総合基礎実技

30年以上の実績をもつユニークな実技カリキュラム「総合基礎実技」とは

本学の芸術教育の特色は,創造活動の土台となる基礎力の育成を重視する点にあります。なかでも「総合基礎実技」は,美術学部の教育において既に30年以上の実績をもつユニークな実技カリキュラムです。

美術科,デザイン科,工芸科,総合芸術学科のすべての新入生は,入学後すぐに専攻別カリキュラムに分かれるのではなく,1年次前期の半年間にわたって総合基礎実技を履修します。学生は,所属の科や専攻に関係なく混成され,授業を担当する教員も,実技や学科にかかわらず専門分野の枠をこえて参加します。

授業目的

この授業の目的は,さまざまな素材や技術,発想にふれるなかで,「自分が自然や社会とつながって生きていること」のなかに芸術表現の根底があることを自覚し,また,さまざまな造形芸術の奥深さや相互の結びつきを感じ取ることにあります。

さらに,科や専攻の枠を越えて課題に取り組むなかで,さまざまな方向性をもった学生同士,学生と教員同士の間にコミュニケーションが生まれます。そうしたなかで自己の視野を広げ,多様な専門領域の人と人との間に交友関係を築いていくことも,本学で芸術という大海に船出するための豊かな基礎になるのです。

授業内容

授業では,「見ること」「描くこと」「つくること」「伝えること」など,造形活動全般の基礎にかかわる幾つかのテーマにもとづく課題の実習を行います。各課題は,学外研修,関連講義,ワークショップ,個人制作あるいはグループによる共同制作,チュートリアル・合評などを組み合わせたヴァリエーションに富む内容になっています。

2016年度 総合基礎実技 課題テーマ『ひとのこだわり 自分のこだわり』

2016年度の総合基礎実技では,自己のあるいは他者の無意識に,また意図的にこだわりを持ってしまっている「なにか」を改めて見つめ直します。その「こだわること」を切り口にして作品を創ることの根源を多角的に考察しつつ制作を行うことで,創造行為の原点を考え,これからの制作研究に繋がる思考のきっかけとしたいと考えました。

2016年度の学生の自主運営による総合基礎実技のウェブサイト

第1課題『私のこだわり採集』

自分の惹かれるもの5点の細密描写。各自のこだわりから採取された5点が並べられることによって,それぞれの詩的な世界の表現を目指しました。

第2課題『大切にしたい私の道具』

自分の中の「こだわり(特別な思い入れ)」と繋がる道具づくり。既成の道具の模倣ではなく,自分だけの用途を加える,あるいは設定して制作しました。素材,技法は自由。発想のヒントをつかみ,相応しい素材を考え,ものを創り出す力を身に付けることを目指しました。

第3課題『町家を見て学び,古都京都の伝統的街並に貢献する建物の模型をつくる』

町家の形を将来に向けて有効的に再利用する。小さな単位が集まり,長い時を経て出来上がる街の大きな姿を想像し,繰り返し歩いて心地よく,飽きない「道」という芸術作品の形成について考えました。

第4課題『他者との会話から:あなたの願いをかたちにします』

学内外でインタビューを行い,取材を通して他者と対話し,そこから読み取れる「欲求/欲望/希望/願望/願い/夢」を「装置/道具=作品」として提示しました。他者から引き出した思いを元に,それそれのグループで考え,話し合い,カタチにしていく共同制作課題として実施しました。

総合基礎実技展

学内の大ギャラリーをメイン会場に,この授業で学生が取り組んだ内容の成果展覧会を行います。