7月29日(火),芸術資料館で現在開催中の収蔵品展「消えた胸像を追って -幸野楳嶺像と美工の彫刻家たち-」のギャラリートークを開催しました。この収蔵品展は,京都府画学校(現・京都市立芸術大学)の設立を建議し,竹内栖鳳をはじめ近代京都画壇の画家を数多く育てた幸野楳嶺(1844-1895)と,北村西望(1884-1987)をはじめとする本学出身の彫刻家たちにスポットをあてたものです。
また,本展は芸術資料館では初となる学生企画で,菊川亜騎さん(本学大学院美術研究科修士課程芸術学専攻2回生),古田理子さん(同1回生)の二人を中心に展示準備が行われ,今回のギャラリートークも二人が担当しました。
この展示の企画は,日本の近現代彫刻を研究している菊川さんが,昨年に芸術資料館が所蔵する彫刻作品の調査をしていた中で,これまであまり公開されなかった戦前の彫刻作品や戦時に失われた幸野楳嶺像に関心を持つようになり,同じ芸術学研究室で京都画壇を研究している古田さんに声をかけたことで始まりました。展示は第1章「幸野楳嶺と京都府画学校」,第2章「幸野楳嶺像について」,第3章「美工の彫刻家たち」,第4章「現在の幸野楳嶺像」の計4章で構成され,うち第1章・第2章については古田さんが解説し,第3章・第4章は菊川さんが担当し,エピソードや当時の教育環境などを交えつつ,分かりやすく説明されました。
幸野楳嶺は,現在本学のアトリエ棟西側にある胸像のモデルとなった人物で,現存する胸像は,戦後に本学の教員であった辻晉堂(1910-1981)の指導のもと,学生たちにより造られた二代目のものです。初代の胸像は,校舎が東山区今熊野にあった昭和15年(1940)に,学校創立60周年を記念して,当時美術工芸学校(美工)の嘱託教員だった彫刻家の北村西望により造られましたが,残念ながら戦時の金属供出により現存していません。しかし幸いにも,この初代胸像の石膏原型が芸術資料館に所蔵されており,今回の展示の目玉となっています。
その他,京都市内に存在する,本学出身の彫刻家が制作した銅像を紹介するパネルや,初代胸像の石膏原型の3Dスキャン画像を見ることができるコーナーなど,随所に工夫の凝らされた展示となっています。
収蔵品展「消えた胸像を追って -幸野楳嶺像と美工の彫刻家たち-」は,8月8日(金)まで開催中です(※月曜日休館)。展示の詳細は,芸術資料館のホームページをご覧ください。
また,8月3日(日)に行われる本学の美術学部オープンキャンパスにおいて,今回と同様二人の院生によるギャラリートークを開催しますので,ぜひご参加ください。
日 時 | 平成26年8月3日(日) オープンキャンパス当日 ・1回目 12:10~12:25 ・2回目 14:10~14:25 |
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会 場 | 京都市立芸術大学芸術資料館陳列室 (本学中央棟1階 大ギャラリー奥) |
参加方法 | 事前申込不要,無料 |
問い合わせ先 | 京都市立芸術大学芸術資料館 TEL:075-334-2232 FAX:075-333-8533 |