2022年度 総合基礎実技
2022年度 総合基礎実技 課題テーマ『美術の力』
人は太古の昔から生きるために何かを作ったり描いたりしてきました。それは世界を自分の身体を通して認識することであり、他者と対話する方法であったといえます。2022年度の総合基礎実技では、深刻になる環境や進化するテクノロジーなど、ますます複雑になる現代社会へと歩み始める新入生と一緒に、人が根源的に持っている生きるための創造力(美術の力)について考えました。
第1課題「等身大のわたし」
古来より画家は自画像をたくさん描いてきました。美術家にとって自分の姿は最も身近な生きた対象であり、常に自分の身体を通して世界を見つめてきたと言えます。自画像とは一体何でしょうか。また等身大に描くとしたらどんなものが想像できるでしょうか。 芸大生となった皆さんが京芸キャンパスに思い思いの「場」を見つけ出し、その風景の中に設置することを前提として、「等身大の自画像」を制作します。個としての自分を見つめ、京芸という場所と共鳴することで「美術の力」を考えていきます。
第2課題「校舎に刻む」
40年という時を重ねたこの沓掛校舎には、京芸生の思いと共に、たくさんの痕跡が残されています。かつての京芸生たちの思い出が詰まった校舎を、新入生としてどのように見るか。自分なりの発見で校舎のどこかに自分のお気に入りを見つけましょう。そして、描くことによりその場に関わることで、そこは特別な場所として心に刻まれるでしょう。自身の身体を通して、よく見ること、感じ取ること、表すことの第一歩をこの校舎と共に始めましょう。
第3課題「道具を作る」
「おもてなし」をキーワードに身体機能の拡張としての道具や、自分と他者をつなぐ道具を作ります。「おもてなし」は茶の湯に由来しますが、茶を点てるだけではなく、客や大切な人への気遣いや心配りを意味します。ものづくりやその表現において、成果物の鑑賞や実用への心配りは「おもてなし」の精神に通じるものがあります。本課題では、地域性と素材、作ることと伝えること、生活と芸術、 精神と身体、自己と他者などさまざまな関係を意識しながらユニークなTool(道具)を発案し、人の心を潤すTool(手段)へと発展させます。
第4課題「プレイパーク」
「表現」とはどこから始まるのか? クレヨンを持って描いたり、土を練って造形することから始まるのか? 言葉を使って話すこと、服を作って纏うこと、食材を調理して食べること。そして、人と集い時間を共にすること。私たちの生活を見てみると、ありとあらゆるものがすでに「表現」であることに気付きます。第4課題ではこれまでの経験を踏まえ、大学内の空間を使って集団で生活を創造します。他者と共に衣食住を遊ぶことで、生活と芸術のつながりを発見します。