閉じる

共通メニューなどをスキップして本文へ

ENGLISH

メニューを開く

令和5年度京都市立芸術大学入学式を挙行しました。

2023.04.11

 令和5年4月10日、令和5年度京都市立芸術大学入学式を執り行いました。

 美術学部135名、音楽学部65名、大学院美術研究科修士課程64名、博士課程6名、大学院音楽研究科修士課程23名、博士課程1名、の総計294名が、門川大作京都市長をはじめご来賓の皆様、ご家族の皆様、教職員に温かく見守られ、入学式に参加しました。

取組の様子 取組の様子 取組の様子 取組の様子

 会場時間に合わせて音楽学部・研究科在学生が W.A.モーツァルト「ディベルティメント K136」を演奏し、新入生を迎え入れました。続いて開式とともに歓迎演奏が行われ、本学の阪哲朗教授の指揮による P.ウォーロック「カプリオール組曲より」を披露しました。新入生代表による宣誓が行われる中、新入生はそれぞれの思いを胸に抱き、期待に満ちた表情で参加されていました。

 新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。皆様の大学生活が、実りある人生の1ページとなりますように。教職員一同、心よりお祝い申し上げます。

取組の様子 取組の様子 取組の様子 取組の様子

2023年度 入学式式辞

 本日ここに集われた美術学部135名、音楽学部65名、大学院美術研究科修士課程64名、博士課程6名、大学院音楽研究科修士課程23名、博士課程1名、合わせて294名のみなさんのご入学、誠におめでとうございます。

 門川大作京都市長をはじめご来賓のみなさまには、ご多用の中、ご臨席たまわりましたことに、教職員を代表して深く感謝申し上げます。

 本日は沓掛校舎最後の入学式となりますが、青空の広がる美しい朝になりました。春特有の柔らかい色合いの西山もいつもよりぐっと近くに見え、皆さんを祝福し歓迎しているかのようでした。学部新入生の皆さんは、このコロナ禍の特別な3年間、芸術の道に夢を持ち続け京都市立芸術大学に入学をされました。そして大学院修士課程、博士課程の新入生のみなさんは、大学や社会で芸術の活動を続けながら自分の道を極めていこうと、決意を新たに入学をされました。皆さんのこれまでの芸術に対する真摯な想い、ひたむきな努力に敬意を表し、京都市立芸術大学として心から歓迎いたします。

 さて、私たちが生きる現代は変化の激しい時代です。コロナ禍以前から、デジタル技術の進展、グローバル化、地球温暖化などによって社会や環境が変化し、さらに今般のパンデミック、国際情勢などにより、その変化が加速しているところです。これまでの当たり前が通用しない不確実な時代、こうした混沌とした時には時代を切り開く力、またロボットやAIではかなえることができない0から1を生み出す創造力、人々の心を動かす表現力が求められており、芸術を学ぶ若い皆さんの力は未来の社会を創り、新しい時代を担うために、必要不可欠なものと期待をされています。

 そんな創造力や表現力を身につけていただくための教育として京都芸大では、1年生の段階から課題や作品を仲間の前でプレゼンテーションし、演奏を披露し、そして社会に発表する機会をたくさん設けています。今までもそれぞれのジャンルの作品や演奏で、輝かしい経験を積んでこられた皆さんだと思いますが、本学でのそれは、決して楽しいことばかりではないかもしれません。丹精込めて作った作品、精一杯の演奏を、仲間や先生から批判的な意見をぶつけられたり、思わぬ角度から突っ込まれたりすることもあるだろうと思います。または自分と他の人の感性や能力を比較し、落ち込んだり悔しい思いをしたりするかもしれません。厳しい批評や意見に反応したり、またはそれを退けたりするために、次の制作や演奏に悩みながら自分の表現に向きあっていく、その密度の高いやりとりの繰り返しと厳しさが本学の教育の特徴でもあると思います。そしてそれは同時に、仲間が同じように悩みつつ演奏や作品を生み出すプロセスに間近に接することでもあります。一人一人違った個性の輝きを知り、また表現に対するさまざまな意見を聞いて、人との違い、違うことの面白さを知っていくことに他なりません。そして周りにある多様な価値観を知ることで、自分自身の本当の個性に気づき、誰のものでもない新しい価値、表現を創り出すための強さを身につけていくのです。大学で芸術を学ぶということは、師匠とその弟子の閉じられた関係ではありません。大学という場所では、興味や関心が違う仲間や教員に出会い、お互いに意見を交換し、質問と答えを繰り返すことで、あなたの視野を格段に広げることができるのです。たった一人ではできない、はるかにたくさんの学びを繰り返し体験することこそが大学で芸術を学ぶ者の特権です。京都芸大では授業以外にも展覧会や演奏会、セミナー、レクチャー、トークイベントなど、様々なジャンルの芸術を体験する機会があります。皆さんには、好奇心を持ってそれらの活動に触れてほしいと思います。ジャンルが違っても、自分の興味の外にあるものでも、新しい出会いは視野を広げてくれ、インスピレーションを与えてくれることでしょう。そのために京都芸大という最高の環境を、積極的に活用してほしいと思います。

 さて、京都市立芸術大学はいよいよ本年2023年の秋に、京都駅近くへのキャンパス全面移転という、大きな節目を迎えます。京都の中心部にある京都駅のそばにみなさんの学ぶ芸術大学が引っ越すのは、小規模な大学のお引っ越しという以上に、注目を集め期待をされているところです。京都芸大は、この移転のコンセプトとして「テラスのような大学」を掲げています。「テラス」とは、建物の一部でありながら外に向かってはり出した場所です。この開かれた場所で、従来の自由でオープンな大学の学風を守り、さらに地域と緩やかにつながりながら「芸術」を軸に創造的な交流によって、皆さんの学ぶ環境をより豊かにしていけるよう移転準備を進めてきました。図書館や資料館、ギャラリー、音楽ホールも一新され、より充実したものになります。みなさんはその新しいキャンパスでの一年生、第一期生となります。移転という慌ただしい時期ではありますが、まずは沓掛キャンパスでの半年、それぞれ思いっきり取り組んでいただきたいと思います。教職員がそれをしっかり支えてくれます。そしてこの秋からは、新しいキャンパスで、教職員学生たち一緒になって、京都芸大の新しい歴史を作っていきましょう。

 最後になりましたが、入学式をご視聴いただいているご家族の皆様、関係者の皆様、これまでの約3年間コロナの影響で不安な状況が続く中、学生たちをそばで支え続けていただいたことに感謝いたします。芸術や研究の道を極めようとするものにとって、見守ってくださる家族の存在はこの上ない励ましです。今後も引き続きのご協力をお願い申し上げます。そして日頃より大学の運営に力強いご支援をいただいておりますご来賓の皆様に改めて感謝申し上げるとともに、今後ともあたたかなお力添えを賜りますことを重ねてお願い申し上げて、私からの式辞とさせていただきます。
本日は誠におめでとうございます。 

令和5年4月10日
京都市立芸術大学学長
赤松玉女