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THE THOUSAND KYOTO×京都市立芸術大学  松岡 勇樹 個展 「 ひとつのはじまりから From a Single Beginning」

京阪グループのフラッグシップホテル「THE THOUSAND KYOTO」 と京都市立芸術大学との共催により、本学大学院修士課程修了生の松岡 勇樹氏の個展を10月7日(火曜日)から11月9日(日曜日)まで、ホテル館内のアートギャラリーにて開催いたします。

松岡氏は、近年「はじまりもおわりもない」をテーマに、墨を用いた点描技法で、独自の世界観を繊細かつダイナミックに表現する日本画家。本展では、2020年大学院修了制作の《流転》や新作をご覧いただけます。はじまっていく造形がまるで内面まで迫りくるような松岡氏の作品群との対話をお楽しみください。

THE THOUSAND KYOTOは、人にも、社会にも、未来にも心地よい感動体験をお届けする「サステナブル・コンフォート ホテル」として、京都の文化・芸術活動を応援されています。
皆さま、この機会にぜひ足をお運びください。

「はじまりもおわりもない」世界を描く 日本画家 松岡 勇樹氏の個展を開催

左:ひとつのはじまりからNo.1、2025、紙本着色、楮紙 墨 金泥 鉛筆 色鉛筆
右:ひとつのはじまりからNo.2、2025、楮紙 墨 岩絵具 金泥 鉛筆 色鉛筆 

松岡 勇樹 個展 「ひとつのはじまりから From a Single Beginning」

松岡 勇樹 (まつおか ゆうき)

1994年生まれ。三菱商事アート・ゲート・プログラム2018年度奨学金制度奨学生。2020年 京都市立芸術大学大学院 美術研究科修士課程 絵画専攻(日本画)修了。 

描くことは、自己が世界を獲得する行為とし、日本絵画の再考・創作を志向している。近年、コロナ禍に交通事故と病気による利き腕の手術、祖母の死を経験。入院中に見た雲の生成と消滅、医療に消費される豚を自覚したことで、豚生革や和紙に墨で点描した《はじまりもおわりもない》と題した絵画を制作。 

主な展覧会に、第8回郷さくら美術館 桜花賞展(’20/収蔵)、京都 日本画新展2023(奨励賞・京都市長賞)、個展「はじまりもおわりもない」(’23/京都)、かめおか霧の芸術祭城跡芸術展(’23’24’25)、ARTISTS’ FAIR KYOTO 2024(推薦:やなぎみわ)、第9回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展−明日の日本画を求めて−(’24/入選 審査員推奨:野地耕一郎)など。  

受賞歴
2017年 京都花烏館賞 2017 作品展 優秀賞 
2020年 京都市立芸術大学 制作展 2019同窓会賞
2023年 京都日本画新展2023奨励賞・京都市長賞  

ステートメント

私にとって描くことは、自己が世界を獲得する行為です。5年前、交通事故で描けなくなった私は、病室で見た雲の生成と消滅に「はじまりもおわりもない」と感じ、点描をはじめました。描かれた点は、まるで世界を生成する量子のように、ゆらぎ、よびあい、うつろい、流動するエネルギーを感じる造形を獲得しはじめました。描かれた点の集積は私の生きた時間であり、現れた絵画は「わたしの写し身」なのです。 
本展では、人間と自然との関係や金碧障壁画に注目し、鍾乳洞・鍾乳石をモチーフとした修了制作《流転》をはじめ、コロナ禍における祖母の死や2度の利き腕の手術、医療に消費される豚を自覚したことで生まれた、豚生革に墨で点描した屏風《はじまりもおわりもない》、モノクロームの作品が色と光をまといはじめた、新作《ひとつのはじまりから》を発表いたします。

インスタグラム

「ひとつのはじまりから」展によせて

竹浪 遠(京都市立芸術大学美術学部 教授)

松岡君は当方が京芸に赴任(2015)して最初の時期の学生だった。山水画に関心があり授業を熱心に受講するだけでなく、四日市にある中国書画で名高い美術館にも行き、台湾でも一緒に宋代の山水画を見た。木曜午後のテーマ演習「奥行きの感覚」では、教員と学生の別なく侃侃諤諤の課題制作に取り組んだ。また当方の企画する自主ゼミの「中国文化研究会」にも参加してくれた。沓掛の中華料理店で盛り上がったのも楽しい思い出である。

渾身の修了制作(2020)を描きあげて巣立っていった時には君の順風を疑わなかった。それから少しして事故にあったと聞いたときには、俄かには信じがたかった。ただ、右手が使えなくても左手で制作をはじめたと聞いて少し安堵した。中国の大家の中にも右腕が病んだのちに左手で制作を続けた高鳳翰(1683~1749)という画家がいる。その左手時代の作品は墨痕淋漓とした豪放な画風である。

松岡君はどんな絵を描くだろうかと思っていたところ、手術と入院の経験から医療素材にも使われる豚の革をベースに点描で「はじまりもおわりもない」絵を描き始めたという。伝統的に東洋画では線が重視され、水墨も主要な技法となるが、点はそれらに比べ補助的で後発の筆法だった。それでいくと、君の点描は伝統に縛られない独自の手法である。

一方で全ては「道」の法則によって生成変化していくという中国の思想からすれば、雲のような、渦のような、宇宙のような、それでいて不思議な海中生物にも見える混沌とした画面は、「造化」の境地を目指す東洋画の伝統に連なるとも解釈できる。数年を経て点描の打たれる素地は白い和紙に変わり、色や輝きを帯び始めた。一つの点から始まるという君自身の世界が、今そしてこれからどのように展開するのかをこの目で確かめたい。

(たけなみ はるか 東洋美術史)

THE THOUSAND KYOTO×京都市立芸術大学のコラボレーションについて

2023年10月のキャンパス移転を機に、近隣であるTHE THOUSAND KYOTO(ザ・サウザンド京都)とのコラボレーション事業として、同ホテル内のアートギャラリーにて、本学の在学生や卒業生による作品展示を定期的に開催しています。今回は10回目の展示となります。
ホテルを訪れる多くの方々に作品をご覧いただくことは、アーティストにとって自身の才能を披露する貴重な機会であると同時に、洗練された空間や感度の高い来場者との出会いを通じて、芸術性をより一層高め、将来への大きな財産となります。

関連ページ

THE THOUSAND KYOTO|ホームページ

THE THOUSAND KYOTO アートギャラリー | これまでの展示

イベント会場

日本、京都府京都市下京区東塩小路町570 ザ・サウザンド キョウト