2023年4月、デザイン科は新体制へ
変化する社会の諸問題に柔軟に対応するため、2023年4月よりデザイン科では新しい体制がスタートしました。これまでの「ビジュアル・デザイン専攻」「環境デザイン専攻」「プロダクト・デザイン専攻」を1つに統合し、「総合デザイン専攻」とするとともに、新たな領域である「デザインB専攻」を設置し、2専攻体制になりました。
近年、さまざまな領域でデザインの発想法や考え方が注目を集め、デザイナーの役割が地域のコミュニティづくりやオンラインのサービスづくりなど形のないものにまで及び、デザインの社会的意義は根本的に変わってきました。そのような中、デザイン各分野の専門性だけではなく、柔軟で横断的に活躍するデザイナーが今日の社会にとって必要になってきたと言えます。そして、デザイン教育もこういった時代の変化に対応したものに更新する転換期に来ています。現在を生きる私たちは、環境問題をはじめとするさまざまな問題を抱えています。われわれ全人類が解決すべき課題に対して、デザインは何をすべきか。本学では、このことに対して真摯に向き合ってきました。そしてこのたび、専門性の協働や横断性が求められる社会の要求に応える形で、既存の3専攻を1専攻に統合する「総合デザイン専攻」と、既存の枠組みや概念を超えてより実験的かつ先端的なアプローチで取り組む専攻「デザインB専攻」を新設し、これら2つの特色ある専攻を並走させることで、変化の激しいこれからの未来社会に備えて、さまざまな専門や新たな価値を常に取り込むことができる体制を整備し、継続的に新鮮なデザインの教育・研究を実践していきます。
総合デザイン専攻
これまでのデザイン科3専攻を1つの専攻に集約し、各領域の専門を深く研鑽するカリキュラムと共に領域を横断する授業を併せて行う専攻。基礎課程から段階を追って高い表現力を獲得し、社会に潜在する問題を発見・解決することができる高度な能力を持ったデザイナーの育成を目指します。
デザインB専攻
「B」は、「生成変化」を意味する“Becoming”の頭文字。多角的で実験的なアプローチを試行し、新たな価値を創造する新専攻。自らの学びを主体的に構築しながら、社会の未知なる課題を発見し、優れた解決方法をデザインできる人材の育成を目指します。
在学生の声(旧3専攻)
デザイナーとして、技術も考え方も成長できます。
山崎 結生さん(ビジュアル・デザイン専攻4回生)
イラストレーション、ポスター、パッケージ、空間構成など、視覚デザインを幅広く学ぶことができます。授業では、手を動かし、さまざまな素材に触れ、ものづくりの基礎から学ぶことで少しずつ本質や仕組みを実感として理解していきます。それが自身の創造力への自信につながり、次のアウトプットへのモチベーションになる、そんな好循環を実感しています。
自分らしい表現方法の模索に苦心することもありますが、豊富な知識と経験を持つ先生方が親身に寄り添ってくださいます。また移転により地域の人や企業との関わりが増え、これからさらに学生の活躍の機会が増加することが期待されます。デザイナーとして、技術も考え方も成長させられる環境だと思います。
頭で考えるだけではない、五感で体験してデザインを学んでいます。
小池 新さん(修士課程 デザイン専攻(総合デザイン)1回生)
環境デザイン専攻では、諸分野で活躍する先生方の指導のもと、住宅店舗の設計からアーバンデザイン、インテリアデザインまで幅広い分野で、「空間における自分なりの作品のあり方」のリサーチや、毎週のエスキスを重ねながら模索していく授業が行われます。さまざまな地域に実際に行くことも多いので、地域や都市、空間を観察することでコンテクストを読み取った説得力のあるデザインを組み立てる能力を養うことができます。授業外では、他学生との課題の相談や意見交換に加え、建築や庭園の見学、先生方の作品を見る機会を通して、頭で考えるだけではない、五感での体験を経ながらデザインを学んでいます。建築から内装、インテリア、家具と多岐にわたるデザインに能動的に関わりながら、自分の作りたい作品とその作品が作る空気感を探る機会を得ることができることは、とても有意義な経験です。
自分の好きなことを第一に、形にとらわれない制作を楽しむことができます。
鳥井 直輝さん(プロダクト・デザイン専攻4回生)
プロダクト・デザイン専攻では、自分の興味を探しながら制作ができます。広いテーマの課題や授業では、自分がなぜデザインするのか、何のためにものを作るのかを日々考えています。プロダクト・デザインという名前にとらわれないアウトプット方法を学ぶことができ、家具などのものづくりはもちろん、体験やウェブ、冊子、サービスなど、自分の伝えたい表現を軸に、さまざまな技術を横断的に身につけられます。
授業では学年関係なく、専攻全体で同じ課題に取り組むことも多いので、先輩方から学ぶ機会が多いこともこの専攻の特徴です。多様な講師陣による授業や、学外への研修旅行なども充実しており、日々たくさんの刺激を受けながら、デザインと向き合い、自分の好きなことを追求しています。