第158回 定期演奏会 出演者インタビュー②(古谷華梨さん)
第158回 定期演奏会のソリストである古谷華梨さん(音楽学部ピアノ専攻4回生)にお聞きしました。
古谷さんにとってのピアノ
ピアノを始めたきっかけを教えてください。
幼い頃,祖母の家にピアノがあってよく遊んでいたそうなのですが,それを見ていた祖母が3歳の時にアップライトピアノを買ってくれました。それから,母に楽譜の読み方を教えてもらって弾くようになりました。
小学生になってピアノの先生に習うようになりましたが,とてもおおらかな先生だったのでレッスンが楽しかったです。また,同じ先生に習っている友達が積極的にピアノに取り組んでいたこともあり,私もコンクールに挑戦するなど,本格的にピアノに取り組むようになっていきました。そして音楽科に進学し,今に至っています。
ピアノの魅力とは何ですか。
幅広い音域と音色を持ち,10本の指を使って複雑な表現ができることです。また,1台のピアノのための作品が多く残されていますが,それ以外にも連弾や2台ピアノの作品があったり,他の楽器との室内楽やオーケストラパートの伴奏ができたりと,多くの役割を担えることも魅力だと思います。
ピアノ協奏曲について
ソロで演奏するのとオーケストラと一緒に演奏するのでは,どのような違いがあると思いますか。
ソロで演奏するのは好きですが,全てを自分でコントロールできる反面,一人で作品と向き合わなければならないという難しさもあります。一方で,オーケストラと演奏する場合は,オーケストラと対話しながら曲を作り上げるアンサンブルの楽しさがあります。
非常に珍しい選曲だと思いますが,どのような作品ですか。
「完璧な美」がある作品だと思います。矢代秋雄さんは寡作で完璧主義の作曲家として知られています。今回演奏するピアノ協奏曲は,彼が作った中では最後の大きな作品です。そして,私にとっては3回生実技試験とソリストオーディションで演奏した思い入れのある曲です。3回生の実技試験では,同級生のピアノ専攻同士でペアを組んでお互いのオーケストラパートの伴奏をします。オーケストラとの掛け合いやアンサンブルの場面が多く,変拍子で音が複雑なこの作品は,ペアの友達と一緒に作り上げるのに適した作品だと思い選曲しました。
演奏会に向けて
今回の演奏会が京芸オケとの初共演だと思いますが,どのような気持ちで臨んでいらっしゃいますか。
ピアノは普通オーケストラには入らない楽器なので,定期演奏会でソリストとしてオーケストラと共演できるのはとても貴重な経験です。大学でともに学んでいる仲間と同じ舞台に立たせていただくことも本当に楽しみにしています。
最後に,どのような演奏会にしたいか伺ってもよろしいでしょうか。
クラシックの長い歴史で見ると矢代さんは新しい作曲家なので演奏されることもまだ少ないと思うのですが,本当に大好きな作品です。矢代さんが作る音楽の独特の響きやいきいきとしたリズム,場面ごとに様々に移り変わる表情など,このピアノ協奏曲の魅力を伝えられるような演奏をお届けできるよう精一杯頑張ります。
インタビュアー:山本恵利佳(音楽学部音楽学専攻3回生)
写真:志川真子(音楽学部音楽学専攻4回生)
Profile:古谷 華梨【ふるたに・かりん】ピアノ専攻4回生
兵庫県立西宮高等学校音楽科卒業。
第28回全日本ジュニアクラシック音楽コンクールピアノ部門高校生の部全国大会第1位。第1回Shigeru Kawai国際ピアノコンクールセミファイナル奨励賞。平成30年度青山財団奨学生。
現在京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻4回生。