正田悠
- 役職:講師
- 専攻:音楽学専攻
- 専門:演奏科学、音楽心理学
コメント
これまで、「生演奏で聴衆を前に演奏すると、普段以上のパフォーマンスができたり、あるいは全くダメになったりするのはなぜか」「ライブ演奏を聴く場合と録音された演奏を聴く場合ではどのような違いがあり、その違いはなぜ生じるのか」というテーマで、演奏者―鑑賞者間ダイナミクスに関する研究を行ってきました。このたび、幸運なことに、芸術家の方々に囲まれる研究環境に身を置けることになり、「さあどんな研究ができるだろうか」と楽しみにしています。研究室には、先達が残してきた実験機器や音響機器がありますし、私自身も身体の動きや生理反応を記録する機器を持っています。音楽の流れに伴って時々刻々と変化する「こころ」と「からだ」の反応の計測を通して、音楽する人間にどのような特性が隠されているのかが少しずつでもわかっていくといいなぁと思っています。京都芸大の学生のみなさんには、「音楽というレンズを通して人間をみる」をコンセプトに、謎解きのような、宝探しのような、夢中になって進めていける研究にぜひ触れてみてほしいと思います。演奏家のみなさん、私たちの実験や調査に、何卒ご協力をお願いいたします。
略歴
大阪府茨木市出身。大阪大学人間科学部卒業、北海道大学大学院文学研究科修士課程および博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員DC1(北海道大学大学院文学研究科)およびPD(同志社大学文化情報学部)、立命館大学専門研究員、神戸大学助教、立命館大学助教等を経て現在、京都市立芸術大学音楽学部講師。日本学術振興会特別研究員(PD)在任中に、英国王立音楽大学演奏科学センターにて在外研究を行う。日本音楽知覚認知学会、日本心理学会、日本認知科学会、ヒューマンインタフェース学会、日本バイオメカニクス学会等会員。
最終学歴及び学位称号
北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了
博士(文学,北海道大学)
業績・研究発表
(全ての業績リストはhttps://researchmap.jp/harukashodaをご覧ください)
主な論文
<演奏者の身体運動>
Shoda, H., & Adachi, M. (2012). The role of a pianist’s affective and structural interpretations in his expressive body movement: A single case study. Music Perception, 29(3), 237–254.
<演奏ニュアンスの鑑賞者への伝達>
Shoda, H., & Adachi, M. (2016). Expressivity, affective nuance, and presentation modality in a performer-to-audience communication. Psychomusicology: Music, Mind, and Brain, 26(2), 167–178.
<生演奏における演奏表現の特徴>
Shoda, H., & Adachi, M. (2015). Why live recording sounds better: A case study of Schumann’s Traumerei. Frontiers in Psychology, 5(1564), 1–15.
<生演奏における鑑賞者の心拍変動>
Shoda, H., Adachi, M, & Umeda, T. (2016). How live performance moves the human heart. PLoS ONE, 11(4), e0154322, 1–11.
<生演奏における鑑賞者の印象の時々刻々の変化>
正田悠・阪田真己子・Williamon, A.(2017).生演奏による聴取がヴァイオリン演奏の評価に及ぼす影響:全体評定と連続評定 音楽知覚認知研究,23(1), 35–55.
<音楽による気分調整を測定する日本語版尺度の開発>
正田悠・安田晶子・中原純・田部井賢一・伊坂忠夫(2019).短縮版音楽による気分調整尺度(B-MMR)の日本語版の作成および信頼性・妥当性の検証 心理学研究,90(4), 398–407.
<音楽にひもづいて記憶されるエピソードの計量テキスト分析>
正田 悠・安田 晶子・中原 純・田部井 賢一・伊坂 忠夫(2022).大学生における「人生で最も重要な歌」のエピソードと聴取反応─トピックモデルによるデータマイニング─ 音楽知覚認知研究, 27(1),21–40
受賞
- 大阪大学「人間科学部賞」
- 日本音楽知覚認知学会「論文賞」「研究選奨」「ポスター発表選奨」
- 日本認知科学会「大会発表賞」
- 電子情報通信学会「ヒューマンコミュニケーション賞」
- COI 2021 会議(主催:科学技術振興機構)「日立製作所基礎研究費賞」(共同受賞)など
競争的研究資金
- 「音楽が誘発する身体運動の生起機序:その認知神経過程の解明および音楽療法への応用」
- 日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(B)),研究代表者
- 研究期間: 2020 年4 月— 2024 年3 月
- 「伝統芸能ビッグデータ構築による無形文化財の保存・解析・共有手法の開発」
- 日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(B)),研究分担者