日本画専攻
百四十年の歴史と伝統
理論,技法,描く力を養う
教育目的

日本画専攻は,本学が1880年に日本初の公立絵画専門学校として開設されて以来,日本画の制作指導と,制作理論の研究を行ってきました。連綿と続いてきた基礎技術の指導により表現技法を修得した上で,現代における日本画表現と技法を学び,また制作理論の基礎を研究し,日本画を制作していきます。
同時に古画研究を通して,古典絵画における様式研究や技法研究を行い,原作の評価と鑑賞の方法を学び,日本画制作における評価能力を養います。
伝統に培われた指導により技術を獲得し,さらに今日的な感覚と知識,絵を見る目をもち,日本画制作を続けていく力を修得します。
授業概要(カリキュラム)
専攻基礎実技「日本画基礎A・B」(1年次後期・2年次前期)

1年次前期の総合基礎実技を履修後,すぐに専攻基礎実技が始まります。「日本画基礎A」・「日本画基礎B」では,ものの見方や捉え方をさまざまなアプローチによる写生や古画研究などを通して学び,この後の日本画材を用いた絵画制作のための基礎を養います。
人体(2年次後期)
「人体」を対象にした課題制作を行います。ヌードモデルのさまざまなポーズを,主に線を用いたデッサンで量感や空間の捉え方などを意識しながら何枚も行います。それらを基に,日本画材を用いた絵画制作を行います。
研究室1・2・3(3年次・4年次)
3年次より,下記の3つの研究室から1つ選択し履修します。研究室の変更は,半期ごとに可能です(4年次は通年で履修することが望ましい)。
研究室1 | 古画(近代以前の日本美術や日本美術に影響を及ぼしてきた異文化の古典絵画など)が有する美意識,様式,表現技法について時代,地域を俯瞰的に考察することを軸に模写制作を含む絵画表現の探究を行います。 |
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研究室2 | 主に外界の写生を通して対象を観察し,現場から身体感覚として得たものを基に本画制作へ進むというプロセスを軸にした作品を展開していきます。 |
研究室3 | 写生から本画に至るまでのさまざまなプロセスの可能性を,チュートリアルなどを通して実践的に探り,作品を展開していきます。 |
科目一覧
在学生の声

濃密で面白い世界がここにはあります。
安藤 梨香さん(日本画専攻4回生)
本学の日本画専攻は,非常に長い歴史がありますが,融通の利かない型がある訳ではありません。学生ひとりひとりが“好きな日本画”を追求できる環境があり,先生方はそれを導いてくださいます。 そして,最初は“好きな日本画”がわからなくても大丈夫です。ゼミに分かれる前の基礎カリキュラムは,しっかりと日本画の基本を学びつつ,自分を見つめ直すことのできる有意義な期間になると思います。 私は専攻の選択時,自分が何をしたいのか具体的にわからず,「とりあえず」という気持ちで日本画を選びました。しかし上回生になった今は,毎日制作を楽しんでいる自分がいます。そうなるだけの理由が,この濃密で面白い世界にはあるのです。是非その世界を味わいに来てください。
専攻独自の取り組み
日本画教育と研究を再構築

日本画研究室では,教員と学生が「現在の大学における日本画教育と研究を,今日的な視点から見直し,改めて再構築する実践と研究」に取り組んでいます。
その内容は日本画制作を軸とした研究,カリキュラムの改善,学生のさまざまな進路に生かせる教育体制の構築,社会資源としての活用など多岐にわたります。
伝統的かつ柔軟なカリキュラム

この「現在の大学における日本画教育と研究を,今日的な視点から見直し,改めて再構築する実践と研究」に基づき,2015年度より,現在の多様化する日本画表現に対応すべく,3年次から選択できる特色の異なる3つのゼミを開設しました。さらに2020年度より,2年次までの基礎カリキュラムについても,本学日本画専攻の特徴の一つでもある写生教育を引き継ぎながら,新たな視座を交えた内容へと転換をはかっています。様々な視点をもちながら創作する力を磨くことで,卒業後の多様な進路において,また刻々と変化する課題にも柔軟に対応できる能力を身につけることを目指します。
東アジアレベルでの岩彩画の展開

岩彩画(中国での日本画材を用いた絵画の名称)研究において,中国との国際交流を行ってきました。2019年度は,中央美術学院・上海美術学院の教員を招聘し,中国での岩彩画教育と本学日本画教育の現状について意見交換をしました。2021年度においても,オンライン授業の形式で教員を招聘し,交流を続けています。
学生作品
受賞情報
教員紹介
非常勤講師(実技)一覧
- 池上真紀
- 梶岡百江
- 北川咲
- 幸山ひかり
- 高野純子