小濱妙美
- 役職:特任教授
- 専攻:声楽専攻
- 専門:声楽(ソプラノ)
コメント
世界的に政情不安や経済不況が囁かれ、とかく精神性が軽んじられる現代社会において、芸術の持つ社会的使命は少なくないと信じます。
人生において人間形成上最も大切な大学生活は人生設計における自らの在り方や方向性が見えてくる時期でもあり、この時期に如何に音楽を学び、声楽を学ぶべきなのか、教員たる者の責任は重大であると認識します。
純粋で素直な感性を養い、表現手段である発声技術を修得する事は並大抵の努力で成し得るものではありません。何より音楽に対する深い愛情と強い精神力に裏打ちされてはじめて実を結ぶものです。ベル・カント唱法を基礎として色々な言語やジャンル(オペラ・オラトリオ・歌曲等)音楽全般を識ること、そして自分の身体を楽器とし歌のテキストを通じて作品の奥深い背景・道徳心やモラルをも理解し探求すること、そして更にはテクニックだけに頼ることなく自由自在に声を操り気負うことなく自然体でおおらかに歌うことが出来る……こんな理想的な体験を目指し、学生達にほんの一部でもこの真理に触れさせる事が出来たなら、教員としてどんなに幸せだろうかと切望して止みません。
人は皆顔が違うように、性格や思考、そして声も様々です。しかし音楽という共有世界の中に共存し、創造感覚を研き、協調性を養うことが出来るのです。音楽、歌の素晴らしさを通して、私は歌心・歌魂を豊かな環境の中でのびのびと楽しく、そして真剣に厳しく学生達に声楽を教えたい!常に学生達と喜怒哀楽を共にし、一緒に学びながら成長していきたい!!生徒と同じ目線に立ち、決して専門分野の技術だけに止まらず人間性をも磨きたいと考えます。お腹の底から身体全体を使って歌う事が健全な精神と肉体を作り、何事をも乗り越えられるだけの勇気を持つ事が出来ますように…。
声楽家への道程は険しい頂点(ゴール)を目指しチャレンジ精神旺盛でひたすら努力するアスリート選手に似ています。それぞれの人生を謳歌するのと同じく歌も人生そのものだと思うのです。私自身が恩師達から愛情深く与えていただいた大切な沢山の教え(宝物)をひとりでも多くの学生に……胸に残る名曲がハートからハートへと歌い継がれるように、私も笑顔を絶やさず全身全霊で伝えたい!『本物は日々努力せずして生まれて来ない』という我が教訓を胸に秘めつつ…!
略歴
東京藝術大学卒業、同大学院修了。中村義春、畑中良輔、小野光子各氏に師事。エリーザベト・シュヴァルツコプフ女史に才能を認められ、1984年よりスイスに留学。ミラノではアントニオ・トニーニ氏にイタリアオペラを学ぶ。パヴァロッティ・コンクール、チャイコフスキー・コンクール、村松賞、ジローオペラ賞、よんでん芸術文化奨励賞、ロシア歌曲賞など多数受賞。日本音楽コンクールや、全日本学生音楽コンクール、東京国際声楽コンクールなどの審査員も務める。93年ドイツ・ニーダーザクセン州立ブラウンシュヴァイク劇場と専属契約を交し、「タンホイザー」のエリーザベト役でヨーロッパデビュー。劇場始まって以来の大物歌手誕生と絶賛される。同劇場のほか、欧米各地の歌劇場やコンサート、音楽祭で活躍。日本では、90年「ドン・ジョヴァンニ」のドンナ・アンナ役でオペラ・デビュー。「蝶々夫人」「ノルマ」のタイトルロール、「カルメン」のミカエラ、サントリーホール「マクベス」「ナブッコ」、ヴェルディ「レクイエム」や「ガラ・コンサート」等に出演。97年新国立劇場開場記念公演「ローエングリン」にはエルザ役で出演。98年12月カーネギーホール「第九交響曲」、パリ・オペラ座バレエ団ベジャール振付「第九交響曲」やベルゲン・フィルなどと共演。新国立劇場では「蝶々夫人」のタイトルロール、「エウゲニ・オネーギン」のタチヤーナ、「ドン・ジョヴァンニ」のドンナ・アンナ、「トスカ」のタイトルロール、びわ湖ホールでは「ジャンヌ・ダルク」のタイトルロール、「エルナーニ」のエルヴィラ、また日本オペラ「黒塚」などに出演。2003年1月新国立劇場「光」のホアン役、3月「ノルマ」のタイトルロール、7月新国立劇場にて「トスカ」、8月文化庁公演「蝶々夫人」、11月びわ湖ホールにて「シチリアの夕べの祈り」などに出演。2004年1月藤原ニューイヤーオペラ「椿姫」、9月モルドヴァでは「トスカ」で大成功をおさめる。10月びわ湖ホール「十字軍のロンバルディア人」、11月メキシコにて世界的テノールのアライサ氏と「ルチア」「蝶々夫人」初共演、またリサイタルでも絶賛された。2005年1月第48回NHKニューイヤー・オペラコンサートに初出演。2005年秋、恒例となったびわ湖ホールオペラ「スティッフェーリオ」リーナ役を歌う。2006年5月、ニューヨーク・カーネギーホールにてリサイタル。STANDING OVATIONと鳴り止まぬ拍手で大成功をおさめる。2006年秋、藤原歌劇団公演「ランスへの旅」コルテーゼ夫人役でも大好評を博する。2007年から、サロンコンサートやサロンオペラ「蝶々夫人」「椿姫」「トスカ」など新感覚のパフォーマンスに意欲的に挑戦、またテレビやラジオなどでも活躍中。2009年6月には新国立劇場にて『修禅寺物語』(坂田藤十郎演出)かつら役で出演、また10月にも新国立劇場尼崎公演「蝶々夫人」タイトルロール出演。2010年夏、瀬戸内国際芸術祭ではオペラと文楽のコラボレーションで「蝶々夫人」を実現させ、また11月には藤沢オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」サントゥッツァ役に初挑戦、大成功をおさめる。2011年12月9日には京都での初リサイタル、2012年5月には初オペラ「月の影~源氏物語~」藤壺役で大絶賛を博す。2012年11月国民文化祭(徳島県三好市)、12月デュルフレ作曲「レクイエム」ソリスト(定期演奏会)等コンサートでも活躍。2013年7月、ヴェルディイヤーにちなんだサントリーホールでのコンサートで再び大絶賛を博す。9月には、石山寺本堂(国宝)にて「月の影~源氏物語」六条御息所役で出演。2013年11月大友直人指揮、千住明作曲「万葉集」(定期演奏会)大伯皇女で大成功をおさめる。2015年3月、世界が注目する日本オペラ「藤戸」のおんな役を歌い演じ、大成功に導いた。2016年6月19日には「オペラティックガラ・コンサート」にて「カルメン」タイトルロールを歌い演じ、聴衆を魅了した。
藤原歌劇団団員。
2011年4月より京都市立芸術大学准教授に着任。2014年4月より教授。
最終学歴及び学位称号
東京芸術大学大学院音楽研究科声楽専攻修士課程修了
芸術修士
業績・研究発表
受賞歴
1972 | 11月…全四国音楽コンクール中学校声楽の部第1位入賞 |
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12月…西日本こども音楽コンクール声楽の部最優秀賞 | |
1975 | 11月…全四国音楽コンクール高校声楽の部第1位入賞 |
1984 | 8月…ザルツブルク国際夏期アカデミーコンクール声楽部門第1位入賞 |
1990 | 6月…第9回チャイコフスキーコンクール声楽部門女声の部第6位入賞 |
1991 | 1月…第3回村松賞 |
1992 | 9月…第20回ジローオペラ賞 |
1995 | 12月…第1回ロシヤ歌曲賞 |
1996 | 11月…平成8年度よんでん芸術文化奨励賞(四国電力) |
業績
リサイタル(イギリス) エリーザベト・シュヴァルツコプフとピーター・ピアーズと共に |
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オペラ「ノルマ」タイトルロール 提供(財)日本オペラ振興会 |
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オペラ「ノルマ」 ジュゼッペ・ジャコミーニと共に 提供(財)日本オペラ振興会 |
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オペラ「タンホイザー」エリーザベト役(ドイツ) プレミエ カーテンコール |
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ヴェルディ「レクイエム」ソロ レナート・ブルゾンらと共に |
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オペラ「エウゲニ・オネーギン」タチヤーナ役 手紙の場面 提供(財)日本オペラ振興会 |
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オペラ「エウゲニ・オネーギン」タチヤーナ役 提供(財)日本オペラ振興会 |
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オペラ「エウゲニ・オネーギン」タチヤーナ役 パータ・ブルチュラーゼらと共にカーテンコール 提供(財)日本オペラ振興会 |
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オペラ「椿姫」タイトルロール役 提供(財)日本オペラ振興会 |
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オペラ「椿姫」タイトルロール役 提供(財)日本オペラ振興会 |
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オペラ「トスカ」タイトルロール役 (モルドヴァ) |
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リサイタル(アメリカ、NYカーネギーホール) | |
リサイタル(アメリカ、NYカーネギーホール) | |
リサイタル(アメリカ、NYカーネギーホール) ブラッドリー・モーアと共に |