シンポジウムとコンサート「糸が紡ぐ音の世界」の報告

織物と織りにまつわる音,記すこと(ノーテーション)に関するシンポジウムとコンサート「糸が紡ぐ音の世界」が,2019年2月16日に本学大学会館にて開催された。2部構成からなり,第一部にシンポジウム,第二部では藤枝守氏(九州大学芸術工学研究院教授)作曲の委嘱新作の発表が行われた。また,演奏の前には藤枝氏,伊藤悟氏(国立民族学博物館外来研究員),藤野靖子(本学美術学部教授)の3人によるトークが行われ,藤枝氏が委嘱新作の作曲の際,織機の振動から得た発想を中心に議論が交わされた。 (さらに…)

柿沼敏江退任記念「フルクサスを語る」の報告

本イヴェントは,柿沼敏江(芸術資源研究センター所長・音楽学部教授)が2018年度末で本学を退任することを記念し,音楽学部と共同で開催された。柿沼所長は芸術資源研究センターの開設以来,「フルクサスのオーラル・ヒストリー」のプロジェクトに携わり,今回の退任イヴェント自体が研究成果の報告といった趣旨を含むものとなった。全体は退任記念講演,シンポジウム,コンサートという3部構成で行われた。 (さらに…)

「MAMリサーチ006:クロニクル京都1990s―ダイアモンズ・アー・フォーエバー,アートスケープ,そして私は誰かと踊る」の報告

 

森美術館では,アジア各国と日本各地のアーカイブ,研究機関,研究者との協働を前提とし,作品に限らない映像,写真,文書,史料などを紹介する企画展示「MAMリサーチ」が2015年から企画されている。1990年代の京都のアートシーンを扱いたいという提案が椿玲子氏(森美術館キュレーター)から芸術資源研究センターに寄せられ,1990年代の資料調査に着手していた石谷治寛(芸術資源研究センター非常勤研究員)が共同企画者となり,調査中の資料を活用した小企画が実現した。「MAMリサーチ006:クロニクル京都1990s―ダイアモンズ・アー・フォーエバー,アートスケープ,そして私は誰かと踊る」と題されたこの小企画展は,1989年に大阪ではじまり,1991年から京都のCLUB METROで30年近く続いているドラァグクイーン・パーティー「ダイアモンズ・アー・フォーエバー」や,アーティスト,ギャラリスト,演劇プロデューサーが協同で一軒屋を借りてシェアオフィスとして活用した「アートスケープ」の資料を整理し直し,アーティスト集団ダムタイプのまわりで展開していた,クラブイベントやアーティストが参加したHIV/エイズにまつわる取り組みについて,総体的に明らかにするものになった。展示期間中には,2度のトークセッションも行い,関連イベントとして豪華なドラァグクイーン・パーティーも実現し,充実したものとなった。ここでは経緯,展示の特徴,関連イベントをまとめておきたい。 (さらに…)

シンポジウム 「過去の現在の未来2 キュレーションとコンサベーション その原理と倫理」の報告

現代美術の保存・修復の意義や課題についてのシンポジウム「過去の現在の未来2」が,2017年11月23日に兵庫県立美術館にて開催された。当研究センター所長の石原友明は,開会あいさつで,第1弾にあたる2015年のシンポジウム「過去の現在の未来」と古橋悌二の《LOVERS―永遠の恋人たち》の修復事例に触れ,開催趣旨を述べた。また,本シンポジウムのモデルケースとなった國府理《水中エンジン》の再制作と,《LOVERS》の修復における共通点として,作者が他界した状況での試みであることを指摘した。その上で,制作者としての立場から,「作品は,作者の手を離れて初めて,開かれたかたちで勝手に観客と関係を結び始めるという幻想を個人的に抱いている。作者の不在が作品を完成させると言ってもいい。作品を安定した状態に保つことが保存の基本だが,本来の生き生きとした状態から遠ざけてしまう場合がある。作品を生きた状態で保存する,動的な保存の可能性があるのではないか。物質的な安定性とともに,作品が生きた記憶をどのように引き継ぐのかを考えることが,現代美術の保存修復において必要なのでは」と問題提起を行った。 (さらに…)

古橋悌二《LOVERS—永遠の恋人たち》展示・修復資料展示の報告

平成28年度メディア芸術連携促進事業 連携共同事業「タイムベースト・メディアを用いた美術作品の修復・保存・記録のためのガイド作成」
古橋悌二《LOVERS—永遠の恋人たち》 展示・修復資料展示の報告
芸術資源研究センターは,国内にあるタイムベースト・メディア作品(映像や音声やコンピュータなどに依拠した時間的な経験を伴う作品)の修復・保存を促進することを目的として,文化庁の平成27年度メディア芸術連携促進事業 連携共同事業「タイムベースト・メディアを用いた美術作品の修復/保存に関するモデル事業」を実施した。タイムベースト・メディア作品の典型例である古橋悌二《LOVERS—永遠の恋人たち》(1994年)の修復と保存を実施するにあたって各機関の連携体制を築いた。せんだいメディアテークは作品及び作品情報の提供を,国立国際美術館は修復計画を監修し,ダムタイプオフィスはエンジニアを組織して実際の修復作業を行なった。 (さらに…)

古橋悌二《LOVERS—永遠の恋人たち》をめぐるトークイベント の報告

芸術資源研究センターは,平成27年度に古橋悌二《LOVERS―永遠の恋人たち》(1994年)の修復を行ない,その成果として京都芸術センターで作品及び修復関連資料の展示を行なった。また,関連イベントとして7月18日に本作の修復・保存をテーマにしたトークイベントを開催した。建畠晢氏を司会に,再制作と修復に携わった高谷史郎氏,オリジナル・ヴァージョンの制作時にキュレーターとして関わった阿部一直氏をはじめとして,学芸員の住友文彦氏,本研究センターからは石原友明所長と石谷治寛研究員が参加し,修復の意義を中心に細部にわたっての検討と議論が行なわれた。 (さらに…)

古橋悌二《LOVERS—永遠の恋人たち》展示・修復資料展示の報告

撮影:表恒匡

 芸術資源研究センターは,国内にあるタイムベースト・メディア作品(映像や音声やコンピュータなどに依拠した時間的な経験を伴う作品)の修復・保存を促進することを目的として,文化庁の平成27年度メディア芸術連携促進事業 連携共同事業「タイムベースト・メディアを用いた美術作品の修復/保存に関するモデル事業」を実施した。タイムベースト・メディア作品の典型例である古橋悌二《LOVERS—永遠の恋人たち》(1994年)の修復と保存を実施するにあたって各機関の連携体制を築いた。せんだいメディアテークは作品及び作品情報の提供を,国立国際美術館は修復計画を監修し,ダムタイプオフィスはエンジニアを組織して実際の修復作業を行なった。

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ワークショップ「メディアアートの生と転生 保存修復とアーカイブの諸問題を中心に」の報告

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2016 年2 月14 日,京都市下京区元崇仁小学校にて,修復された古橋悌二《LOVERS——永遠の恋人たち——》の一般公開と,ワークショップ「メディアアートの生と転生 保存修復とアーカイブの諸問題を中心に」を開催した。作品公開には多くの観客が訪れ,63名が参加したワークショップは活気ある議論の場となった。 (さらに…)

シンポジウム「過去の現在の未来 アーティスト,学芸員,研究者が考える現代美術の保存と修復」の報告

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芸術資源研究センターは,国立国際美術館との共催でシンポジウム「過去の現在の未来 アーティスト,学芸員,研究者が考える現代美術の保存と修復」を開催した。国立国際美術館・館長の山梨俊夫氏による挨拶に続き,当センターの加治屋健司が古橋悌二《LOVERS——永遠の恋人たち——》の修復・保存に関する取り組みの概略を述べた後,4名の発表者が事例研究を報告した。 (さらに…)

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