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京都市立芸術大学芸術資源研究センターの設置について

2013.12.26

 この度,京都市立芸術大学では,新たな芸術創造の可能性を探るため,研究機関「芸術資源研究センター」を立ち上げます。

 センターでは,芸術大学という多様な創作活動が行われる環境の中で,これまでに蓄積された作品や各種資料等の芸術資源,日々生み出される様々な芸術活動にスポットをあてるとともに,重要記録を保存・活用し,未来に伝達する「アーカイブ」の手法を用いて調査・研究を行い,更なる創造や研究の促進を図ります。

 さらに,開かれたセンターとして他の大学・研究機関等との連携や研究成果の市民への還元も視野に入れた活動を行うこととしています。

 芸術資源研究センターの概要は下記のとおりです。

名 称

京都市立芸術大学芸術資源研究センター

(英語表記 Archival  Research  Center/アーカイバルリサーチセンター

略称 ARC) 

開設日 平成26年4月1日
場 所 京都市立芸術大学内(京都市西京区大枝沓掛町13-6)
センター長(予定) 定金 計次(本学美術学部教授)
事業内容

(1)基礎的事業

  ・アーカイブ理論の研究と教育の場での活用

  ・各種資料の調査及び収集と活用


(2)主な重点事業

   ・オーラルヒストリー(京都画壇/フルクサス)

   ・富本憲吉アーカイブ

   ・記譜プロジェクト

  ※主な重点事業の詳細につきましては,下記をご参照ください。

 

(3)普及事業

      シンポジウム,ワークショップなどの開催

問い合わせ先

京都市立芸術大学アーカイバルリサーチセンター準備室

電話:075-334-2232


<芸術資源研究センターにおける主な重点事業について>

・オーラルヒストリー

 オーラルヒストリーとは,語り手が個々の記憶に基づいて口述した内容を記録したもの及び口述資料として記録・保存し,それらについて研究することを指します。関係者に直接インタビューを行うことで,文献資料では知ることのできない情報も得られるという点から,近年注目されつつある研究方法です。

 芸術資源研究センターでは,以下の2つのオーラルヒストリーを取り上げます。


①京都画壇のオーラルヒストリー

 本学は明治13年創立の京都府画学校以来130年以上の歴史を持ち,明治・大正・昭和初期に活躍した竹内栖鳳,上村松園・松篁,榊原紫峰,堂本印象等,名高い画家を輩出してきました。これらの画家と親交のあった方々に思い出話や絵画への思いを語ってもらい,美術史,産業史,さらには生活史の面から調査研究します。 


②フルクサスのオーラルヒストリー

 フルクサスとは,1960年代に始まった,美術,音楽などの多くの分野のアーティストが,各分野の枠を越えて展開した国際的な芸術運動です。日本人もこのフルクサスに多数参加しており,フルクサスに携わったアーティストに聞き取り調査を行い,その活動実態を示す基礎資料を作ることを目的とします。

 

・富本憲吉アーカイブ

 富本憲吉(1886~1963)は人間国宝,文化勲章受章者として高い名声を得ており,本学の前身である京都市立美術大学では教授,学長を務め,陶磁器専攻科を創設し,後進の指導にも大きく貢献しました。富本憲吉記念館(現・富本憲吉文化資料館)からの寄贈資料を富本憲吉アーカイブとして整理し,活用を図ります。この成果は,シンポジウムの開催を通して京都の陶芸産業をはじめ,市民にも還元します。

・記譜プロジェクト

 本学の日本伝統音楽研究センターでは,日本の古代からの伝統音楽や芸能などの調査研究を手がけ,主に昔の楽譜・舞踊譜などの記譜研究を行っています。この記譜プロジェクトでは,同センターが培ってきた手法を基盤に,記譜法の解析や再現を進めるとともに,演奏者の創造力を引き出すジョン・ケージの図形楽譜※のように,記譜を新たな芸術創造の装置とみなし,表現の多様性を探ります。

※ジョン・ケージの楽譜 : 作曲家のジョン・ケージ(米 1912-1992)は,音を図表やテキストで視覚化した図形楽譜を用いた。五線譜による楽譜を問い直し,紙のキズやしみなども楽譜にみなすなど,新しい楽譜のあり方を提起したことで知られる。