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教員によるコラム「京芸の卒業式」

2013.03.29

「京芸の卒業式」

毎年、京都芸大の卒業式は美術学部の卒業生による凝った仮装で相当に盛り上がる。今年も式が始まる前から美術学部の席には巨大な枯れ木のような物体(巨大な毛根だったらしい)が鎮座しているかと思ったら、卒業証書授与ではそれを冠ったまま舞台に上がり会場内はおおいにざわめいた。毎年忙中にもかかわらず出席くださっている門川市長の顔にも笑みがこぼれる。

しかし今年はそれでは終わらなかった。

式の最後は卒業生の答辞で締めくくられるが、今年は音楽学部の修士課程声楽科の役割であった。そこに抜擢されたK君。粛々と学生生活の思い出や先生たちへの感謝の言葉を述べていたかと思ったら、急に舞台の照明が暗転。客席に隠れていたピアニカの演奏が始まり、まるでミュージカルのように歌いだす。声楽の他の男子卒業生4人も客席へ散らばり合唱に。歌はご存知フニクリ・フニクラの替え歌で、講堂全体はコンサートホールの様相を呈した。ステージバックには流れる雲のようなビジュアル。時間にして2、3分だったが、講堂内の盛り上がりは半端なかった。そして最後に答辞の続きを読み上げ、静粛に終了したのは見事な演出。不謹慎と眉をひそめる方もあろうが、音楽学部60周年の最後を飾る一大イベントにも思えた。

やりおったな、音楽学部!そして社会に旅立つ若者の心意気に乾杯。

                         音楽学部教授 阿部裕之