いたします。
ウェイティングリスト
チラシ
プログラム(全曲世界初演)
▶︎ゲスト作曲家による新作
塩見允枝子《春の夜の天宮》3手のピアノ、バリトン、ギター、マンドリン、打楽器のために
寺内大輔《ルールズ》2~7名のパフォーマーと 1 名の指揮者のために
︎▶︎公募作品
Max Wanderman《Erosion Study》for ensemble
Francesc Llompart Pons《No Time Too Loose》
Milan Guštar《Attraction for Four》
Daria Baiocchi《Open》
矢野かおる《訥》 for four voices
(*矢野かおるは小栗舞花・熊谷ひろたか・鈴木南音のアート・コレクティブ)
John Franek《Sorry!Sorry!Sorry!Sorry!》
M.A. Tiesenga《shape(dream)》
出演/Performers
ロゼッタ
2017年に作曲家・ギタリストの橋爪皓佐によって結成されたロゼッタは、作品の公募を通して世界最新鋭の音楽作品を発表すること、その表現のあり方を更新していくことを主な活動としています。ギター、マンドリン、左手ピアノ、サクソフォンという編成でスタートし、現在は声楽、クラリネット、打楽器のメンバーも参加しています。前身活動を含め、過去に4回の作品公募公演を行なってきました。近年は公募に際してユニークなルール(始まりと終わりがない音楽、編成が分割可能な音楽など)を設定し、作曲家に対して新たな視点から作曲行為を行うことを提案しています。これまで世界各地から 200作品以上の応募を受け、欧州、南北アメリカ、アジア、オーストラリアの作曲家による作品を数多く初演。2022年には香港作曲家ギルドからビデオ公演の製作委嘱を受けるなど、活動の範囲を徐々に広げています。
橋爪 皓佐 guitar/composer_Kosuke Hashizume
有馬 圭亮 left hand piano_Keisuke Arima
柴田 高明 mandolin_Takaaki Shibata
佐古 季暢子 mandolin_Kyoko Sako
日下部 任良 saxophone_Tadayoshi Kusakabe
大井 卓也 voice_Takuya Oi
西岡 美恵子 percussion_Mieko Nishioka
–
野営地 (ゲストパフォーマンス)
身体をつかったアート、音楽、パフォーマンスをするためのプラットフォームです。 ひとりではできないことをできるようにするための、つながりをつくります。
倉本 高弘 performer_Takahiro Kuramoto
塩地 加奈子 piano_Kanako Shioji
髙橋 真理子 peformer_Mariko Takahashi
高松 志奈 voice_Shina Takamatsu
橋本 玲子 performer_Reiko Hashimoto
増野 敦子 performer_Atsuko Mashino
三宅 珠穂 performer_Tamaho Miyake
–
ゲスト奏者
上田希 clarinet_Nozomi Ueda
上中あさみ percussion_Asami Kaminaka
主催:京都市立芸術大学 芸術資源研究センター
企画・協力:ロゼッタ
協力:塩見允枝子(京都市立芸術大学芸術資源研究センター特別招聘研究員)
問い合わせ:芸術資源研究センター
MAIL:arc@kcua.ac.jp
TEL:075-585-2086
このコンサートはサントリー芸術財団佐治敬三賞推薦コンサートです
2024/04/09
座談会: 今語るリチ先生のこと
日生ビルレストラン〈アクトレス〉壁画制作を中心に
上野リチ晩年の作品、銀地に鳥や草花、果物を配した日生劇場のレストラン〈アクトレス〉(1963年竣工)の壁画は、リチの集大成ともいうべき大作として昨今広く紹介されていますが、リチはデザインの一部を示すのみで、実際の制作は当時の教え子京都市立美術大学の学生4名を選び委ねています。本座談会では、制作に当たってかなりの自由裁量も認められたという担当4氏に現場の詳細やこの作品についてのそれぞれの思いを話し合っていただきます。
座談会メンバー:1965年京都市立美術大学工芸科デザイン専攻卒業生
河原林裕二氏
元広告代理店電通勤務
木村英輝氏
キーヤンスタジオ主宰
越田英喜氏
コシダ・アート主宰
細見保彦氏
元広告代理店電通勤務
(50音順)
日 時:2024年4月13日(土)13:00-16:00
会 場:京都市立芸術大学 D棟3F 講義室8(お越しの際は公共交通機関をご利用ください)
▶︎アクセス
定員30名 要申込 下記の申し込みフォームより申し込みください
▶︎申し込みフォーム
▶︎チラシ
上野リチ・リックス略歴
1893年ウィーンの富裕な実業家の長女として生まれたフェリース・リックスは、1913年、ウィーン工芸学校に入学、1917年6月卒業と同時にヨーゼフ・ホフマンから誘われ、ウィーン工房に参加、ガラス製品・アクセサリー・小間物など多くのデザインを展開していますが、特にファッションとテキスタイル部で、マリア・リカルツらとともに頭角を現し、彼女のテキスタイルは「リックス文様」として、ウィーン工房最高の売れ行きを示し一世を風靡しました。当時はほとんどすべての部員がプリント布地のためのデザインを制作しており、その評判はダゴベルト・ぺッヒェのもとで最高潮に達し新時代を画していました。1925年にはパリのアール・デコ展で受賞し、秋には日本人留学生で建築家の上野伊三郎と結婚、1926年にかねてから憧れの日本に移住し、ほぼ隔年ごとに渡欧を繰り返して、日本の伝統意匠を自在に取り入れた作品をジャポニスムの影響を強く内包したウィーン工房からリリース、1928年には能装束意匠を強く意識した代表作ザルブラ社製壁紙デザイン4点を発表しています。一方日本では伊三郎との協働で多くの室内装飾デザインを展開しました。
またウィーン工房解散(1932年)後の1935年には京都市染織試験場に技術嘱託として着任、1944年の退職まで当時国家的プロジェクトであった繊維輸出振興に貢献し多くの輸出向けデザインを考案・制作しています。これと並行して1936年から39年までは建築家ブルーノ・タウトとの関係で群馬県工芸所所長となった伊三郎とともに同所嘱託として、地場の材料と加工技術を生かした工芸品の改良・育成・振興に尽力しました。
1945年敗戦の混乱期を経て、1951年京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)美術学部工芸科図案専攻講師となり、1960年からは教授に昇任、非常に独自な教育を展開し、また1963年の定年退職と同時に伊三郎とともに設立したインターナショナルデザイン研究所などで戦後新興の企業に多くの人材を輩出しました。
戦後の代表作として1963年竣工の村野藤吾設計による東京・日本生命日比谷ビル内の日生劇場地下レストラン〈アクトレス〉の壁画デザインがあります。1967年京都で逝去。
上野伊三郎・リチ夫妻
レストラン〈アクトレス〉壁画
レストラン〈アクトレス〉壁画は1963年9月16日完成した日本生命日比谷ビルの地下一階にあり1995年に分離保存されるまでの30余年独特の空間をつくっていました。
この日本生命日比谷ビルは日本生命保険相互会社創業70周年記念事業の一つとして構想されたもので、文化に貢献し社会に寄与する施設として世界屈指の設備を持つ日生劇場が付設されました。設計は村野藤吾です。上野伊三郎、上野リチ夫妻は村野からこの劇場の大食堂の壁画の依頼を受けていました。
このビルは1959年から4年1ヶ月を経て1963年8月に竣功しましたが、仕上げの工事に入ったのは1963年の春になってからで相当厳しい条件であったと思われます。
ここで注目したいのは、床面積300㎡のレストランの壁面(襖紙約350枚分)を実際に手掛けたの今回の座談会メンバーで、リチは各所の見本を残して一年間のウィーン帰国のため7月10日には船上の人となっています。本会はこの壁画制作の詳しい経緯を実際に描かれた方々からじかにお聞きできる貴重な機会となります。
(文責牧田)
2024/04/05
「音と身体の記譜研究」企画
「タブラチュアを考える〜動作が導く音の世界」
日 時:2024年3月23日(土)14:00-17:00
(1)話題提供:岡田正樹、重森三果、橋爪皓佐、三島郁
(2)座談会
会 場:京都市立芸術大学B棟1階専門講義室2 ▶︎ご来場は公共の交通機関をご利用ください。
定 員:50名
参加料:無料・要予約 ▶︎予約フォーム
主 催:京都市立芸術大学芸術資源研究センター「音と身体の記譜研究」プロジェクト
チラシ
【概要】
楽譜とは音楽を表し、記録するためのメディアである。この楽譜を書く方法のことを記譜法(ノーテーション)という。ノーテーションの方法は千差万別で、音楽文化が違えばやり方も異なる。また同じようなシステムによっているように見えても、しばしば時代や地域によって特有の方法がとられており、常に慣習的な読み方が通用するとは限らない。それは、楽譜の書き方(ノーテーション)が、その時代の、あるいはその文化における音楽に対する考え方を反映しているからだと言えるかもしれない。
ノーテーションの手法の一つにタブラチュア(奏法譜・タブ譜)がある。タブラチュアは、演奏にあたっての動作を表現することによって音楽を記す(「ノーテーションする」)方法である。五線譜のように音の高さを示すのではなく、楽器のどの部分をどのように扱うかを指示するような楽譜の書き方がタブラチュアの基本的なあり様である。言い換えれば、タブラチュアとは、身体がどのように動作するかを記すことに重きを置いたノーテーションである。
タブラチュアが現在もギターや三味線などで使われていることは、比較的知られているかもしれない。だが歴史的に見れば、ヨーロッパの鍵盤楽器では、五線譜ではなくタブラチュアが使われていた時代があった。また20世紀以降の、いわゆる現代音楽においても、タブラチュアは様々なやり方で装いも新たに用いられている。
本企画は、専門やジャンルの違う4名の講師を招き、そうしたタブラチュアを用いる音楽について色々と考えてみようというものである。前半は4名の講師が各自の専門領域からポピュラー音楽におけるギタータブ譜(岡田正樹)、伝統邦楽の世界を背景とする新作創作と三味線譜の作成(重森三果)、映像的な記譜に内在する身体性とタブラチュア的な特質(橋爪皓佐)、バロック時代の鍵盤タブラチュアの記譜上の特性(三島郁)といった話題を提供し、後半は互いに意見を交換し合う場として座談会を行う。
タブラチュアの世界について考えることを通して、音楽と身体の結びつきやそのあり方の様々を捉えることができるのではないか、それが本企画の主旨である。
(文責:竹内直)
【講師プロフィール】
三島郁 (音楽学、本学非常勤講師)
東京学芸大学大学院修士課程修了後、ケルン大学に留学、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門分野は西洋バロック期から19世紀の鍵盤楽器音楽の演奏・作曲論、数字付きバス文化研究。チェンバロ、通奏低音を亀谷喜久子、岩渕恵美子、C. チェラジの各氏に師事。国内外でバロック期の音楽や音楽修辞学などのレクチャーやコンサートを企画・開催。共著に『音楽文化学のすすめ:いまここにある音楽を理解するために』(2007年、ナカニシヤ出版)、『音楽を考える人のための基本文献34』(2017年、アルテス・パブリッシング)他がある。京都市立芸術大学、同志社女子大学、大阪音楽大学、甲南女子大学、大阪教育大学、各非常勤講師、京都市立芸術大学芸術資源研究センター共同研究員。
重森三果 /新内志賀(邦楽家、本学非常勤講師)
京都市生まれ。幼少期より江戸浄瑠璃新内節を研進派初代家元・新内志賀大掾及び新派家元・富士松菊三郎に師事。小唄を里園派宗家・里園志寿栄及び里園志寿華に師事。2012年研進派家元、並びに新内志賀の襲名を果たし、現在は一門の指導・育成に献身している。本名の重森三果名義では、さまざまな文学をもとに脚色した作品や自ら書き下ろした楽曲を、新しい試みをもって精力的に発表している。また数多くの映画・テレビ・舞台などに於いて邦楽指導、演奏出演するなど多岐にわたって活動をしている。2014年文化庁芸術祭音楽部門優秀賞受賞。NHK邦楽オーデイション合格。京都市立芸術大学にて非常勤講師や京都産業大学、佛教大学、同志社女子大学、大阪大学、大学コンソーシアム京都などでゲストスピーカーを勤める。
橋爪皓佐 (作曲家、芸術資源研究センター非常勤研究員)
ブリュッセル王立音楽院学士課程修了、京都市立芸術大学大学院音楽研究科修士課程(作曲)修了。英国王立音楽大学へ派遣交換留学。作曲家・ギター奏者として活動するほか、ロゼッタ(音楽コレクティブ)を主宰。「のせでんアートライン2021」に公募作家として参加、国際芸術祭「あいち2022」への出演、子供向け創作ワークショップ企画など、領域横断的に活動している。作曲作品は現代ギター社などから出版されている。京都市立芸術大学芸術資源研究センター非常勤研究員。京都女子大学非常勤講師。2023年度ロームシアター京都リサーチプログラムリサーチャー。
岡田正樹 (音楽学、芸術資源研究センター共同研究員)
大阪市立大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専攻はポピュラー音楽研究、音楽学。近年は主に、アマチュアミュージシャンの音楽実践におけるタブ譜の意味・機能についての研究、楽器小売店の機能をメディア文化理論的観点から検討する研究、1990年代ヴィジュアル系ミュージシャンの活動に注目した日本ポピュラー音楽史の再考などのテーマに取り組んでいる。訳書に『ソニック・ユース』(デイヴィッド・ブラウン著、2019年、水声社)、主な論文に「メディア・ハブとしての楽器店」(『音楽表現学』vol.20、2022年)など。DJ(PCDJ)をDJ YASUに師事。
座談会司会
▶︎岡田正樹(芸術資源研究センター共同研究員)
企画コーディネーター・進行
▶︎竹内直(芸術資源研究センター非常勤研究員、プロジェクト・リーダー)
2024/03/01