2023年度 総合基礎実技
2023年度 総合基礎実技 課題テーマ 『MOVE』
移動する、動かす、引っ越す・・。
人は同じところにとどまることなく、常に変化を求めることで社会や歴史を作って来ました。
京芸も、沓掛から崇仁へ全面移転という大きな転換期を迎えます。総合基礎実技ではその現場とまさに対峙しながら、 美術とは一体何なのかを、みなさんと一緒にユニークな課題を通して考えました。
新入生135人、ひとりひとりの小さな波が大きな新しいうねりとなることを願っています。
第1課題 「うつしを束ねる」
古来より画家は自画像をたくさん描いてきました。美術家にとって自分の姿は最も身近な生きた対象であり、常に自分の身体を通して世界を見つめてきたと言えます。自画像とは一体何でしょうか。また等身大に描くとしたらどんなものが想像できるでしょうか。
芸大生となった皆さんが京芸キャンパスに思い思いの「場」を見つけ出し、その風景の中に設置することを前提として、「等身大の自画像」を制作します。個としての自分を見つめ、京芸という場所と共鳴することで「美術の力」を考えていきます。
第2課題 「身体」
私たちの身体は、私たちの外的世界(物理的・社会的環境)と内的世界(自我・主観的世界)を繋ぐ欠かすことのできない媒体です。身体機能のなかでも感覚はとりわけ重要な媒体と言え、日常・社会・創作活動な ど様々な面でイン・アウトプットの役割を果たします。本課題では、全 体テーマ「MOVE」を「体を動かす」という意味で捉え、身体とりわけ 感覚を研ぎ澄まし、スポーツなどの身体運動を創作的・社会的競技種目 に変容させます。そして、考案した新種目で「超運動会」を行います。
第3課題 「うごく依りしろをつくる」
本学沓掛校舎では40年以上ものあいだ学生や教員をはじめとした様々な人の様々な活動がおこなわれてきました。本課題では、そのような蓄積による芸術の「精霊」のようなものが沓掛校舎にあらゆる場所偏在していると仮定し、それら「精霊」を新しい沓掛校舎に引っ越しするための「うごく依りしろ」を制作し、実際に自分たちで沓掛から崇仁に移動してもらいます。見えないもの触れないものに形を与え自分たちで移動させることを試みます。
第4課題 「そうきそ展をつくる」
私たちは日々なにかをつくり、なにかを表現しています。その作品、その制作活動がどんなものかということの意識は、作品がより外に開かれ他との関係が構築されていくことで徐々に得られます。本課題では、第1課題~第3課題において制作した作品を発表するための展覧会をつくります。これまで、総合基礎実技で自分たちがつくってきたもの、みてきたものを自分たちでまとめなおし「そうきそ展」の企画・実施を行います。