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移転オープニングセレモニーを開催しました。

2023.10.10

 令和5年10月1日、本学の移転を記念し、新キャンパス内の堀場信吉記念ホールにおいて京都市との共催により「京都市立芸術大学・美術工芸高等学校移転オープニングセレモニー」を開催しました。

 約600名の方々をお招きしたセレモニーは、音楽学部在学生がポール・デュカスのバレエ音楽《ラ・ペリ》のファンファーレを奏でて開式し、主催者である門川大作京都市長及び本学理事長・学長の赤松玉女から挨拶が述べられました。続いて、彬子女王殿下のおことば、西脇隆俊京都府知事をはじめ来賓の皆様からのご祝辞を賜り、都倉俊一文化庁長官からのメッセージ動画も上映されました。

 舞台の転換を挟み、本学非常勤講師の粟辻聡氏の指揮により、音楽学部及び大学院音楽研究科の在学生が記念演奏としてモーツァルト《ディヴェルティメント Kv.136》より第1楽章、チャイコフスキー《弦楽セレナーデ》より第2楽章と第4楽章をそれぞれ披露した後、前理事長・学長である鷲田清一名誉教授から記念祝辞を頂戴しました。

 キャンパスの南北を貫く通称「芸大通」に場所を移して主催者及び来賓によるテープカットが行われ、地元崇仁地域から、崇仁子ども御囃子会による御囃子の披露と森本弘義崇仁自治連合会会長によるご挨拶をいただき、閉式となりました。

 その後、キャンパス内の堀場信吉記念ホール、笠原記念アンサンブルホール、ギャラリー@KCUA、伊藤記念図書館、アートスペースK.Kaneshiroなど、キャンパス内の各所をご来学いただいた皆様にご覧いただきました。

取組の様子 取組の様子
取組の様子 取組の様子
取組の様子 取組の様子

赤松 玉女 理事長・学長 挨拶

 本日はお忙しい中、「京都市立芸術大学・美術工芸高等学校移転オープニングセレモニー」に、かくも多くの皆様にご列席いただき、誠にありがとうございます。

 彬子女王殿下にご臨席を賜り、西脇隆俊京都府知事をはじめご来賓の皆様にご列席をいただいて、こうして華やかに式典を執り行えますことは、移転準備を進めてまいりました私たちにとりまして、大きな喜びでございます。

 約10年前に、ここ崇仁地域の皆様に京都芸大の移転を受け入れていただき、この一大プロジェクトがスタートいたしました。その後、地元下京区をはじめ、京都市民の皆様、日頃から芸術を愛し応援をいただいている皆様、そしてこの度の移転に伴う教育研究の環境整備に多大なご支援をいただきました企業や団体、個人の皆様、全ての関係者の皆様のご理解とお力添えがあったからこそ、ここまで成し遂げることができました。大学を代表いたしまして、改めて心からの感謝を申し上げます。

 さて、キャンパス移転という節目にあたり、この新天地で本学がさらに発展していくために、未来に向けた新たな大学像を「テラス」と定めています。テラスとは、外に向かって開かれ、地面や水面から少し浮いた場所です。心も体も開放感があり、日常とは違った視点から、物事を見渡すことができる場所です。それは、芸術が持つ自由で創造的な視点と重なります。京都の街にあって、地域の歴史や文化と繋がり、芸術を軸に多様な人々や機関との交流が活発に行われ、情報や刺激を交換し合う、新鮮で創造的な体験の場所。それが、本学の目指すテラスのあり方です。

 本学には、次の時代を切り拓く芸術家・音楽家をはじめ、創造性豊かな人を育てることが、第一の使命としてあります。新しいキャンパスは、学生たちを育むテラスになり、そこから様々な作品や演奏、研究が発信されます。京都芸大は、評価の定まった作品をコレクションし展示する美術館でも、世界の著名な音楽家が名を連ねるオペラハウスでもありません。ここから発信されるのは見事な完成品ばかりではありませんが、それぞれの道を極めようとする真摯な学生たちの成長過程を、訪れる人々がつぶさに眺め、聴き入ることができるのが「テラス」たる所以です。

 芸術の教育研究機関として、学生たちの自由な試みから個性や新しさを見出し育てていく。枠にはまらない実験的な研究を通して、常識的な視点からは見えないもの・聴こえないものに、触れられるようにする。そしてそれを世界の人々に届ける場所であるからこそ「文化芸術都市・京都」が未来に発展するための拠点にもなり、143年間この学び舎を守り続けた京都の先人たちの思いを引き継ぐ場所にもなります。

 本日、初めてお入りいただいたこのキャンパスは、多くの工夫がなされ、空間も色彩も考え抜かれて魅力に満ちています。明日からさっそく授業が始まりますが、学生たちはきっと、音楽ホールやギャラリーはもちろん、キャンパスのあちこちを舞台に自主的な活動や発表を自由に繰り広げることを思い描いて、胸を高鳴らせることでしょう。皆様にもぜひ機会があるごとに訪れていただきますようお願い申し上げます。

 10年余り前から進めてきたプロジェクトでございますが、キャンパス移転はゴールではなく、新天地での活動のスタートでございます。京都の街や通りには、長い歴史に培われたコミュニティの個性が反映されているように、今後はこのキャンパスも、学生、教職員が地域の人々、訪れる人々、また起源を同じくし、こうして再びひとつの場所ですでに教育活動を開始されている美術工芸高校と協力しあいながら、京芸テラスとして豊かな色彩をつけ、シンフォニーに仕上げていくことになります。京都の歴史や伝統からの学びと未来への展望が交差するテラスとして、芸術に触れる機会をより広く人々に提供しつつ、産業界、教育機関、研究機関などと共に未来を創っていく新たな一歩を本日ここに踏み出します新しい京都芸大に、今後も変わらぬご支援とご協力をお寄せいただきますようお願いいたします。

 最後になりましたが、本日お越しくださった皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。

 

令和5年10月1日
京都市立芸術大学理事長・学長
赤松 玉女