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「星合ひ、天の川を渡って」地下鉄二条城前駅に学生作品を展示

2012.07.06

 京の夏の新しい風物詩として今年で3年目を迎える「京の七夕」。(※1)

 観光客や市民への「京の七夕」のPRと地下鉄駅のにぎわいの創出を目的として,昨年7月から京都市立芸術大学の学生作品が地下鉄二条城前駅構内(※2)に展示されており,「京の七夕」が近づく7月4日に新たな作品へと展示替えをしました。

 今回の作品テーマは,「星合ひ、天の川を渡って」,制作したのは,美術学部デザイン科2回生30名です。

 七夕伝説では,七夕の夜,鵲(かささぎ)が翼を連ねて橋をつくり,天の川を渡らせてくれることで,織姫と彦星が一年に一度の出逢いを果たすと語り継がれています。

 その七夕伝説の出逢いのストーリーやモチーフから発想し,一年に一度の出逢いのために必要となる「乗りもの」が,今回のテーマです。

 学生は,「天の川」を渡る「船」や,翼を連ねる「鳥」など,それぞれが発想する「乗りもの」を自由にデザインした立体作品を制作しました。

 7月4日の作品お披露目会には,門川京都市長も御出席され,作品を制作した学生1人ずつから作品への想いを聞いていただき,「京の七夕堀川会場にお越しいただく方の多くはこの二条城前駅を利用される。その方々に,京都市の誇りである京都芸大の学生作品を見てもらいたい。」とのお言葉をいただきました。

 課題を担当した髙井節子准教授は,「京の七夕と今年で開業100周年を迎える地下鉄を盛り上げることに一役買えればと思う。学生は1週間という短い期間でよく頑張って作品を制作してくれた。」と語ります。

お披露目会には学生27名も出席し,自分たちの作品が公共の場に展示されていることを喜んでいました。

地下鉄二条城前駅をご利用の際には,ぜひ学生の想いを乗せた「乗りもの」をお楽しみください。





 

※1 「京の七夕」について,詳しくは京の七夕ホームページをご覧ください。

京の七夕

※2 地下鉄二条城前駅改札から2番出口へ続く通路に作品が展示されています。

駅構内図

 

 日本の伝統文化の一つとして古くから受け継がれている水墨画。
 新しい学習指導要領で,郷土の伝統的な文化に関する指導の充実が求められていますが,水墨画の授業を行うには,専用の描画材料や指導方法のノウハウが必要になるため,小・中学校の図画工作・美術科の授業では,クレパスや水彩絵の具を使い,「墨」を使って描く機会はあまりありません。

 そこで,今回,京都市立芸術大学美術学部の教職課程研究室横田教授,日本画研究室小池准教授,同研究室川嶋准教授,大学院博士(後期)課程の竹内晋平さん,修士課程日本画専攻生4名が,宇治市立伊勢田小学校において,小学校6年生117名を対象に水墨画の授業を行いました。

 授業を行う前に,教員,学生一同で「どのようにして子どもたちに水墨画の魅力を伝えるか」について真剣に議論を行い,次のことを意識して授業を進めることになりました。

 

○ 授業では,子ども達が,手本のとおりに描くのではなく,手本を基に自分なりに描き,例えば,大根の葉っぱ一枚,犬の毛など一部だけでも綺麗に描けて,子ども達自身が「うまく描けた!」と達成感を感じることを目指す。

 

○ 水墨画は墨の量の調整がポイント。「墨が出なくなるまでギュッと絞る。」など,音付きで大げさに実演し,子ども達にわかりやすく伝え,墨の量の調整の感覚をつかんでもらう。 

 まず,子ども達をいくつかのグループに分け,教員,学生がゲストティーチャーとして,水墨画の実演を行いました。
 それぞれが,子ども達に話しかけながら実演を行います。「最初から綺麗に描こうと思わず,楽しく音楽と思ってリズミカルに描きや。トントントン,シュッっていう感じ。」「みんなが普段使っている鉛筆と違って,筆一つで,まるで魔法のように色んな表現ができるんやで。」
 子ども達は口々に「すげぇ。むっちゃうまい。」と興奮して見入っていました。実演を間近で見ることは,子ども達にとって貴重な経験です。

 その後,子ども達が手本を見ながら描いていきます。
 子ども達は,先生から教えてもらった技を最初は試すように描いていましたが,上手に描けることに驚き,そして,コツをつかんだことが嬉しい様子で,手本を見ながら犬や茄子を何枚も何枚も描いていました。
 子ども達の描いた作品は,とても小学生が描いたとは思えない質の高いものに仕上がり,教えている教員や学生も,子ども達の飲み込みの早さに驚きました。

 今回,取組の中心である,博士課程の竹内さんは語ります。
 「専門家のことを専門家で終わらせないことが大事。スポーツというジャンルは,「生涯スポーツ」という言葉があるとおり,裾野が広く,一般的に楽しまれている。「生涯美術」という言葉があっても良いと思う。子どもの時に,本物の美術に触れ,魅力を感じてほしい。また,子どもと一緒におうちの方にも美術に触れてほしい。こういった取組を地道に続け,美術の裾野を広げていきたい。」

 子ども達の作品は,11月19日(土)・20日(日)の2日間,黄檗宗大本山萬福寺で開催される萬福寺芸術祭において展示されます。お近くの方は,子ども達の力作を是非ご覧になってください。

 今後も,芸術大学が持つ様々な情報や知識を,地域の文化芸術振興や美術教育の充実に生かす取組の1つとして,小学校との連携事業を進めてまいります。

※ 本研究は,本学独自の「特別研究助成」制度で採択された研究です。
 「特別研究助成」制度とは,教員の自発的な特別研究を積極的に推進し,研究教育水準の向上を図るため,学長の定めるテーマに基づく研究内容を教員から募集し,学長を委員長とする委員会において提出された研究内容を審査し,採択された研究に対して,研究費を助成する制度です。