6月23 日(月曜日)から,本学において,京都市交響楽団常任指揮者である広上淳一客員教授による特別授業を行っており,音楽学部・大学院音楽研究科の学生を対象に,A.ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」,東儀秀樹/「京都の韻」,I.ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)の指導 を行っています。
これらの楽曲は,6月29日(日曜日)午後2時から,京都コンサートホールにおいて開催する「京都ライオンズクラブ創立60周年記念チャリティコンサート」において演奏しますので,皆様,是非,御来場ください。
広上淳一客員教授インタビュー
広上 非常に優秀だし,とても上手な学生が揃っていますね。だけど,優秀であることが素晴らしいと思って育てられてきたとすればそれは違うよと思うところもあるので,客員教授としてこれから少しずつ啓蒙していきたいなと思います。
- 学生にどのように御指導されていますか。
広上 合奏と言うものを通して,やっぱりみんなで合奏するって楽しいもんだな,一人で演奏するのも楽しいけど,考えも違う,性格も違う人間が集まって何か一つのものをやるっていうのも結構大変だけど面白いなと思ってくれるような指導をしています。
- 今回のチャリティコンサートの聴きどころはどういった点でしょうか。
広上 学生達の純粋な音を出している姿,そのままの音を聞いていただければと思います。とても素敵な音が出ると思います。
- 将来,音楽家を目指す学生にメッセージをお願いします。
広上 今はこういう時代ですし,ますます経済的にも貧富の差がはげしくなっていくでしょう。そうなると,音楽,美術など,芸術を志す人達は,生活苦に陥る道を選ばざるを得ないという辛いところがあるかもしれないけれども,自分達は,人の心を癒す仕事に従事している,いざとなった時に人の傷ついた心を癒し,少しでも喜んでもらい,勇気を与えられる,そういう職業に就いているんだ,目指しているんだということに誇りを持ってほしい。
確実に日本の若者たちの技術力は高くなってきています。日本には素晴らしいオーケストラはいっぱいありますが,特に京都市交響楽団は,今や日本中が注目する,N響をしても,ある意味で瞠目するようなね,新しい息吹を出している。そういったオーケストラがこのまちにあって,伝統ある京都市立芸術大学でその後に続けと学生が勉強している。誇りを持ってここで勉強していってほしいなというのがメッセージです。
- 京響の常任指揮者であり,本学の客員教授に御就任いただいている,広上先生にとって,京都というまちはどういったまちでしょうか。
広上 うちの両親は富山の出身なんですよ。実は,亡くなる前に京都市交響楽団の常任指揮者のお話しをいただいて,受ける決意をして報告したら,非常に喜んでおりました。もし生きていたら今の京響の躍進も喜んでいるだろうし,こうやって京都市立芸術大学にお世話になっている話も喜んでくれると思います。子どものころからよく京都見物に連れて行ってもらった覚えがあります。また,僕は歴史が好きで大河ドラマのファンで子どもの頃から良く見ていました。大河ドラマというと京都なくして成り立たないんですよ。京響に来て7年目で客演も含めたら10年以上になるのですが,私にとって,京都というまちは,生まれたわけではないですが,人生の中で大きな縁がある地です。日本の宝ですよね,このまちは。海外で京都といったら,「オー」と東京以上に価値を感じてくれます。誰もが憧れる大事な日本のまち,イタリアでいうとミラノではなくてローマみたいなところですよ。意外と京都市民がその凄さに気付いていないんですよね。そこが良いようにも思うんですが,もっと自分達の文化,自分達のまちの誇りをどんどん表に出されたら良いのではないかと,京都を愛する人間としては思います。少しでも京都のお役に立てるならばと思い,活動しております。