2023年2月に京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社と連携し、同社が運営する「京都タワーホテルアネックス」「京都タワービル」に関する取組を実施しました。
「京都タワーホテルアネックス」では、本学学生がデザインしたコンセプトルームが3室造成されました。京都の自然や文化をモチーフとした客室でお過ごしいただけます。2023 年3月3日(金曜日)よりご宿泊いただけます。
「京都タワービル」では、烏丸通と塩小路通の交差点に面したビル入口付近に、本学大学院修了のアーティスト・藤崎了一氏がデザインしたパブリックアートが設置されています。
京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社では、この度のコンセプトルームの新設や、本学とのコラボレーションを通じて、京都の文化・芸術活動を応援されています。
皆さまこの機会にぜひ足をお運びください。
1. コンセプトルームについて
「京の雲間」(715 号室)
絵巻物で用いられる「雲」の表現にインスパイアされた“うつろいゆく京都の姿の美しさを再認識”する客室。京都を囲む山の稜線を和紙で表現した壁、絵巻物に描かれる日本独特の雲の形を模したライトや飾り棚を配置しました。物語の中のような非日常的な空間から京都の街並みを眺めることができます。
デザイナーコメント: 嶋作奈々世(美術学部環境デザイン専攻3回生)
文化を受け継ぎながら、京の姿はうつろいゆく。「展開」を表す絵巻の雲の中に入ったような空間から、窓の外の近代の京都を眺めてみてください。京のまちをより美しく感じるきっかけとなればという思いを込めてデザインしました。
「koi-ma(こいのま)」(716 号室)
“私だけの京都を、アートな空間とともに写そう。”をコンセプトにデザイン。日本庭園の池で優雅に泳ぐ錦鯉の美しい色彩と鱗の形を表現しました。ヘッドボードの壁は左官職人の伝統的な鏝塗りで仕上げています。水面を表す曲線を各所に取り入れた「和×アート」を体感できる空間です。
デザイナーコメント: 相埜萌恵(美術学部環境デザイン専攻3回生)
「この場所にしかない景色」をホテルでも感じられたら、きっと忘れられない旅になる。そんな想いから、写真に撮りたくなる空間を目指しました。モチーフには海外のゲストにも認知される錦鯉を選び、伝統とアートを柔らかく融合させました。
「い っ ぷ く」(717 号室)
“お茶とお菓子で“いっぷく”したくなる空間“をコンセプトにデザイン。抹茶をイメージしたカラーリングのお部屋で、床のカーペットやクッションは和菓子の金団(きんとん)や練り切りをモチーフにしています。書院造りの座敷飾りを連想させる違い棚や、窓際の丸くカットされた簾も見どころのひとつです。
デザイナーコメント: 松田彩香(美術学部環境デザイン専攻3回生)
ホテルを「宿泊する場所」から、旅の途中で「少し特別な一休みをする時間」として提案したいと考え、ほっと一服したくなる空間にデザインしました。茶室の要素と和菓子モチーフのインテリアを組み合わせ現代的にアレンジしています。
※3つのルームすべてにミラーリング機能付きプロジェクターを設置しています。
コンセプトルーム概要
場 所:京都タワーホテル アネックス
期 間:2023年3月1日(水曜日)~通年
室 数:それぞれ 1日1室 ダブルルーム (1~2名様ご利用可)
料 金:<宿泊>5,000 円~/2名1室/1名様あたり(素泊まり)
6,500 円~/2名1室/1名様あたり(朝食付き)
※消費税・サービス料込み(宿泊税は別途)
※料金はご宿泊のお日にち・人数により変動いたします
詳 細:https://www.kyoto-towerhotel-annex.jp/info/2023/02/annex-artroom.php
コンセプトルーム設置の背景
アーティストの表現の場を創出しながら、京都を訪れた人々に宿泊施設を通じて「京都」を感じられる体験をお届けしたいという思いから設置いたしました。始動した本企画は授業の一環として学生よりアイディアスケッチを公募し、プレゼンを経て選ばれた3つのルームがこの度2月に竣工しました。
総合プロデューサー:株式会社DRiP 代表取締役 藤井崇司 京都市立芸術大学、同大学院卒。ホテルを中心に、学校・病院・住宅など幅広いプロジェクトに従事。手がけたデザインは、ベルリンで開催された「LEAF interior Design Awards」のホテル部門第1位を受賞するなど世界でも評価されている。土地の文化・芸術性を重視し、伝統工芸や産業とコラボレーションすることを得意とする。 施工:株式会社J.フロント建装 |
京都タワーホテルアネックス
JR京都駅から徒歩3分。駅前のメインストリートを少し入った閑静な場所に位置するホテル。心あたたまるサービスとアットホームな雰囲気が旅の疲れを癒し、ゆったりとおくつろぎいただけます。
- 【所在地】 〒600-8216 京都市下京区新町通七条下る東塩小路町595-1
- 【アクセス】 JR京都駅烏丸中央口より徒歩3分
- 【HP】 https://www.kyoto-towerhotel-annex.jp/
2. パブリックアートについて
作品名 「Moire ( モアレ ) 」
コンセプト
悠久の時の中で京都という都市の形は変化していくが、変わらずこの土地に特別息づき続けている水や風、光の揺らぎに焦点を当て、彫刻的観点から制作した作品。タイトルの Moire(モアレ)は、それぞれが関わり合うことで常に新しい形が生まれ続けていくことを象徴的に言い表している。
サイズ
幅 12m x 高さ 3.6m
解説:彫刻的視点で平面作品を考える
光の揺らぎの心地よさや、水や風が京都の街を抜けていく様を感じさせることを目指した。
実際の制作では布が風にたなびくプログラムを使って形を作り、その形を利用して透明と緑、グレーのストライプからなる構造に書き換え、揺らぎやそよぎを 3D 動画で作成、さまざまな方向から光を当て柔らかく揺らぐ表情を作り出した。
ストライプに透明部分が入ることで奥行きを作り出し、彫刻的視点である立体的かつ空間的な作品のあり方を表現している。
藤崎了一 Ryoichi Fujisaki 1975 年 大阪府出身。京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了。 その後、造形工房、解体現場、塗装屋、現代美術作家のスタジオなどいくつかの制作現場に長年携わる。2015 年に活動拠点を東京に移し、本格的にアーティストとして活動を再開。様々な現場で培った経験や技術、気づきを手がかりに、立体作品をはじめ、写真や映像などを発表している。 |
パブリックアート設置の背景
京都駅前の交差点に面する「京都タワービル」の入口にアートを設置し、京都駅周辺を盛り上げたいという思いから設置されました。本年10月に京都駅前東部エリアに移転する「京都市立芸術大学」出身の活躍するアーティストというご縁から藤崎氏に製作を依頼され、本年2月に竣工しました。