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新2回生のための『令和2年度入学式』を開催しました。

2021.04.09

 新型コロナウイルス感染症の影響により,昨年予定していた入学式が中止となった学部・研究科の新2回生のための『令和2年度入学式』を令和3年4月8日に開催し,多くの新2回生の皆さまに参加していただきました。このような形で皆さまを改めてお迎えできたこと,学生の皆さま,ご家族の皆さまはじめ,多くの関係者の皆様方に感謝申し上げます。

 新2回生の皆さん,改めましておめでとうございます。皆様の大学生活が,実りある人生の1ページとなりますように。教職員一同,心よりお祝い申し上げます。

 

なお,開式にあたっては,音楽学部・研究科在学生が,本学の下野教授のタクトの下,歓迎演奏を行いました。


新2回生のための『令和2年度入学式』式辞

 令和2(2020)年度の入学生の皆さん,ようやく,こうして対面の場で顔をあわせることがかないました。1年遅れとなりましたが,改めてご入学おめでとうございます。京都市立芸術大学を代表して,皆さんを心から歓迎いたします。

 昨年の4月は入学式が執り行えなかっただけでなく,ガイダンスなどもオンライン,実技を含む授業をすべて遠隔で開始しました。特に学部の新入生,そして学外からこられた修士や博士の新入生や留学生の皆さんには,せっかく入学した京都芸大に学生として一度もキャンパスに登校することのないまま,同級生にも教職員にも先輩たちにも出会う機会がないまま,学生生活を始めていただくことになりました。楽しみにされていたであろうキャンパスでのクラブやサークル活動も大きく制限され,五芸祭の中止や大学祭も対面でリアルには経験していただくことができませんでした。昨年の皆さんの不安な気持ちや悔しい思いは察するに余りあり,教職員一同心を痛めておりました。
 しかしそんな状況の中,はじめての遠隔授業に挑戦してくださった先生方とともに,京都芸大の新しい授業の方法を探り,オンラインを駆使して大学での学びを少しずつ始め挑み続けてくれました。皆さんはこの特別な一年間,本当にたくさんのことを我慢しつつ新しいことに挑戦し,たゆまず前進してこられました。そのことに敬意を表しつつ,感謝いたします。
 今後もまだ,感染者数の上昇や医療体制の逼迫に感染予防策の徹底をお願いせねばなりません。今後も安全と安心な環境に最大限に配慮しながら,大学での活動の試行錯誤が続きます。新2回生の皆さんにも特に大人数での飲食の自粛や飲食時の感染予防マナーの徹底など,分別のある行動にご協力をお願いします。

 さて,先ほど,皆さんが講堂に入ってこられる間,音楽学部の学生たちによる歓迎演奏をしていただきました。この演奏について少しお話をします。
 40年ほど前私がこの大学に入学した時,当時東山にあった校舎には大きな講堂がなかったので,京都会館で,今のロームシアターですが,音楽学部と美術学部合同の入学式が行われていました。そこで式が始まるまでの時間,音楽学部の学生たちによるミニオーケストラの演奏が行われていたのです。会場に響き渡る生演奏に,新入生である自分たちを歓迎してくれていると心が高鳴った記憶が私には鮮明にありました。
 1980年のこの沓掛校舎への移転を挟んで,いつしか入学式の生演奏はなくなっていたのですが,一昨年学長に就任した私は,音楽学部の教授でもある大嶋副学長と相談し,皆さんをお迎えするはずだった昨年,2020年度の入学式からこれを復活させたいと考えておりました。ちなみに大嶋副学長も自分の入学式で演奏を聴き,その後は入学式の演奏に加わったそうです。ところがご存知の通り,昨年初めからのコロナ禍の影響で入学式そのものがなくなってしまいました。
 本日この復活した「新入生歓迎演奏」が,厳しいコロナの一年間を乗り越えて2回生に進級された2020年の入学生である皆さんに,その「成長をたたえる演奏」のように聴いていただけたことを大変嬉しく思います。ご協力いただいた上回生の皆さん,ありがとうございます。皆さんもまた困難をはねのけて進級されました。そして呼びかけていただいた大嶋先生,指揮をとられた下野先生はじめ関わられた教職員の皆さんにもこの場を借りて感謝いたします

 現在の沓掛校舎は緑豊かな,制作・練習・研究に打ち込める環境ではありますが,建物の耐震性やバリアフリーの問題などもあり,これらを解消するために,そして未来に向けて大学が一層飛躍していくために,JR京都駅の東に位置する崇仁地域へ2023年度にキャンパスの全面移転を予定しています。私は先ほどもお話ししたように40年以上前,この沓掛校舎への移転を控えた頃,美術学部のあった今熊野校舎で京都芸大に入学し,この沓掛校舎への移転を学生として経験しました。ここにいらっしゃる学部生のみなさんも,学生時代に移転を迎えることになります。移転に向けては,テラスのように社会にむかって自由に開かれることを基本構想として,現在準備を進めているところです。いよいよこれからそれぞれの研究室で準備が加速していくことでしょう 。先生方が京都芸大の将来に向けて考え取り組むことを,そばで見て聴いて,時には一緒に考える。私たちが経験したあの頃と同じです。そんなことがきっとみなさんの未来につながると思います。

 最後に,この場におられる皆さんは今年の早咲きの桜をご覧になったでしょうか。昨年の世界各地のパンデミック,ロックダウンの中でも,花たちは変わらず美しく咲いていました。そして一年が経ち今年も春を迎え,再び花は咲き誇っています。コロナは季節を止めることはできません。そして人々の歩みを止めることもできません。

 どうか皆さん,厳しい制約に不自由を感じてもこれからも歩みを止めず,この時代の芸術という自由の花を咲かせるために,アーティストとしての研究者としての,自らの世界を作り上げることを目指してください。京都市立芸術大学のよさ,おもしろさを存分に生かして,皆さんにとっての大学生活が充実したものになりますよう,心からお祈りしつつ,私からのお祝いの言葉といたします。

令和3年4月8日
京都市立芸術大学学長
赤松玉女