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令和元年度学部卒業式並びに大学院学位記授与式を開催

2020.03.23

令和元年度卒業式の様子 令和元年度卒業式の様子

令和2年3月23日,令和元年度美術学部・音楽学部卒業式並びに大学院美術研究科・音楽研究科学位記授与式を,今年度は新型コロナウイルス感染症対策のため,卒業生,修了生と教職員のみで,時間も短縮し執り行いました。

美術学部135名,音楽学部67名,美術研究科修士課程63名,音楽研究科修士課程18名,美術研究科博士課程5名,音楽研究科博士課程1名が,門川大作京都市長と教職員に温かく見守られ,卒業式並びに学位記授与式に参加しました。

今年も趣向を凝らした自作の仮装で出席する学生が多数おり,卒業証書授与の際には講堂内に笑いが溢れるなど,本学らしい和やかでアットホームな卒業式となりました。

卒業生・修了生の皆さん,本当におめでとうございます。

教職員一同,皆さんのご活躍を心から期待しております。

令和元年度卒業式の様子 令和元年度卒業式の様子
令和元年度卒業式の様子 令和元年度卒業式の様子
令和元年度卒業式の様子 令和元年度卒業式の様子
令和元年度卒業式の様子 令和元年度卒業式の様子

令和元年度卒業式式辞

本日,ここに集われた美術学部135名,音楽学部67 名の学部生のみなさん,大学院・美術研究科63 名,音楽研究科18 名の修士課程のみなさん,そして美術研究科5名,音楽研究科1名の博士課程のみなさん,総勢289名のみなさんが,ご卒業ならびに修了されますこと,誠におめでとうございます。京都市立芸術大学を代表いたしまして,心からお祝い申し上げます。

また,本学の設置者である門川大作京都市長には,ご公務がいつもに増してお忙しい中,ご臨席いただきましたことに,深く感謝申し上げます。そして新型コロナウイルス感染症対策のため,例年ならばご列席いただくご来賓の皆様,ご家族の皆様,関係者の皆様には,本日は縮小して挙行するためにご来場いただけませんでしたが,今日まで学生たちを支えて下さり,また京都芸大の教育にご理解とご支援を賜りましたことに,大学を代表して厚く御礼申し上げます。

 

さて,今,私たちは新型コロナウイルス感染の拡大,それに伴う対応で,不安に思ったり,不自由に感じたりする生活を余儀なくされています 。2月以降,それまで当たり前のように開かれていたイベントに,自粛要請が出されただけでなく,学校での授業が規制されることになりました。本学でも入学試験をはじめ,展覧会や演奏会一つ一つ対応を考え,時には難しい判断を下さねばならない状況が続いております。

そしてまた昨年には,アーティストや芸術に関心を持つ人々にとって,衝撃を受けるような出来事もありました。「あいちトリエンナーレ」という国際的な文化芸術活動である展覧会が,一時的に中止に追い込まれ,さらに補助金不交付という決定がなされた事実です。創作活動をおこなう学生や,若いアーティストたちを萎縮させかねない事態であると,関係者は心配いたしました。

二つの状況は原因が全く違いますが,今年度は,自由に表現する機会を当たり前のように享受してきた私たちにとって,それが予期せぬ仕方で奪われることがあると痛感した一年だったと言えます。しかしその都度,本学の学生・教職員は芸術に携わるものとして,真摯に向き合ってきたと思います 。

 

思えば特に近年,日本では,自然の猛威に脅かされ,私たちの当たり前の生活が揺るがされることが起きています。東日本大震災をはじめとする各地での大地震。一昨年には、みなさんの学生生活や授業にも影響した,大阪府北部地震が起きました。そして毎年のように,台風や洪水など,大きな被害をもたらす自然災害に見舞われています。世界でも同じような気候変動があり,世界中の若い人々の間で,地球温暖化に対する強い反応,運動が起っています。

自然だけでなく,社会的状況においても今は不安定な時代と言えます。民族や宗教による対立で,迫害や排除が止まず,多くの難民が今も生み出されています。自国第一主義の風潮の広がりによって,これまで人類が目指してきた,世界各国が平和的に協力する体制や,寛容な連携は,大きく変貌しようとしています。

そんな時代に,芸術家は何をするのでしょうか。過去の芸術家たちは,困難な時代の状況や,社会が直面する新たな課題が生まれた時に,必ずそれを表現し,世の中に提示してきました。これまでに誰も見たことのない作品や,聞いたことのない音楽,演奏で,世界の捉え方を変えてみせたのです。芸術はしなやかであり,そして,したたかです。そうやって人の心を動かしてきました。芸術にはその力があります。

 

今回の感染症予防対策で規制が続く中,音楽学部の学生有志たちが,中止や無観客になった演奏会のライブ配信を申し出てくれました。この状況の中,自分たちの芸術の力で何かできることはないか,と考えてくれたことは頼もしく,嬉しいことでした。

また,昨年の「あいちトリエンナーレ」についてはその後,教員や学生たちの呼びかけで,学外にも開かれたミーティングやデイスカッションの場を設けて,活発な議論をして,みんなで深く考える機会を作ってくれました 。社会の出来事に対して,それぞれにできることを模索し,提案し,試み続ける人々が,京都芸大にいることを改めて誇らしく思っていました。

 

二つの取り組みを例として,ご紹介しましたが,皆さんが本学で取り組んでこられたものは,実に多様で多彩です。時代の問いかけに対して,答えは一つではありません。 伝統から最先端の表現まで,また演奏,作曲,そして理論研究など,各自がそれぞれの方法で,できることを模索し続けてくれることで,きっとこの閉塞感を打ち破り,芸術活動や作品を介して,社会のいわば心の部分,芯の部分を支えることもできるはずです。

京都芸大で培った,自由で豊かな発想力,柔軟な思考力,ねばり強い探求力,そして芸術を通じたコミュニケーションの力を,磨き続けてください。そんな力を持つみなさん一人一人が,新しい時代,未来の社会を作り上げるのに,必要な人材であると確信しています。

 

本学は,今年創立140周年を迎えます。みなさんの先輩たちが脈々とつないで来た,燦然たる芸術の歴史があります。今まで,研鑽を積んだ感度の高い柔らかな心を持つみなさんには,時代の困難を,乗り越えるためにも,創造的に発信し続けて欲しいと思います。これからの芸術の歴史をつくっていくのは,今日ここに新たなスタートを切るみなさんなのです。

卒業生,修了生の皆さん,京都市立芸術大学は,みなさんが芸術とともに,歩んで行く人生を,応援し続けています。活躍するみなさんと,再びお目にかかれることを期待しつつ,私からのはなむけの言葉といたします。

 

本日は,誠におめでとうございます。

令和2年3月23日

京都市立芸術大学 学長

赤松玉女

令和元年度卒業式の様子 令和元年度卒業式の様子
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