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日本におけるキャラクタービジネスの展開 ─キャラクターというイメージの消費

―(論文要旨)―


 マンガやアニメーション、映画、テレビドラマ、コンピューターゲーム等、視覚メディアによる物語表現やコマーシャルが氾濫する現代においては、何らかのキャラクターを目にしない日は無いほどである。また、文房具や日用雑貨、玩具類等にキャラクターを使用した商品は、玩具屋はもちろん家電量販店やスーパーマーケット、コンビニに至るまで広く流通しており、キャラクターが現代のコンテンツビジネスや企業のプロモーションにとって重要な役割を果たしていることが窺える。そこで私はキャラクターという現実には存在しないもの自体が多くの消費者の購買欲を刺激し、ひいては個人や各世代の消費のあり方や価値観にまで影響を及ぼしているのではないかと考え、このような巨大なキャラクタービジネスを可能にしているものは何か、キャラクターには何か固有の価値や可能性があるのかという疑問点を中心として、株式会社ポケモンや株式会社サンリオといった具体的な企業を例に挙げキャラクタービジネスの展開について研究を進めた。


 まず第1章ではキャラクタービジネスの現状について述べている。バンダイキャラクター研究所が行ったキャラクターに関するアンケート結果を参考に日本人のキャラクターに対する受容度と企業のキャラクター起用の理由を挙げた。また本来は物語表現の場に属していたキャラクターが、現代ではその姿のみが自立しがちである点についても視覚メディアの発達と関連付けて考察した。


 第2章ではキャラクタービジネスにおいて重要な概念である「メディアミックス」とその具体的な成功例として株式会社ポケモンの『ポケットモンスター』を採り上げた。日本においてはオーソドックスなRPG(ロールプレイングゲーム)に分類される同シリーズがFPS(First Person Shooting、一人称視点のシューティングゲーム)という3Dゲームが主流である欧米においてなぜヒットしたのか、そのゲームシステムやキャラクターメイキングの観点から分析した。


 第3章では株式会社サンリオの『ハローキティ』を例に挙げ、キャラクターというものが消費者に齎す付加価値や特殊性、またそれがキャラクターをブランドたらしめる要素であることについて述べ、グッズや販促として企業はいかにキャラクターを起用すべきかを考察した。


 第4章では消費者にとってのキャラクターについて述べ、なぜキャラクターに商品的価値が生まれるのかという疑問点に流行やキャラクターそのものの特殊性からアプローチし、キャラクターの消費形態の分類を試み、【玩具としての消費】【ファションとしての消費】【コレクションとしての消費】とした。


 第5章ではキャラクターという永続的に利用可能なコンテンツをいかに維持、管理するか、またキャラクターのコミュニケーションツールとしての可能性について考えをまとめた。


 本論においてキャラクタービジネスが視覚メディアの発達と深く関係しているという点を明らかにし、第2、3章で企業のキャラクターの起用の理由と具体例を取り上げ、第4章でキャラクターの消費形態を分類した。少子化や景気悪化のためかキャラクタービジネスの市場規模は4年連続で緩やかながら縮小傾向にあるが、キャラクターそのものに対して受容的な年代は増加傾向にあり、複数世代に渡って親しまれるキャラクターも登場・定着してきた。また少子化によって子供1人当たりに使う金額は増加しているため、市場規模は数年は安定すると考えられる。現段階では時代ごとのキャラクターデザインの流行や人気キャラクターの造形的特徴といったビジュアルデザインとしてのキャラクターについては考察が不十分な状態である為、今後はその点を含めて視覚メディアにおけるキャラクター表現について研究を進める。

2009年度 同窓会賞 総合芸術学科 総合芸術学専攻 4回生 井塲 香菜子

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