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第156回 定期演奏会 出演者インタビュー②弦楽

第156回 定期演奏会を前に,京芸オーケストラの特徴や演奏会の聴きどころなどについて,演奏する3曲でそれぞれコンサートマスター(ミストレス)を務める3人にお話を聴きました。

  • ヴァイオリン:福岡 昂大(音楽学部弦楽専攻4回生)
  • ヴァイオリン:高麗 みなみ(音楽学部弦楽専攻4回生)
  • ヴァイオリン:米井 遥香(音楽学部弦楽専攻4回生)

福岡昂大さん

interviewer_music4年間京都市立芸術大学のオーケストラで演奏してきたなかで感じた,京芸オーケストラの印象や良さを教えてください。

福岡 本年度に下野竜也先生が着任されましたが,我々学生は少しでも早く下野先生の指導に慣れていく必要があったので,一人一人がこれまで以上に考えて演奏するようになったように思います。ただ,先輩方と比べたとき,本当に自分たち4回生がきちんと引っ張っていくことができているのか,不安もあります。しかし練習を重ねるごとに音が良くなる,そして本番には必ずやってみせるのが京芸オーケストラの良さだと思います。

高麗 入学して初めて京芸のオーケストラに入ったとき,とても自由な集団だなと思いました(笑)。高校のときも学校のオーケストラで演奏したことはありましたが,それとは全く違い,良くも悪くもソリスティックな集団なのだなと最初は感じました。しかし,本年度に下野先生が着任されてから,学生が今までとは違う意識を持つようになってきました。それでもまだ足りない部分もありますが,これからも一層レベルアップしていくのではないかと思います。

米井 私が1回生の頃の4回生の先輩方は,一人一人がキャラクターをしっかり持ってらっしゃって,萎縮してしまうことが多かったんです。しかし,その当時も,学生が入れ替わってしまった今も,先生に言われたことを受け取ろうとする意識は皆が必ず持っています。だからこそそうした個性の強さが生まれているのだと思います。これからもそういった意識を少しずつでも重ねていけば,さらにオーケストラとしての演奏に艶が増すのではないかと思います。

高麗みなみさん

interviewer_music4年間の学生生活の中で,印象深い出来事は何ですか。

福岡 オーケストラでの演奏旅行が最も印象深いですね。特に去年は愛媛の小学校4校をまわって演奏させていただき,僕は実行委員会の委員長を務めました。委員長の役割としては,曲決めから楽器の運搬,ホテル決め,小学校とのコンタクト,オーケストラを引っ張っていくことまであって…とても大変でしたが,本当に濃い経験でした。

高麗 芸大祭のクラシックコンサートが印象に残っています。昨年と今年に参加させていただき,昨年は私の師匠である大谷玲子先生,今年は田村響先生がソリストでした。今年は特にコンサートミストレスをさせていただいて,間近で田村先生の音楽のオーラを直に感じることができ,本当に幸せでした。また昨年は,大谷先生がお持ちの音楽性の豊かさ,そして色々な引き出しを感じることができました。もちろん,先生には普段のレッスンでもご指導いただいていますが,それだけではない多くのことをこのコンサートで学ぶことができました。

米井 個人的には,3人の先生について学んだということが最も思い出深いです。それぞれの先生方のおっしゃることに相違もあったので大変でしたが,自分の中の適応力や柔軟性が養われたように思います。また,4回生になってオーケストラのインスペクターを務めるようになりました。表舞台では見えない裏の仕事が多い役割です。しかしそういった仕事がないとオーケストラは動くことができません。実際,私が下級生の頃は支えてもらっていた身でもあります。だからこそやりがいがある仕事ですし,しっかりしなきゃ,という気持ちも強いです。

米井遥香さん

interviewer_music今回の演奏会のプログラムの聴きどころをそれぞれ教えてください。

米井 (メンデルスゾーン《フィンガルの洞窟》でコンサートミストレスを務める)フィンガルの洞窟の情景やその変化,それに伴って生まれる音楽の雰囲気,響き,クラリネットの美しい旋律…この作品にはたくさんの魅力が詰まっています。場面ごとにそういったはっきりとした描写があるので,大変聴きやすいです。是非メンデルスゾーンが描いた情景を感じていだきたいです。

福岡 (シューベルト《ミサ曲第2番》でコンサートマスターを務める)このミサ曲は,もともと合唱と弦楽器のために書かれたものでしたが,後に管楽器も付け加えられ,それがこんにち演奏されています。作曲された当時とは違うアプローチを京芸がどのように表現するのか。下野先生が着任されてからは,そういった点も勉強してきたので,意識して演奏できればと思います。また,この作品では声楽のソリストの方々や合唱との共演もあります。「関西の音楽大学オーケストラフェスティバル」でモーツァルトの《レクイエム》を演奏した際に感じたのですが,オーケストラだけで弾くわけじゃない,という難しさがあります。秋山先生のご指導のもと,足を引っ張らないように頑張っていきたいです。

高麗 (シベリウス《交響曲第2番》でコンサートミストレスを務める) シベリウスは他の作曲家と違い,独特であるように思います。もちろん描写も美しくフィンランドの情景が浮かんでくるのですが,どこか熱くなりすぎないところがある。氷のような冷たいものの中で静かに燃えている印象です。そんなシベリウス独特の空気感を,今回指揮して下さる秋山先生に導いていただきながら表現したいです。

interviewer_music演奏会にご来場の皆様へメッセージをお願いします。

福岡 僕たち4回生は,この定期演奏会が最後で集大成です。後悔して終わりたくない,というのが今の抱負です。京芸のオーケストラは,この一年で良い意味でとても変わりました。前期でも多くの方にそう言っていただけましたが,それから半年経ち,どう変化したのか…多くの人に聴いていただきたいです。

高麗 大学のオーケストラは,代々メンバーが交代していくのが常です。ですからずっと同じカラーというものがありません。しかし,沓掛にある京芸という小さな場所で培われた,先輩後輩関係ないアットホームな雰囲気は代々受け継がれています。それが京芸の良さとなっているのだと思います。その良さがオーケストラにも反映されていると思うので,京芸の特色を感じていただければと思います。

米井 毎回の演奏会で曲目もメンバーも違いますが,成功させるという目的はいつも同じです。また作品をこれだけ長いスパンで仕上げていくということはなかなかなくて,それも学生のうちだけです。そんななかで,学生たちはそれぞれのモチベーションでひとつの作品に取り組んでいます。そのうえで下野先生や秋山先生にご指導いただき,頑張って作り上げたものを是非お聴きいただきたいです。

インタビュアー:桒田萌(音楽学部音楽学専攻2回生)

写真:山本恵利佳(音楽学部音楽学専攻2回生)

(取材日:2017年12月1日・本学新研究棟にて)